「瓜田李下」ということわざを知っていますか?
日本には沢山の四字熟語があり、聞いたことはあっても由来や意味まで熟知している人は少ないのではないでしょうか?
知らなくても今の生活に影響はないかもしれません。しかし知っていれば自身のスキルアップへと繋がります。普段の会話の中でさらっと口にできると周囲の目も変わるかも!
本記事では、「瓜田李下」という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます。読み終える頃には、この言葉のマスターになっているでしょう!
読み方 | 瓜田李下(かでんりか) |
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ローマ字 | kadenn rika |
意味 | 人から疑われるようなことはするべきではないということ |
使い方 | 悪い例や禁止事項を述べるとき |
英文訳 | take care to be not doubt |
類義語 | 悪木盗泉(あくぼくとうせん) |
「瓜田李下」とは
「瓜田李下」とは「人から疑われるような紛らわしいことをするべきではない」という意味の四字熟語です。語源は中国にあります。
「君子は未然に防ぎ、嫌疑の間に処らず。瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず。」
これは古楽府の君子行に書かれた中国の古い詩の一文です。
「瓜田に履を納れず」と「李下に冠を正さず」はどちらもひとつの言葉として成り立っています。そしてどちらも「誤解された残念な結果」を意味する漢文から生まれた言葉です。「瓜田」とは瓜の畑のこと。「李下」とはすももの木の下のことを指しています。
瓜の畑でかがんで履物を直すと瓜を盗んでいると疑われるかもしれません。またスモモは木に実るもの。採るためには手を上に伸ばさなくてはなりません。冠をかぶり直すにも手を上に伸ばす必要があり、果実を盗んでいると疑われる可能性があります。転じて、「このように人に疑いをもたれる行動は避けねばならない」という教えとなります。
[box03 title=”ふたつの四字熟語”]「瓜田に履を納れず」は「瓜田之履」、「李下に冠を正さず」は「李下之冠」という四字熟語です。「瓜田李下」は、両方が組み合わさって四文字にした言い方。日本では略さない言い方の方が知られています。なお前後を入れ替えて「李下瓜田」と表記されることも。使い方として「疑いを受けやすい場所や境遇のたとえ」として用いられることもあるので覚えておきましょう。[/box03]
「意味」人から疑われるような言動はつつしむべき
「瓜田李下」は人に疑念を抱かせるような言動は慎むべきであるという戒めの語です。また、人に嫌疑を抱かせるような言動のたとえともなります。
「瓜田」と「李下」はそれぞれの漢文が合体したことで「瓜田李下」という四字熟語になりました。
「瓜田」は瓜の畑のこと。「李下」はスモモの木の下のこと。瓜畑で靴を履き直そうとすると、あたかも瓜を盗もうとしているように見えてしまいます。また冠をつけ直すために手を頭の上に伸ばすとスモモを盗んでいると誤解される可能性があります。どちらも紛らわしい行動から疑いをかけられてしまう例です。
「ことわざのイメージ」
「瓜田」は瓜の畑のこと。「李下」の李はスモモのことで、スモモの木の下のことです。「瓜田李下」という漢字だけを見ると、「疑いをかけられるような言動はするべきでない」という意味をイメージするのは難しいですよね。
この意味を少し掘り下げてみましょう。これは周りからどう見られるか、どんなイメージを持たれるかということに紐づけされる言葉です。好ましくないイメージを持たれる前に、周りに配慮した行動を取れるようになると良いですね。
「使い方」悪い例や禁止事項を述べるとき
孫は部屋にこもってテスト勉強を頑張っているのかな?
もうかれこれ二時間は出てきていませんね。
でもこの前は勉強じゃなくてゲームをしてたんですよねぇ。
瓜田李下、前例があると本当に勉強しているか疑わしいな。
テストの結果でその疑いを晴らしてくれるといいですね。
この例文のように、疑われる行為に対して使用しています。
これを参考に下にいくつか例文を載せてあります。
「例文」教訓や戒め、あるいは疑われる行為に対して使用
・瓜田李下している。
・瓜田李下な〇〇。
「瓜田李下」は上記のように文章としての使用はしません。下記の良い例文のように、文の中に単独で挿入します。
・瓜田李下、正しいことをしているのだから堂々としていればいい。
・キョロキョロして慌てていると瓜田李下、犯人と間違われますよ。
以上のふたつの例文は、疑われる行為に対して「瓜田李下」を使ったものとなります。何をしたかということまでは記していませんが、自身の言動によって疑われたという意味合いです。
ではこちらの例も見てみましょう。
・瓜田李下というように、プレゼンテーションでは言葉に細心の注意をはらおう。
これは「瓜田李下」という語を教訓や戒めの意味として使ったものです。このように意味は同じでもふたつの使い方があるということです。
「類義語」「悪木盗泉」 他多数
「悪木盗泉」の意味は「志のある人は、身を慎んで悪事には近づかない」です。合わせて「どんなに困ったことがあっても、道理に外れた行為をしてはならない」という意味も含まれます。
「悪木」とは、役に立たない木のこと。人を傷つけたり嫌な臭いがする木のことも併せて指します。
また「盗泉」とは孔子が通りかかった泉の名前です。その際、孔子はのどが渇いていたのですが、その泉の水は飲まなかったとか。そのことより、悪いものに近づくと身が汚れる(悪運を寄せ付ける)ので避けるべきだという意味につながっています。この四字熟語も「瓜田李下」と同様に、戒めとして使われるものです。
戒めとしては同じ意味となりますが、「悪木盗泉」は自分自身の防御のため、「瓜田李下」は周囲からの目を気にしてということなので若干の違いはあります。いずれにせよわずかな悪事にも近づかないことですね。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]記事の冒頭で伝えた「李下瓜田」・「李下之冠」・「瓜田之履」じゃが、これらは中国の故事の中で記されている「瓜田李下」に近い意味合いの四字熟語となるので覚えておくとよいぞ。[/chat]
「対義語」火中取栗
「瓜田李下」の対義語として「火中取栗」という四字熟語をここで学んでみましょう。
意味は「自身の利益にはならないが、人のために危険を冒すこと。またはその結果、辛い思いをすること」です。
「火中の栗を拾う」と表現すると聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
このことわざは寓話が元になったものです。ある日、猿にあおられた猫が火の中で熱くなった栗を拾わされます。そのため火傷をし、挙げ句の果てには栗まで取られてしまったということ。
それでは「瓜田李下」の意味と比べてみましょう。「瓜田李下」は「自分を正当化するため、また自分が疑われないため」という自分軸の考えでしたが、「火中取栗」は「自分のためにならなくても」という相手軸の考えです。全く逆の意味とは捉えにくいのですが、物事の考え方として「自分軸」であるか「相手軸」であるかによって結果は大きく変わるもの。「瓜田李下」にしてもそうですが、今自分が置かれた状況を冷静に判断して次の行動に移していけると良いですね。
「英文」take care to be not doubt
[chat face=”tameninaruzo2.jpg” name=”ためになるZO” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]「瓜田李下」を英語に訳すとこうなるぞ。[/chat]
「take care to be not doubt」
これは「疑われないよう気をつけろ」と訳します。doubtは「疑う」という意味の形容詞。もっともシンプルに「瓜田李下」が訳されているのではないでしょうか?
「be careful not to invite the least suspicion」
次の例文は「わずかな疑惑も引き起こさないように、慎重になりなさい」と訳します。 「be careful not」の部分は「…しないよう注意しなさい」という意味。「suspicion」は「容疑、疑い」という意味です。「瓜田李下」の意味合いとして非常に近いのではないでしょうか?
まとめ
「瓜田李下」は、人に疑われる様な言動は控えるべきだという教えや喩えとなります。ようするに、たとえ些細な事でも疑惑の目を向けられてしまうことがあるので、周りに配慮しながら生活するべきだということです。
これは「瓜の畑やスモモの木の下で不審な行動を取ると泥棒に疑われる」という中国の話からできた四字熟語。自分は大丈夫だと思っても、周囲からは疑いを持たれる事があるので気を付けなければならないという解釈ですが、そう考えるとちょっとだけ窮屈に感じてしまいますよね。
確かに周りへの配慮は必要です。とはいえ人の目ばかりを気にしすぎるのもいかがなものかと思います。人の目も大切ですが、もっと大切なものが目に入ってくるよう、心に余裕は持ち続けたいものです。
この記事を最後まで読んでくださった貴方に、未来の希望が見えますように!
「瓜田李下」は人から疑われるようなことはしないほうが良いというたとえ。
ちなみに、漢字検定準1級から10級相当の文字組み合わせで、「瓜」と「李」は準1級で大学一般レベルだとか。
また「田」と「下」は10級で小学校低学年レベルの四字熟語となります。
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