「敵は本能寺にあり」と聞いた事がありますか?多分聞いた事がある方も多いかもしれませんね。明智光秀が言った有名な言葉として挙げられますが、どのような意味があるのでしょうか?
実は「本来の意味が他にある」という時に使うことわざなのです。それでは、由来の資料を交えながら見ていきましょう!
読み方 | 敵は本能寺にあり(てきはほんのうじにあり) |
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意味 | 本当の目的というのはこれとは別にあるということ |
使い方 | 本当の目的を告げずに行動した時に、真の目的を明かす場合 |
英文訳 | He that wipes the child’s nose kisses the mother’s cheek.(子供の鼻を拭いてやる人は、その母親の頬にキスをする) |
類義語 | 十王が勧進も食おうがため |
敵は本能寺にあり
「由来」『日本外史』
「敵は本能寺にあり」ということわざ聞いた事があるかと思います。その出典はどこにあるかというと、頼山陽(江戸時代後期の歴史家)『日本外史』です。
[訓読]
既に桂川を渉る。光秀乃ち鞭を挙げ東指し颺言して曰く、「吾が敵は本能寺に在り」と。衆始めて其の反を知るなり。
[注]
○颺言ー声をはりあげていう。○反ー反逆、謀反。
石田博(編)『故事成語ことわざ事典』(雄山閣出版、一九八〇)より引用
【私訳】
既に桂川をわたる。光秀そこでむちを挙げて東を指さし、声をはりあげて言う。
「私の敵は本能寺いる」と。家臣たちは、はじめて信長に対する謀反を知ったのである。
豆知識 その信ぴょう性
本当に、光秀は「敵は本能寺にあり」とかっこよく言ったのでしょうか?
疑問に思いますよね。まず、『日本外史』はいつ頃の作品なのでしょうか?
先程書いた様に『日本外史』の著者は頼山陽という人物でした。この『日本外史』が成立したのは、1827年です。つまり江戸の後期となります。本能寺の変は1582年の起こっていますので、かなり隔たりがあります。なので、信ぴょう性も薄いのかなという仮説が成り立ちます。それでは、本能寺の変に関する古い資料ではどの様に書かれているのでしょうか?
歴史家の中でも研究に使われている史料に『信長公記』には、光秀がこの様なことを言ったとは書かれていませんでした。なので脚色のされた文章だと考えられます。
「意味」真の目的
「敵は本能寺にあり」の意味としては、本当の目的は別に存在する事というです。
このことわざのイメージを考えましたのでご覧ください!
「ことわざのイメージ」
- 隠していたけど、本当は本能寺を襲おうと思っていたんだ
「使い方」本当の目的は….
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]女神さま。肩をおもみ致しましょうか?[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]急にどうしたの?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]いえ何もございません。肩をおもみします![/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]本当はそれが目的じゃないでしょ?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]はい….。実は、お小遣いの前借をぉねがぃしょぅと….。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]まさに、敵は本能寺にありだね。そんなことだと思った。お小遣いの前借は許さないからね。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]そんな….。ぉねげぇしますよ(泣)[/chat]
「例文」知ってびっくり真の目的
悪い例文から見ていきましょう!
ちょうど敵が背中を向けている!今がまさに敵は本能寺にありだ!一太刀浴びせるぞ
これは、「不意打ちを食らわせそうだ」という意味で使っていますが、違います。
・・・山手線の電車に乘りて、上野驛に下り、市内電車にて本所押上まで行き、京成電車に乘換へて柴又に至る。帝釋天を一拜し、滾々涌き出づる清水を掬し、堂前に横はれる松を賞し、精巧を極めたる二天門を見上げたるが、敵は本能寺に在り。直ちに去つて川甚に至る。・・・
大町桂月 川料理より引用
この様に「真の目的が実はある」という意味で使うのが正解です。
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]柴又帝釈天はとても有名で、一応参拝するけれども、真の目的はその近くにあり川甚でご飯を食べることだったという文章だね。
この料理屋さんは数々の文豪に愛された名店でだったけど、2021年に惜しまれつつも閉店したそうだ。一度でいいから食べてみたかったなぁ。[/chat]
「類義語」十王が勧進も食おうがため
「敵は本能寺にあり」の類義語に「十王が勧進も食おうがため」というのがあります。
ちょっと難しい語句がありますね。少し確認していきましょう!
- 十王・・・亡くなった人を裁く十人の王様
- 勧勧・・・仏道をすすめて人々を善に導くこと
という意味になっています。このことから、「亡くなった人を裁く偉い王様が仏道を勧めて人々を善に導くことは、御飯を食べるためだ」という様になりますね。
つまり
- やってること:人を導く
- 真の目的:ご飯を食べること
という事になり、「敵は本能寺にあり」と似た意味になるのです。
「英語」He that wipes the child’s nose kisses the mother’s cheek.(子どもの鼻を拭いてくれる人は、その母親の頬にキスをする)
この「本能寺の変」ですが、英文ではどのように表現するのでしょうか?英語では、「He that wipes the child’s nose kisses the mother’s cheek.」と書きます。意味としては「子どもの鼻を拭く人はその母親の頬にキスをする」となります。もう少し詳しく見ていきましょう!
【英文】
He that wipes the child’s nose kisses the mother’s cheek.
【解説】
- He・・・ここでの「he」は「人」の意味
- that・・・関係代名詞で「he」を説明する動詞を繋げる役割
- wipes・・・原形「wipe」三人称単数形の名詞が主語なので、「s」が付き、「~をふく」の意味
- the child’s・・・「その子どもの」の意味。「the」が「その」で「child」が子ども、「名詞’s」が「~の」を表している
- nose・・・「鼻」
- kisses・・・原形「kiss」で「キスする」を意味する。「He」が主語なので、「s」が付く
- the mother’s・・・「その母親の」という意味で、「mother」が「母」を意味する
- cheek・・・「頬」
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【直訳】
その子どもの鼻をふく人は母の頬にキスをする。
【私訳】
子どもの鼻をふくお父さんは、子どもの鼻が本当は拭きたいのではなく、お母さんの頬にキスがしたい。
まとめ
今回、「敵は本能寺にあり」ということわざを解説していきました。それでは、今回のポイントを確認していきましょう。
- 意味:「真の目的は他にある」
- 歴史的な信ぴょう性は薄い逸話が起源
- 類義語:「十王が勧進も食おうがため」
- 英訳:He that wipes the child’s nose kisses the mother’s cheek.(子どもの鼻を拭いてくれる人は、その母親の頬にキスをする)
という感じでまとめられると思います。かっこいいことわざですよね。普段使いは難しいかもしれませんが、少しかっこつけて、文章で使うのもありかもしれません。
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