『裸一貫』という言葉を聞いたことはありますか?
頼れるのは自分の体だけで金も地位も何もない、という意味です。
貧乏な人が一代で財を築いたとき、田舎から都会へ出てきて勝負をするとき、または事業の大失敗で無一文になってから建て直すとき…そういった場合に使われることが多いですね。
しかし、どうして裸に「一貫」を使用するのでしょうか?
本記事では『裸一貫』について、詳しく解説していきます。
- 『裸一貫』の由来と意味
- 使い方の良い例、悪い例
- 類義語や英文について解説
読み方 | はだかいっかん |
ローマ字 | hadaka ikkan |
意味 | 自分の身体のほかには、なにも資本がないこと |
使い方 | 地位や財産がなく、自分の体しか持っていないときに使う |
類義語 | 身ひとつ、腕一本、無一物 |
対義語 | ー |
英文 | from nothing, (start) from zero |
裸一貫とは
「由来と意味」『裸一貫』の「一貫」とは
『裸一貫』とは、体以外なにも持っていない状態をあらわす言葉です。
通常、人間や死体などの体を数える単位は「体」「人」「名」を使用します。
例えば「遺体を3体発見」「亡くなった方は3人」「死亡者3名」など。
しかし『裸一貫』では、どうして「貫」を使用しているのでしょうか?
まず、貫は尺貫法の単位のひとつです。
一貫=3.75㎏ですが、これは新生児の平均的な体重を表します。
つまり『裸一貫』とは、生まれたままの赤ん坊を表現する言葉なのです。
生まれたままの姿、つまり何も持っていない状態からのスタート、という意味で使われるようになりました。
ことわざのイメージ
生まれた赤ん坊と同じように、何も持っていない状態のイメージ
「使い方」何もない状態で一から再出発するときに
なるぞうさん、深刻な顔をしています。
まいったな…。
会社が経営不振で、とうとう早期退職を募り始めたよ。
おれもリストラ対象なんだよな。
ええっそうなの?
大変ね…。今後はどうするつもり?
いつまでも会社にしがみつくのはもう嫌になった!
こうなったら裸一貫から起業して、会社のやつらを見返してやるぞ!
引退するにはまだ若過ぎるしね。
頑張って!応援するわよ。
落ち込んでいたなるぞうさん、元気が出たみたいですね。
良い例と悪い例「裸一貫」
「裸一貫」悪い例
騙されて金を全て取られてしまい、裸一貫になってしまった。
「裸一貫」良い例
裸一貫でアメリカに渡り、ビジネスで成功を収めた。
『裸一貫』は、何かを始める時に使う言葉であり、何かが起きたあとの結果では使用しません。
「裸一貫で上京する」「裸一貫で起業する」「裸一貫では不安だ」などはすべて、良い例と同様これからスタートする意味合いがあります。
しかし悪い例で挙げたように、何かの結果として「裸一貫になった」とは言いません。
この場合は「丸裸になった」という表現の方が適切でしょう。
「類義語」『裸一貫』に似たことわざを3つ紹介
こちらでは『裸一貫』に似ている言葉を3つ紹介しましょう。
腕一本(うでいっぽん)
地位や財産などがなく、自分の体だけを頼りにすること。
腕一本脛一本(うでいっぽんすねいっぽん)の略。
身ひとつ(みひとつ)
自分の体だけであること、自分ひとりだけであること。
無一物(むいちもつ/むいちぶつ)
何も持っていないこと、何もないこと。
「対義語」『裸一貫』
『裸一貫』の対義語は、残念ながら明確な言葉はないようです。
しかしながら「体以外に頼るものが何もない」という意味の反対と考えると、自分以外のものに頼り過ぎたり依存したりするイメージが想定されます。
そのようなイメージなら、以下のことわざが『裸一貫』の対義語として近いかもしれません。
- 他力本願:自分ではなく外部からの助けによって事を成し遂げること
- 上げ膳据え膳:何もかも人の世話になり、自分では何もしないこと
- 親の七光り:権力を持つ親を持った子供が、その恩恵を受けること
「英文」from nothing
『裸一貫』の英文は、“from nothing” で表現することができます。
“nothing” は「何も~ない」、つまり “from nothing” で「何もないところから」となります。
He started his business from nothing.
彼は何もないところから商売を始めた → 彼は裸一貫から商売を始めた
また、“(start) from zero”「ゼロから(始める)」という表現も使えるでしょう。
I will have to start my business from zero.
私はゼロから商売を始めなければならない → 私は裸一貫から商売を始めなければならない
まとめ
『裸一貫』の意味や使い方を解説しましたが、いかがでしょうか?
もう一度おさらいをしましょう。
- 意味:自分の身体のほかには、なにも資本がないこと
- 使い方:地位や財産がなく、自分の体しか持っていないときに使う
生まれたばかりの赤ん坊は、まさにゼロからのスタートです。
そしてその先の人生は紆余曲折あるでしょう。
しかしたとえ失敗や困難があったとしても、いつでも『裸一貫』で再出発できます。
そう考えると色々なことにチャレンジしてみたくなりますね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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