あなたは「触らぬ神に祟りなし」ということわざを耳にしたことはありますか?
「神様」と「祟り」なんて、なんだか対極のイメージがありますが、一体どんな意味で、どういった時に使われるのでしょう?
実はこのことわざは、人間関係でトラブルになりそうなときによく使われることわざなのです。「トラブルになりそうだから、なんとか回避しなくては!」なんて時に使うのが一般的でしょう。
そこで今回は、触らぬ神に祟りなしの意味や使い方、例文から類義語まで、徹底的に解説していきます!
読み方 | 触らぬ神に祟りなし(さわらぬかみにたたりなし) |
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意味 | 下手に首を突っ込むと、面倒に巻き込まれる |
使い方 | 人間関係でトラブルになりそうなとき |
類義語 | 君子危うきに近寄らず/当たらぬ蜂には刺されぬ |
英文訳 | Don’t ask for trouble.(厄介なことを自分から求め回るのはいけない) |
触らぬ神に祟りなし
触らぬ神に祟りなし由来
「御霊信仰」が元となっているんです。「御霊信仰」とは、この世に恨みを抱きながら死んでしまったり、不幸な最期を遂げた人の「怨霊」が生きている人間に災いをもたらすという信仰の事を言います。したがって、触らぬ神に祟りなしの「神」とは、私たちが想像している神様ではなく、亡くなった人の「怨霊」を指しているのです。
まさか「神」が「怨霊」だったなんて…由来を理解しておけば、ことわざの意味も覚えやすくなりそうじゃな。
由来は、御霊信仰でしたが、語源はいろはかるたの尾張(大阪)の1つです。
「意味」余計なことをしなければひどい目に遭わない
触らぬ神に祟りなしの意味とは
- そもそも関わり合いを持たなければ、ひどい目に遭うことはない
- 他人に余計な手出し、口出しをすると、面倒に巻き込まれる
という意味になっています。
このことわざの「触る」という言葉ですが「触れる」と言う意味では使われていません。ここでの「触る」は「関わり合いを持つこと」を意味しています。
できれば、神様とは関わりたいと思ってしまいそうじゃが、由来で「神」は「怨霊」だとわかったから、関わらない方が良いというのも納得じゃ!
怨霊の件なのじゃが、現在の認識では、「怨霊から受験の神」へと変化しておるんじゃ。
それはどういうことじゃ?
なぜ怨霊化した道真が学問神になったのか、その経緯について解説しよう。
942(天慶5)年、平安京の右京七条二坊十三町に住む多治比文子(たじひのあやこ)に、道真の霊が乗り移る。文子に憑依した道真は自分を祀るように強く求めたという。
そこで朝廷は、平安京内の右近馬場の地に北野天満宮を創建することを容認する。ちょうどこの時期、平将門の乱や藤原純友の乱などが続発しており、都の貴族たちは不安にさいなまれていたからだと思う。
北野天満宮は、学問の家柄である菅原一族が管理することになり、朝廷もこの神社を保護して勅祭の社にしたこともあり、繁栄するようになった。道真は生前、学問に優れていたことから、雷神という怨霊から詩文の神と意識されるようになり、鎌倉時代や室町時代になると、北野天満宮で歌合わせや連歌の会など文化的な行事が開催され、人々も学問や芸能の進展を願ってこの社に詣でるようになったのだ。
ちなみに北野天満宮のほか、太宰府天満宮、大阪天満宮、亀戸天神、湯島天神、防府天満宮など道真を祀る神社は1万2000社になるという。
人々は、雷神という祟る怨霊を神社に祀り上げることによって、学問神という福の神へと変化させたのである。
長い月日が経って、怨霊から「受験の神」になったと言うことじゃな!
なるほど…元々菅原道真は貴族を恐怖に震え上がらせた「怨霊」であったことに間違いはないが、今では受験生が毎年参拝に訪れるほどになったというわけじゃな!
“ことわざのイメージ”
機嫌の悪い人に話しかけるのはやめておこう…という俯瞰のイメージ。
関わらない方が良いのはわかっているが、それはそれで冷たい気もする…消極的なことわざのイメージ。できれば、巻き込まれてでも、相手が困っているなら何とかしてあげたいと思う。
「俯瞰」とは、高い所から見下ろすこと、または1歩引いて客観的に全体を見渡すことじゃぞ。
「使い方」機嫌が悪そうなのでそっとしておこう
なるこさん。ちょっと新聞取ってきてくれんかのぉ?
新聞を読みたいのはなるぞうさんでしょ?私は新聞なんて読みたくないの!それなのになぜ私が新聞を取りに行かなきゃならないの?
はい。その通りです…僕が取ってきます!(今日はなるこさんの機嫌が悪いなぁ。触らぬ神に祟りなしじゃ…そっとしておこう)
ついでに、お隣さんに回覧板持って行って下さいね!
……………。了解しました。
いつもは優しいなるこさんにも、機嫌が悪いときがあるものです。そんなときは、下手に言い返したりしてしまうと、事態はさらに悪化し、面倒なことになってしまいます。「触らぬ神に祟りなし」とは、状況を把握し、トラブルを避けるときに使われるんです。
ここで「何かあったの?」と、親切心から話を聞こうとすると、八つ当たりされたり逆ギレされることもあるじゃろ?そんなときに使われるのが「触らぬ神に祟りなし」なんじゃ。
使い方2
強い意志には強い守護神が宿り、弱い意志には腰抜けの守護神しかつかないということ
「例文」トラブルを回避できた時
今日の職場は空気が張り詰めているな。障らぬ神に祟りなしだから、黙って仕事に集中しておこう。
うちの両親は、また夫婦喧嘩してるよ。触らぬ神に祟りなしで、今日は友達の家に泊まりに行くことにしよう。
これは、どこが間違えた使い方なんじゃ?ワシには正解に思えるんだが…
なるZOさん。よく見てみるんじゃ。使い方は合っていても、漢字が間違えておるぞ!このことわざは、漢字の間違いをすることが多いので、注意するべきじゃ。
このように、厄介なことに巻き込まれる前に、自らトラブルを回避できたときに使います。
触らぬ神に祟りなしだとわかっていたのに、口を挟んでしまって、案の定厄介事に巻き込まれてしまったよ。
触らぬ神に祟りなしだとわかっていたのに、口を挟んでしまって、案の定厄介事に巻き込まれてしまったよ。
これは、自ら厄介事に飛び込んでしまったあとに、後悔の気持ちで使っています。このような使い方もできますので、覚えておきましょう。
「類義語」触らぬ神に祟りなし3つ紹介
ここからは「触らぬ神に祟りなし」と似た意味を持つことわざを3つ紹介していきます。似た意味のことわざを覚えておくと、使い方も広がりますので、是非覚えて下さいね!
君子危うきに近寄らず
立派で教養のある人は、自分から危険な場所には近づかないということ。
ネットで「誰でも簡単に稼げる方法教えます!」なんて広告を目にするけれど、君子危うきに近寄らずで、彼はそんな甘い話に騙されなかったようだ。
参らぬ仏に罰は当たらぬ
お参りにも行っていない神様(仏)の罰など当たるわけがないということ。
今日は部長の機嫌が悪そうだな…参らぬ仏に罰は当たらぬだから、ランチは1人で済ませよう。
当たらぬ蜂には刺されぬ
蜂に近付かないでいれば、刺されることも、災いが起こることもないので安泰だということ。
思い切って、会議中に自分の意見を言ってみたんだ。そうしたら上司に「それなら全部自分でやってみろ」って怒鳴られちゃたよ…やっぱり当たらぬ蜂には刺されぬで、黙っていれば良かったな。
どれも、触らぬ神に祟りなしと同じ意味だったのぅ。使う場面も同じだから覚えやすかったはずじゃ。
「対義語」触らぬ神に祟りなし2つ紹介
それでは次に、触らぬ神に祟りなしとは反対の意味を持つ対義語を3つ紹介していきます。対義語を覚えておくことで、テストにも役立ちますし、ことわざに対する理解が深まりますので、セットで覚えるのがおすすめです!
藪をつついて蛇を出す
余計なことをして、自ら災難にって遭ってしまうこと。(省略して「藪蛇」と言われることが一般的)
ケンカしていた彼と、ようやく仲直りできたのに、友達が彼の前でケンカの話を蒸し返してしまった。まったく…藪をつついて蛇を出すようなことはしないでほしい!
寝た子を起こす
やっと収まった物事に対して、無用の手出しをし、また問題を起こしてしまうこと。
ネットでの騒ぎが、やっと落ち着いてきたと思ったら、今度はテレビのニュースで取り上げられてしまった。なぜマスコミは寝た子を起こすようなことをするんだ!
例文を見てもわかるように、他人に対しての非難として使わることが多いようじゃな。
「英文訳」Don’t ask for trouble.
Don’t ask for trouble. 厄介なことを自分から求め回るのはいけない
askには「尋ねる」「頼む」という意味があります。そこに、否定の「Don’t」があるので、「尋ねてはいけない」となります。
ask forには「求める」という意味があります。
troubleには「問題」「悩み」「面倒」などの意味がありますね。
これは「壊れてもいないのに直さなくていい」という意味になり、触らぬ神に祟りなしの「余計なことをすると災いに巻き込まれる」と同じような使い方ができそうじゃ。
因みに「fix」は「修理」という意味じゃな!
まとめ
いかがだったでしょうか?
「触らぬ神に祟りなし」について理解できましたか?それでは最後におさらいしてみましょう。
- ことわざに出てくる「神」は、神様ではなく「怨霊」だった。
- 「触らぬ」というのは「触れる」という意味ではなく「関わり合い」という意味で使われている。
- 人間関係のトラブルになりそうな場面で使われるのが一般的。
- ことわざに出てくる「神」は、神様ではなく「怨霊」だった。
- 「触らぬ」というのは「触れる」という意味ではなく「関わり合い」という意味で使われている。
- 人間関係のトラブルになりそうな場面で使われるのが一般的。
「触らぬ神に祟りなし」とは、人間関係のトラブルになりそうなときや、口を挟むと、間違いなく厄介なことに巻き込まれそうなとき、回避するために使うことわざでしたね。
しかし、このことわざは、自分が傍観者のように思えてしまう「冷たい印象」があります。いつでも第三者でいると、自分が困った時や、誰かの助けを借りたいときに、誰も力を貸してくれなくなってしまうでしょう。
時には、トラブルに巻き込まれるとわかっていても、自ら飛び込んでいける優しさも必要ですね!
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