「巧言令色鮮し仁」(こうげんれいしょくすくなしじん)ということわざを聞いたことはありますか?
聞いたことのない人は、
まずこの漢字を見て何て読むのかな?と思うのではないでしょうか?
あまり日常では聞くことのないことわざだと思います。
どんな意味を持っていて、どんな時に使うのか気になりますよね!
ということで、本記事では、「巧言令色鮮し仁」(こうげんれいしょくすくなしじん)という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます。
読み方 | 「巧言令色鮮し仁」(こうげんれいしょくすくなしじん) |
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意味 | 言葉が巧みで相手にへつらうように愛想をふりまく人は、人としての徳が欠けていること |
使い方 | 八方美人のような人ということを表したいとき |
英文訳 | Fair words and fine manners go not with virtue.(感じの良い言葉やうわべだけの態度は徳を伴わない。)
Those who resort to blandishments and fawning smiles are apt to lack compassion.(へつらったり、媚びるような笑いに頼る人は思いやりに欠ける傾向ある。) |
類義語 | 巧言乱徳(こうげんらんとく)/美辞麗句(びじれいく)/舌先三寸 (したさきさんずん) |
対義語 | 剛毅朴訥仁に近し( ごうきぼくとつじんにちかし )/質実剛健(しつじつごうけん) |
「巧言令色鮮し仁」とは
[box03 title=”由来”]『論語』の『学而(がくじ)』という篇です。
[box04 title=”孔子の言葉”]
- 原文:子曰、巧言令色、鮮矣仁
- 書き下し文:子曰(いわ)く、巧言令色、鮮なし仁と。
- 現代語訳:孔子はおっしゃいました。「人に気に入られようと、言葉巧みに口先でうまいことだけ言い中身が伴わない人間には、人として最も大切な徳の心がないものです。
[/box04][/box03]
孔子は「巧言令色鮮し仁」という言葉を通じて、道徳の最も大事な「仁」の心とはどのようなものかを示しました。
[chat face=”孔子-2.jpg” name=”孔子さん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「巧言令色鮮し仁」は、『陽貨』という篇にも登場します。[/chat]
- 『論語』:孔子と彼の位が高い弟子たちの言行を記録した書物
- 孔子:春秋時代の中国の思想家・儒家の始祖
「意味」巧みに飾られた言葉を言ったり、愛想よく振る舞ったりすること
「巧言令色鮮し仁」の意味とは?
[jin-iconbox02]相手に気に入られるように、巧みに飾られた言葉を言ったり、愛想よく振る舞ったりすること。[/jin-iconbox02]
[chat face=”孔子-2.jpg” name=”孔子さん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]表面だけを良く見せて接してくる人の裏には、他者を利用して利益を得ようとする目的が潜んでいる示唆した言葉です。[/chat]
- 「巧言」:口先だけが上手で、それに見合う中身を兼ね備えていないこと
- 「令色」:人にこびへつらうような愛想のよい顔つきのこと(※ここでの「色」は顔つきを、「令」は立派でよいことを指しています。)
- 「鮮し」:滅多にないこと
- 「仁」:他人を思いやる心を持って他人と関わる姿勢のこと
「ことわざのイメージ」
実際にはそれほどの能力や実力がないのにもかかわらず
[jin_icon_check color=”#e9546b” size=”18px”]相手にうまく取り入ったり、相手をうまく動かすイメージ
[jin_icon_check color=”#e9546b” size=”18px”]八方美人のようなイメージ
[chat face=”孔子-2.jpg” name=”孔子さん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「巧言令色鮮し仁」は、良いイメージで使われることはありません。[/chat]
「使い方」騙されてしまったとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]こないだ盆栽教室で出会った意地悪子さんじゃが、とても良い人だと思っていたのに「巧言令色鮮し仁」のような人じゃった・・。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]意地悪子さんと何があったんじゃ?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]わしの盆栽をすごく褒めてくれるんじゃ。それで話が盛り上がって意地悪子さんの家に行ったんじゃ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]それで?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]意地悪子さんの家に素敵な盆栽がたくさんあっての~。「今なら半額で売ってあげる。」と言われて500万円で買ったんじゃ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]ご・・500万っっ?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]じゃが盆栽教室の先生に見せたら造花だと言われたんじゃ。[/chat]
[jin-iconbox03]意地悪子さん、うまく取り入って、なるぞうさんを思い通りに動かしましたね。
このような人を「巧言令色鮮し仁」と言います。[/jin-iconbox03]
「例文」巧言令色鮮し仁(悪い例・良い例)
- 部長は正直で口うるさい、「巧言令色鮮し仁」だ。
[jin_icon_unlike color=”#e9546b” size=”18px”]正直な人には使えません。
- あの人は「巧言令色鮮し仁」だ。あまり信用しない方が良い。
- ああいう営業マンは感心しない。「巧言令色鮮し仁」と言われてしまっても仕方がない。
[jin_icon_like color=”#e9546b” size=”18px”]信用できない人、不誠実な人に対して使います。
参考文献をご紹介[jin_icon_arrowbottom color=”#e9546b” size=”17px”]
孔子の云う仁とはかなり開きがあるのだが、子路は師の教の中から、この単純な倫理観を補強するようなものばかりを選んで摂り入れる。巧言令色足恭、怨ヲ匿シテ其ノ人ヲ友トスルハ、丘之ヲ恥ヅ とか、生ヲ求メテ以テ仁ヲ害スルナク身ヲ殺シテ以テ仁ヲ成スアリ とか、狂者ハ進ンデ取リ狷者ハ為サザル所アリ とかいうのが、それだ
参考文献:『弟子』中島敦
なおこれと関連して世に誤解された教訓は、「巧言令色鮮かな仁」ということである。言語を鄭重にしたり温和にすれば、すぐに巧言と解し、威儀をもって語れば令色と曲解し、すぐに鮮かな仁と結論をくだす。
参考文献:『自警録』新渡戸稲造
「類義語」巧言令色鮮し仁(3つ紹介)
巧言乱徳(こうげんらんとく)
口先だけの誠意がないこと。
[box05 title=”例文”]巧言乱徳なことばかり言っていると、信用を失いますよ。[/box05]
美辞麗句(びじれいく)
うわべだけ飾った内容の乏しい言葉のこと。
[box05 title=”例文”]うまく世渡りしていくには美辞麗句も必要だ。[/box05]
舌先三寸 (したさきさんずん)
口先だけで上手く相手を丸め込んだり、あしらったりすること。
[box05 title=”例文”]彼女は舌先三寸で大勢の人を騙してきた。[/box05]
「巧言令色」という四字熟語があります。
「巧言令色鮮し仁」と同じ意味です。
「対義語」巧言令色鮮し仁(2つ紹介)
剛毅朴訥仁に近し(ごうきぼくとつじんにちかし)
剛毅で飾りけのない人は、道徳の理想である仁に近いということ。
[box05 title=”例文”]重要な仕事をまかせるなら、剛毅木訥仁に近しというように、彼しかいないとみんな口を揃えて言っている。[/box05]
質実剛健(しつじつごうけん)
中身が充実して飾り気がなく、心身共に強くたくましいさま。
[box05 title=”例文”]彼はよく働き、嘘をつかず、だれに対しても敬意を払う。どんな困難も立ち向かう強さもある質実剛健な人物だ。[/box05]
「英文」巧言令色鮮し仁(2つ紹介)
Fair words and fine manners go not with virtue.
感じの良い言葉やうわべだけの態度は徳を伴わない。
- 「fair」・・「丁寧な、感じの良い」
- 「words」・・「言葉」
- 「fine」・・「飾り立てた、うわべだけの」
- 「manner」・・「態度、物腰」
- 「go not with」・・ 「伴わない」
- 「virtue」・・「美徳、徳」
Those who resort to blandishments and fawning smiles are apt to lack compassion.
へつらったり、媚びるような笑いに頼る人は思いやりに欠ける傾向がある。
- 「Those who resort to」・・「~に頼る人」
- 「blandishments」・・「媚び、へつらい」
- 「fawning」・・「媚びる、へつらう」
- 「apt」・・「傾向がある」
- 「lack」・・「欠く、持っていない」
- 「compassion」・・「思いやり」
まとめ
「巧言令色鮮し仁」とは?
[box05 title=”意味”]相手に気に入られるように、巧みに飾られた言葉を言ったり、愛想よく振る舞ったりすること。[/box05]
[box05 title=”由来”]孔子の『論語』
「子曰(いわ)く、巧言令色、鮮なし仁と。」という言葉より[/box05]
「巧言令色鮮し仁」とは、言葉巧みで人から好かれようと愛想を振りまく人には、誠実な人間が少ないということ。
人の目に映る部分を完璧にとりつくろうような人には注意が必要です。
「巧言令色鮮し仁」と呼ばれるようなことなく、他者に優しく生きていけると良いですね。
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