「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」とは、魚や餅の上手な焼き方に例えたことわざで、仕事には向き不向きがあるのだから、仕事をさせるときには適任者を選べということです。
魚を焼く際は、美味しく食べてもらうためにも、せっかくの見た目を美しく焼き上げるためにも、じっくり焼き上げる必要があるのじゃ。
逆にお餅は、焦げ付かずきれいに焼き上げるためには、せわしなくひっくり返さないといけないんだよ。
ふむふむ、なるほど。どちらも単純に「焼く」だけの作業かと思いきや、それぞれの食材によって美味しく焼き上げるためのコツがあるのですね。
その「コツ」と、このことわざの意味とが、どのようにつながっていくのでしょうか?
本記事では、「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます。一緒に理解を深めていきましょう。
読み方 | 魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ(さかなはとのさまにやかせよもちはこじきにやかせよ) |
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意味 | 魚や餅の上手な焼き方を言ったもの。仕事には適不適があるので、仕事をさせるときには適任者を選べということ。 |
使い方 | 彼は数字に強くて、簿記1級を取得している。魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよというし、経理部に配属しよう。 |
英文訳 | Burn the fish in the lord,burn a rice cake with a beggar.(魚は殿様が焼き、餅は乞食が焼く。)
Make a lord broil a fish. Make a beggar broil rice cake.(魚は殿様が焼き、餅は乞食が焼いて調理する。) |
類義語 | 瓜の皮は大名に剥かせよ、柿の皮は乞食に剥かせよ |
「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」とは
魚を焼くときは、慌ててつついたり、何度もひっくり返すと身が崩れてしまいます。中まで火が通るように、弱火でじっくりと焼くことで、表面だけが焦げたり、生焼け状態になるようなこともなく、美味しく調理できることから、殿様のようにおっとりした人に焼かせるのが良いと例えられています。
一方、餅をきれいに焼き上げたいときは、たえずひっくり返して焦げないようにしなければならないため、焼き上がりを待てずに何度も裏返してしまうような、空腹状態の乞食が焼いたほうが良いと例えられています。
このように、「焼く」という調理一つとっても、その食材の特性や、仕上げによって、焼き方に差があるため、だれが焼いてもいいというわけではないということです。仕事にあてはめると、同じ会社であっても、それぞれ携わる業務によって適性が違うので、社員個人の特性を生かし、適任者を選べということになります。
上下を逆にして「餅は乞食に焼かせろ、魚は殿様に焼かせろ」ともいいます。
「意味」「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」仕事には適不適があるものだから、仕事をさせるときには適任者を選べということです。
「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」とは、仕事には向き不向きがあるので、仕事をさせるときには適任者を選べということです。
例えば、有名な「うさぎとカメ」という昔話。
うさぎとカメ(要約バージョン)
走ることが得意なうさぎが、動作が緩慢なカメのことをバカにしたことが発端となり、うさぎとカメは徒競走することに。途中まで圧勝だったうさぎは、油断して居眠り。その間に一歩ずつ確実に歩を進めたカメがうさぎを追い抜き、先にゴールしました。
亀目線だけで読むと、「陸地」で「徒競走」という、おおよそ亀には不向きな環境で、不向きな競技を競うという内容でした。結果オーライではあったものの、そもそも「海」で「水泳」競技であれば、亀はあんなに苦労することはなかったはずです。
何を例えたいかというと「適材適所」の大切さです。
このお話を仕事と置き換えて考えると、亀のように、不向きな環境で、不得意なジャンルに、不毛な時間をかけて、うさぎと競わせるより、ここはうさぎに任せて、得意な海の仕事を与えてあげましょうということです。
このお話のように、仕事には、向き不向きがあるので、適所に適材を選ばないとうまくいかないという意味のことわざです。
「ことわざのイメージ」
・どんな仕事にも適任者がいるということ。
・その人に合った環境と能力を与えることで、うまくいくことのたとえ。
「使い方」「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」仕事には、向き不向きがあるので適任者を選べということを表現するときに使います。
さっき、お隣の花子ちゃんと偶然会ったが、ずいぶん顔色がよくなって元気そうじゃったな。
そうなんですよ。以前の会社では経理に配属されていたんですけど、元々数字が大の苦手だった花子ちゃんには合わなくて…。部署異動願いも却下されたので転職されたんですよ。
ほうほう。
新しい会社では、本来希望していた営業に配属されて、とても生き生きお仕事されてるみたいですね。
なるほどのう。元来、セールス力やコミュ力のある子じゃからなぁ。「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」ということわざ通り、花子ちゃんに合った仕事で本来の能力が発揮されているということじゃな。
ええ。新しい会社にとっても、花子ちゃんにとっても、win-winですね。
使い方2
性格学的所見というべきものがベースになっている
使い方3
お殿様と餅
「例文」「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」その人の能力や適性によくあてはまる仕事に配置するとき使います。
「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」というじゃないか。今は右も左もわからず落ち着かない彼だが、殿様くらい堂々と仕事ができるよう、周りの人が気を付けてフォローしてあげないとだめだよ。
人材育成という意味のことわざではないので、この使い方はNGですね。
研修期間に新入社員の能力を見定めることは大切だ。「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」とのことわざ通り、適材適所に配属することで、離職率の低下を実現しよう。
まさに、その人の能力や適性を見極めて、適材適所に人を配置するというときに使います。会社としても、この例のような人員配置が実現して、離職率低下だけでなく、仕事の精度、効率、生産性もアップすることが理想ですよね。
「類義語」「瓜の皮は大名に剝かせよ、柿の皮は乞食に剝かせよ」
「瓜の皮は大名に剝かせよ、柿の皮は乞食に剝かせよ」
【意味】瓜の皮近くは美味しくないので厚くむき、逆に柿は、皮近くのほうに甘みがあり美味しいので、薄くむいたほうがよいということ。大名は鷹揚なので、瓜の皮を厚くむかせる時に適し、貧乏な乞食は柿の皮を薄くむかせる時に適しているというたとえから。
仕事には向き不向きがあるということ。
鷹揚とは? 鷹が悠然と空を飛ぶように、小さなことにこだわらず、ゆったりしている様子。おっとりして上品な様子。大様とも書き、この時の読み方は「おおよう」です。
「英文」「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」2つ紹介。
① Burn the fish in the lord,burn a rice cake with a beggar.
(魚は殿様が焼き、餅は乞食が焼く。)
burn → 燃やす。焦がす。
lord → 支配者、首長、領主、君主、権力者
beggar → 乞食、物乞い
② Make a lord broil a fish. Make a beggar broil rice cake.
(魚は殿様が焼き、餅は乞食が焼いて調理する。)
broil → 焼く
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?
「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」の意味を理解していただけたでしょうか?
「食べ物を焼く」だけの作業であっても、その食材や特性によって、美味しく仕上げるコツがあるように、どんな仕事にも適性があるので、仕事をする人を見極め、適任者を配置することが良いとすることわざでしたね。
類義語に「瓜の皮は大名に剝かせよ柿の皮は乞食に剥かせよ」ということわざもありました。これも、言葉は違えど意味や使い方は全く同じで、やはり仕事には向き不向きがあるので、適任者を配置することが良いとすることわざでした。
年末や、春先の人事異動の発表があると、「魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」のような異動や配属は、なかなか難しいのかな…。と、個人的に感じてしまうことがあります。
それでは、最後にポイントをまとめます。
・どんな仕事にも、向き不向きがあり、適任者がいるということ。
・その人の適性や、得意分野を見極め、適所に配属することでうまくいく。
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