不倶戴天とは？意味や使い方・類義語・対義語・英文を徹底解説！

「不倶戴天ふぐたいてん」という四字熟語をご存じでしょうか？
分けて考えると……

そのままだと、この世に存在していることに不備があるってこと？
分けて考えてもよくわかりませんよね。

今回は、「不倶戴天」について詳しく解説します。

読み方	ふぐたいてん
ローマ字	Fugu taiten
意味	深い憎しみでこの世に共存できないほど腹立たしく思う相手のこと
使い方	憎しみや怒りでいっぱいの相手に対して使う
類義語	意趣遺恨いしゅいこん／恨み骨髄に徹する
対義語	共存共栄／死生契濶しせいけっかつ
英文	mortal enemy／sworn enemy

不倶戴天とは

「意味」深い憎しみでこの世に共存できないほど腹立たしく思う相手のこと

[解説] 「倶ともに天てんを戴いただかず」と訓読します。中国・戦国時代の「礼らい記き」から出たことばです。原典では少し文章が違って、「父の讐あだは、与と共もに天を戴いただかず」（＝父親のかたきと同じ天をいただくことはできない）と書いてあります。
　これは仇あだ討うちの方法を述べた文章です。父親のかたきと同じ天の下に生きていてはならない、探し求めて必ず殺せ、と言っています。《一部抜粋》

引用元：コトバンク

「使い方」憎しみや怒りでいっぱいの相手に対して使う

「犬猿の仲」とは、昔から日本では犬と猿は相性が悪いとされているところから、仲が悪いことのたとえ。

十年前日露戦争の当時に際しては、誰れか両国の親善今日の如かるべきに想到したるものあらん。今にして当時を回想せば、国民の敵愾心は其絶頂に達し、両国新聞雑誌は筆鋒を一にして互に罵り合い、吾が大和民族とスラヴ民族とは、生れ乍らにして不倶戴天の仇敵なりしかの如く、後年到底両立すべからずとさえ論議せるものなきにあらず、英国の如き、当時新たに日本と同盟しスラヴを以てスレーヴ(奴隷)と語源を一にする米亜細亜的□民となし、陽に之れを排せんとしたりしは世人の既に知れるところ、然るに此等三国の今日は如何。
《台湾日日新報（大正５）露国事情（一）より一部抜粋》

引用元：神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫・台湾日日新報新聞　欧州諸国(2-033)

大和民族とは、日本列島の住民の大半を占める民族である。ほとんどが日本語を母語とし、日本列島に居住する民族である。和人とも呼ばれる。

スラブ民族とは、スラブ諸語を使う人々の総称で、ヨーロッパ諸民族中最大の民族集団。

良い例と悪い例「不倶戴天」

「不倶戴天」良い例

家族ぐるみの付き合いだった親友に、妻を殺され一瞬のうちに不倶戴天の敵へと変わった。

かつてマルクス主義者は、口を開けばすぐブルジョアがいけないと、まるで敵かたきのように罵ののしりました。不倶戴天ふぐたいてんのごとくに攻撃いたしました。社会の不安も、社会苦も、生活苦も、ことごとく資本家の罪に帰して、社会機構の欠陥を叫びました。

引用元：青空文庫「般若心経講義／高神覚昇」

「剣を取って向う時は、親もなく子もなく、弟子も師匠もない、入魂じっこんの友達とても、試合とあれば不倶戴天ふぐたいてんの敵と心得て立合う、それがこの竜之助の武道の覚悟でござる」

引用元：青空文庫「大菩薩峠 甲源一刀流の巻／中里介山」

「不倶戴天」悪い例

あの人のことなんか大嫌い。まさしく不倶戴天の相手よ。だけど、優しくされると許しちゃうのよね。

「類義語」2選「不倶戴天」

意趣遺恨いしゅいこん

【意味】他人への深い恨み。

物音を聞き附けて、最初に駆け附けたのは、泊番の徒目附かちめつけであった。次いで目附が来る。大目附が来る。本締もとじめが来る。医師を呼びに遣やる。三右衛門の妻子のいる蠣殻町かきがらちょうの中邸なかやしきへ使が走って行く。
　三右衛門は精神が慥たしかで、役人等に問われて、はっきりした返事をした。自分には意趣遺恨を受ける覚おぼえは無い。白紙の手紙を持って来て切って掛かった男は、顔を知って名を知らぬ表小使である。多分金銀に望のぞみを繋かけたものであろう。家督相続の事を宜よろしく頼む。敵かたきを討ってくれるように、伜に言って貰もらいたいと云うのである。その間三右衛門は「残念だ、残念だ」と度々たびたび繰り返して云った。《一部抜粋》

引用元：青空文庫『護持院原の敵討／森鴎外』

恨み骨髄こつずいに徹する　

【意味】恨みが骨の髄までしみ通る。深い怒りを抱くこと。

不倶戴天は、「倶ともに天を戴いただかず」とも言います。

「対義語」2選「不倶戴天」

共存共栄

【意味】互いに敵対することなく助け合って共存し、共に栄えること。

死生契濶しせいけっかつ

【意味】生死を共にする約束をした者同士が苦労を共にすること。　

「英文」2選「不倶戴天」

「不倶戴天の敵」ということで、2つの言い方があります。

mortal enemy 　不倶戴天の敵

これは、mortal（死すべき）とenemy（敵・仇）を合わせた言い方です。

sworn enemy　不倶戴天の敵

こちらも同じ意味ですが、swornには「生臭い」という意味があります。
血生臭い＝死すべき

どちらも、殺したいほど憎い敵ということですね。

1.When there’s money involved, even relatives can become sworn enemies.

2.When it’s about money issues, even relatives can become sworn enemies.

— when there is X involved = ～に関わりがあると、～に関連があるなら、
— issues = 問題

引用：DMM英会話なんてuKnow?

上記サイトの英文には、日本語訳は掲載されていませんでしたので調べてみました。

●When there’s money involved, even relatives can become sworn enemies.
【和訳】お金が絡むと、親族でも宿敵になることがある。
●When it’s about money issues, even relatives can become sworn enemies.
【和訳】お金の問題になると、親族でも不倶戴天の敵になることがある。

「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざが浮かんでしまいました。
こちらは、お金が無くなったら別れるという意味で、殺し合いに発展するまで深刻な例は少ないとは思いますが、お金が絡むと良くないことが起こりがちですね。

ちなみに「金の切れ目が縁の切れ目」を英語にすると……

The cut of gold is the cut of the edge.

となります。ご参考まで。

まとめ「不倶戴天」

いかがでしたでしょうか？
今回は「不倶戴天ふぐたいてん」について解説してきました。

最後にもう一度まとめたいと思います。

今の時代、親の仇として使うのはないと思いますが、気持ちはよくわかります。
大切な人を殺されたら、だれでも加害者に激しい恨みを持ちます。
以前、山田悠介のホラー小説「復讐したい」というのを読んだことがあるのですが、調べてみたら、2016年に映画化されていました。
ネタバレになるので詳しい内容は書きませんが、殺したいほど憎い相手が登場します。まさに「不倶戴天」と言えるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。