「一所懸命(いっしょけんめい)」ということわざを知っていますか?
現在では「一生懸命」のほうが一般的に使われるようになったため、あまり見聞きする機会がないかもしれません。
一所懸命とは命懸けで物事に取り組むことを意味しますが、
一生懸命となにか違うの?そう思った方も多いかもしれません。
本記事では一所懸命の意味、使い方、例文、一生懸命との違いについて詳しく解説していきます。色々な場面で使いこなせるようになりますよ。
それでは早速見ていきましょう!
読み方 | 一所懸命(いっしょけんめい) |
---|---|
意味 | 命懸けで物事に取り組むこと |
使い方 | 一つのものを守り抜く |
類義語 | ひたむき・一心一意・脇目も振らず・猪突猛進 |
英文 | very hard(とても大変)
desperately (必死に) with utmost effort(最大限の努力で) |
一所懸命(いっしょけんめい)
「一生懸命頑張ります!」と全力で取り組むときに使われる「一生懸命」ということばにはみなさんも馴染みがありますよね。
実はその「一生懸命」の語源が「一所懸命」です。
一所懸命は、昔の武士が一か所の領地を命がけで守ったことからできたことわざです。
「意味」命懸けで物事に取り組むこと
一所懸命とは命懸けで物事に取り組むことを意味します。
「由来」武士が一か所の土地を命懸けで守ったこと
中世(平安時代~室町時代)の武士は先に受け継いだ一か所(一所)の領地を命懸けで守ったことから言われるようになりました。
次第に「一所」から「一生」へと変化していき、現在では物事に全力で取り組むさまを「一生懸命」と言うようになりました。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「一生」は生涯に一度しか無いようなことという意味合いなんじゃ。江戸時代頃から「一生懸命」と言われるようになったそうじゃ。[/chat]
あなたの名字も一所懸命の土地かも?
一所懸命の土地 (いっしょけんめいのとち)は、中世日本において各々の在地領主が本貫とした土地であり、命をかけて最後まで守り抜く覚悟を持った土地をいう。その土地の地名を名字として名乗ることが多い。(引用:Wikipedia 一所懸命の土地)
もしかするとあなたの名字も、ご先祖様が一所懸命守り抜いてくださった土地の名前なのかもしれませんね。
「一所懸命」と「一生懸命」
「一所懸命」が時代とともに「一生懸命」と変化していきました。
そのため意味や使い方はよく似ています。ただ違いがまったくないわけではありません。
一生懸命は物事に対して全力に取り組むとき全般で使うのに対して、
一所懸命は一つのことを守り抜くために力を尽くすという意味合いを伝えたいときに使います。
「意味」は同じ
「一所懸命」を国語辞典(大辞林)で引いてみると以下のように記載されています。
・第1の意味…歴史的な意味(武士が命懸けで土地を守ったこと)
・第2の意味…「一生懸命」と同じ
辞書によっては「一生懸命と同じ」とだけ記載されているものもあります。
すなわち、「一所懸命」と「一生懸命」は同じ意味であると言えます。
「使い方」に違いがある
現代では一般的に「一生懸命」が使われますが、あえて「一所懸命」を使う場面を3つご紹介します。
①歌舞伎
歌舞伎の挨拶では「一所懸命」がよく使われます。
「歌舞伎への情熱、愛情をもって一所懸命勤めております。お客様にご覧いただき、少しでもパワーをお配りできたらと思います」と、公演に対する思いを力強く語りました。(引用:歌舞伎公式総合サイト歌舞伎美人)
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]代々伝わる屋号(一所)を命懸けで守るという意味を含んでいるんじゃ。[/chat]
②「一つのもの」を守り抜く
大事な「一つのもの」を守り抜きたいときに使われます。
例文:明治時代から続く我が社を一所懸命守っていきます。
③「一つのこと」に専念して全力で取り組む
現代では、「命懸け」とまではいかずとも、「一つのこと」に全力で取り組むというニュアンスで使われます。
例文:彼はA大学に入ることだけを考えて一所懸命努力してきた。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]要するに、「一か所を守る」という本来の意味を含ませて言いたいときに「一所懸命」を使うということじゃな。[/chat]
「使い方」一つのものを守り抜く
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]うちの和菓子屋は曽祖父がはじめた店でしてね、今年で創業150周年となりましたよ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]おめでとうございます。150周年とはすごいですね。私の祖母もこちらの和菓子が大好きでした。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]ありがとうございます。街のみなさんに支えられてここまでやって来られました。これからも一所懸命この和菓子屋を守って参ります。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]応援しています![/chat]
「例文」一所懸命 3つ紹介
①僕が目指すのはただ一つ、1等賞だ!一所懸命頑張るぞ。
②彼はお母さんの病気を治したいという気持ち一心で一所懸命勉強して医者になった。
③そこらじゅう一所懸命に探したが、無くした形見がまだ見つからない。
「類義語」一所懸命 4つ紹介
ひたむき・一心一意
真摯な気持ちで勉強や仕事などに取り組むこと
例文:一心一意に勉強に励んできた結果、見事に第一志望の大学に合格した。
脇目も振らず・猪突猛進
ひとつのことを目指して突き進む様子
例文:彼女は一度やると決めると猪突猛進になり、周りの状況が見えなくなってしまうところがある。
「英文」一所懸命 3つ紹介
very hard
とても大変
desperately
必死に
with utmost effort
最大限の努力で
「まとめ」一所懸命
いかがでしたか?
一所懸命は命懸けで物事に取り組む事という意味でした。
一生懸命は物事に対して全力に取り組むとき全般で使われるのに対して、
一所懸命は一つのことを守り抜くために力を尽くすという意味合いを伝えたいときに使う
「一所懸命」と「一生懸命」は同じ意味を持っているので、どちらを使っても間違いではありませんが、
「一つのことに専念して努力すること」を強調したいときには「一所懸命」を使うといいですね。
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