「杯中の蛇影」ということわざを聞いたことがありますか?
意味は、疑いを抱いていると何でもないものにまで脅えてしまうということです。
次のような経験をお持ちではありませんか?
- 幽霊が出ると噂のホテルに泊まった夜のこと。歯を磨こうと鏡の前に立った。
- 鏡越しに何かの影。すぐに振り向いたが何もいない。
- きっと幽霊だ。出ると言われていたからな。間違いない。
- 恐怖がふくらむ。部屋を替えてもらおうか。
- するともう一度何かがよぎる。
- 結果…窓の外から入り込んだ車のライトだと判明。
原因がわかるまでは、妄想が加速し恐怖が頭を侵食していきます。
それが何でもないことだったと判明したとたん、それまでの恐怖心が跡形もなく消えてしまいました。
今回はそんな意味を持つ「杯中の蛇影」について解説します。
読み方 | はいちゅうのだえい |
ローマ字 | Haityuuno daei |
意味 | 疑いを抱いていると、何でもないものにまで脅えてしまうということ |
使い方 | 見間違いや勘違いで、事実とは違うことに脅えている人に対して使う |
類義語 | 幽霊の正体見たり枯れ尾花/落ち武者は薄の穂にも怖ず |
対義語 | 火を見るより明らか/明明白白 |
英文 | Snake shadow of the in the middle of the feast.ほか |
杯中の蛇影とは
「意味」疑いを抱いていると何でもないものにまで脅えてしまうということ「杯中の蛇影」
ことわざのイメージ
- 一度疑いを持ったり恐怖を覚えると、妄想がふくらむのを止められない
- 原因がわかると胸のモヤモヤがすぐに消える
ときとして疑いを持つことは大事じゃが、見当違いのことで妄想を膨らませるのはよくない。勇気を出して真実を突き止めよう。
「使い方」見間違いや勘違いで事実とは違うことに脅えている人に対して使う「杯中の蛇影」
ばあさん大変じゃ!
おじいさん、そんなに慌ててどうしたんですか?
隣のばあさんが、わしの盃に何か入れおった。あれはきっと毒じゃ。早く病院に行かんと死んでしまう!
それはきっと、杯中の蛇影ですよ。昨日わたしも戴きましたよ。おばあさんが入れたのは梅のエキスですよ。
良い例と悪い例「杯中の蛇影」
「杯中の蛇影」良い例
杯中の蛇影というが、一度疑い出したら家族や親友までも恐ろしくなる。
心を許せるはずの身近な人まで怖くなるなんて、こんなに恐ろしいことはないわね。でもきっと何かの間違いよ。
「杯中の蛇影」悪い例
盃を交わそうとしたら、中に細長い糸くずが入っていた。まるで杯中の蛇影だ。
盃の中の糸くずが、小さな蛇に見えたのか。
じゃがこれは、見間違いではなく実際に入っていたのだし、すぐに正体が判明することなので使えないな。
「類義語」2選「杯中の蛇影」
幽霊の正体見たり枯れ尾花
【意味】怖がっているときには恐ろしく思えたことが、実際には何でもないことだったというたとえ。
※「尾花」とはすすきの穂のこと。
落ち武者は薄の穂にも怖ず
【意味】弱みを持つ者は、何でもないことにまで恐れを感じるということ。
「対義語」2選「杯中の蛇影」
火を見るより明らか
【意味】きわめて明らかで疑う余地がないこと。
明明白白
【意味】非常にはっきりしていること。誰の目にも明らかで疑う余地のないこと。
「英文」2選「杯中の蛇影」
Snake shadow of the in the middle of the feast.
【和訳】宴の最中の蛇影
snake(蛇)shadow(影) in the middle(中途)of the feast(宴会中)
Shadow of a snake in a cup.
【和訳】カップの中の蛇の影
まとめ 「杯中の蛇影」
いかがでしたか?
今回は「杯中の蛇影」について解説しました。
日常生活でも、道に落ちているごみ袋が、猫がうずくまっているように見えたり、小さな黒いものが虫に見えたりしてドキッとすることがあります。目を凝らしてみると違いに胸を撫でおろすことになるのですが、事実がはっきりするまでは、妄想がどんどん膨らんで、恐怖心も大きくなり続けます。
そんなときに、今回のことわざ「杯中の蛇影」を思い出してください。
- 意味……疑いを抱いていると、何でもないものにまで脅えてしまうということ
- 使い方……見間違いや勘違いで、事実とは違うことに脅えている人に対して使う
最後までお読みいただきありがとうございました。
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