今回は、「万物流転(ばんぶつるてん)」について解説します。
日常会話においては、あまり聞き慣れない単語かもしれません。なんだか難しそうですね。
この「万物流転」、他にもいくつか似たような意味の言葉があります。
- 諸行無常
- 有為転変
- 生々流転
「諸行無常」で何となく意味を想像できますね。
それでは【万物流転】について詳しく解説していきます。
読み方 | ばんぶつるてん |
ローマ字 | banbuturuten |
意味 | この世にある全てのものは変化する |
使い方 | 万物流転の世の中である |
類義語 | 諸行無常 |
対義語 | 永久不変(えいきゅうふへん) |
英文 | all things are in a state of flux |
万物流転とは
古代ギリシアの哲学者、ヘラクレイトスによって提唱された哲学の概念で、パンタレイ(panta rhei)ともいいます。
あらゆる存在は時の流れと共に変化していくと考え、ヘラクレイトスはそのことを川の流れに例えて「誰も同じ川に二度と入ることはできない」と言いました。同じように見えても、既にほんの一瞬前の水とは違う水が流れている、という事ですね。
人間である私たちも日々細胞が入れ替わり、髪や爪も伸び、同じ「私」に思えても、実際は日々変化し続けているので「昨日の私」と「今日の私」は違う。「昨日のあなた」に会う事は二度とできません。そう考えると、なんだが儚いですね。
「意味」この世にある全てのものは変化する
「万物流転」の「万物」は、この世の中、宇宙に存在するものの全てをいいます。「流転」は、移り変わってやむことがない、という意味です。
仏教用語としての「流転」は、生まれかわり死にかわって迷いの世界で生死を繰り返すことを言います。ヘラクレイトスの「パンタレイ」が訳されて「万物流転」という慣用句ができたので、この言葉自体は仏教用語ではありませんが、「流転」が使用されている為、仏教のような雰囲気がありますね。
良い意味での変化にも、悪い意味での変化にも使える為、この使い方はNG!というのはあまり無いです。
とはいえ、私たちの日常会話においては「諸行無常」のほうが親しみがあり、伝わりやすいですね。
「使い方」万物流転
あまり日常会話では登場しない「万物流転」ですが、すこし無理やり会話してもらいましょう。
最近新しいお店が増えて、
町の風景が変わったのう…
そうね
万物流転よね
なるこは…
ずっと変わらず可愛いのう…
あら、ありがとう
仲良しなお二人ですね。万物流転というと少し壮大なイメージになりますが、変化するものであれば何でも使えるので、意外とどんなシーンでも使えそうです。
【類義語】諸行無常
仏教用語である「諸行無常」ですが、「万物流転」との違いはあるのでしょうか。
様々な考え方があるようですが、その中の一つに「どこに焦点をあてるのか」という見方があります。
「万物流転」は、自然界の物質や存在に焦点をあてているのに対して、「諸行無常」は物質だけでなく目には見えないもの、つまり「心」や「精神」にも焦点をあてています。ほとんど同じ意味ではありますが、言葉の持つイメージや雰囲気が違いますよね。
【対義語】永久不変
「永久不変」とは、いつまでも果てしなく続いて変わらないことを言います。
「永遠なんてない」といった感じで、しばしば否定される「永遠」や「永久」。それほどに、私たちは普段の日常でも多くの「変化」を感じ、受け入れて生活しているのですね。
【英文】all things are in a state of flux
〔state〕=(物事や人の)状態、事態
〔flux〕=物事の変動や不変、(液体や気体の)流れや流動を意味します。
直訳すると全てのものは変化する状態にある、という事ですね。
まとめ
今回は「万物流転」について解説しました。類義語である「諸行無常」は、少し愁いを帯びた切ないイメージがあるのに対して、「万物流転」は壮大な自然界のイメージが湧きませんか?
変わりゆくことは決して悲しいことではなく、言い換えれば「常に新しくなる」ともとれます。一見代わり映えのない、つまらない毎日の中にも、多くの「変化」が潜んでいます。
それが「目に見えるもの」であれ「見えないもの」であれ、まずは気付くことから新たな「発見」や「出会い」に繋がるのではないでしょうか。それでは最後に【万物流転】についておさらいしておきましょう。
- 〔意味〕この世の全てのものは変化し続ける
- 〔使い方〕「万物流転の世の中だから、有事に備えておこう」 良い変化、悪い変化と全ての変わりゆくものが対象になるので、様々な場面で使えます。
言葉の意味を知ることは、新たな「発見」でもあります。その言葉の成り立ちから様々な世界を知ることができるのです。
面白いですよね。この記事が皆様のちょっとした「発見」になりますように。
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