あなたは「九仞の功を一簣に虧く」ということわざをご存じですか?
あまり目にしたことのない難しい漢字のことわざですよね。
たとえば絵を描いていて、もうちょっとで完成!というときに、油断して水をこぼしてしまったら、絵は台無しになってしまいますよね。
そんな「事が今にも成就するというときに手を抜いたために物事が完成しない、または失敗する」という意味のことわざです。
この記事では、「九仞の功を一簣に虧く」について、意味や使い方などを詳しく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでいって下さいね。
読み方 | 九仞の功を一簣に虧く |
---|---|
意味 | 事が今にも成就するというときに手を抜いたために物事が完成しない、または失敗すること。 |
使い方 | 事が成就する直前に手抜きして失敗してしまったとき |
類義語 | 磯際で舟を破る 画竜点睛を欠く 草履履き際で仕損じる 百日の説法屁一つ 仏作って魂入れず |
英文 | Fail at the last omission. To fail one step short of great success. To fail at the last hurdle. |
九仞の功を一簣に虧くとは
~由来~『書経』 旅獒
武王の補佐役が、武王に対して、政治を怠けることがないよう、戒めた文章の中に、「山を為るに九仞なるも、功を一簣に虧く(九仞の盛り土を造るときに、最後のもっこ一杯分を残してやめてしまっては、造り上げたという功績は得られない)」とあります。
引用元:コトバンク
「意味」最後に手を抜いたために失敗すること
「九仞の功を一簣に虧く」ということわざは「事が今にも成就するというときに手を抜いたために物事が完成しない、または失敗する。」という意味です。
『仞』は中国古代の長さの単位です。
九仞=約18メートル。
一簣=『簣』とは土などを運ぶ竹かご。『一簣』はもっこ一杯の土。
虧く=損なうということ。
もっことは
藁筵(わらむしろ)や、藁縄を網に編んだものの四隅に綱をつけて、土・石などを盛り、棒で担って運ぶ具。
引用元:コトバンク
「九仞の功を一簣に虧くのイメージ」
たとえばドミノを慎重に並べていて、あと少しで完成するところだったのに、ちょっと油断して手が当たってしまったら、一気に倒れていってしまい台無しになってしまいますよね。
そんなちょっとの失敗で今までの苦労が水の泡になるイメージのことわざです。
「使い方」油断をしていたら成功目前に失敗してしまったとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]一体どうしたらいいんじゃあ…。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]どうしたんですか?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]この戸棚を明日までに完成させて届けないといけないんじゃが、ネジが一本足りないんじゃ…。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]まあ、大変!
ちゃんと確認しておかなかったんですか?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]いや、まさか足りないと思っていなかったから見ていなかったんじゃ…。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]九仞の功を一簣に虧くとも言いますし、油断大敵ですよ。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]トホホ…。[/chat]
この例文のように、もうちょっとで完成だったのに少しの油断から失敗に繋がるという意味合いで使います。
これを参考に下にいくつか例文を載せてあります。
「例文」九仞の功を一簣に虧くの良い例と悪い例を紹介
「九仞の功を一簣に虧く」の良い例と悪い例を紹介します。
- 九仞の功を一簣に虧くことがないよう、最後まで気を緩めずに取り組もう。
- ここまで皆で頑張ってきたんだから、九仞の功を一簣に虧くということがないようにしよう。
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]この2つは正しい意味で使われていますね。[/chat]
難しいことにチャレンジしてたけど、九仞の功を一簣に虧くでやっぱり失敗に終わったよ。
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]『九仞の功を一簣に虧く』は成功を目前にして手を抜いたために失敗するという意味じゃから、最初から成功するか分からないことに対して使うのは間違いじゃよ。[/chat]
「類義語」九仞の功を一簣に虧く5つ紹介
「九仞の功を一簣に虧く」の類義語を5つ紹介します。
磯際で船を破る
物事がもう一歩で成就しようとするときに失敗すること。
例)どうして、あそこで油断してしまったんだろう。磯際で船を破るで、みんなに申し訳ないよ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]せっかく波打ち際まで船を乗り着けながら、上陸しないうちに難破してしまうということから来たことわざじゃよ。
難破とは暴風雨などのために船が損傷・座礁・沈没することじゃ。[/chat]
- 損傷=そこなわれ傷つくこと。また、そこない傷つけること。
- 座礁=船底が水底の岩礁(水中に隠れている大きな岩)など堅固な地物に接着して航走不可能となった状態。
- 沈没=水や泥の中に沈んでしまうこと。
画竜点睛を欠く
物事を立派に完成させるための、最後の仕上げを忘れること。
例)そこの仕上げをしっかりしないと、画竜点睛を欠くで物足りないよね。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]『画竜』は竜の絵を描くこと、『点睛』は瞳のことで『点睛』は瞳を点ずるということじゃ。
中国の梁の時代、張僧繇という絵師が竜の絵を描き、最後に瞳を入れたところ竜が天に昇ったという故事が元になっておるんじゃよ。
『画竜点睛』は大事な仕上げの意味で、その仕上げを欠いてしまうという意味から出来たことわざなんじゃ。[/chat]
草履履き際で仕損じる
最後の失敗によって、今までの成果を全部だめにしてしまうこと。
例)キミの最後の余計な一言がなかったら、契約してもらえてただろうに。これがまさに草履履き際で仕損じるだな。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]仕事をすませて帰るとき、草履を履こうとして失敗したところから出来たことわざじゃよ。[/chat]
百日の説法屁一つ
長い間の苦労がちょっとしたことで全てぶち壊しになってしまうこと。
例)せっかく今までチームで頑張ってきたのに、仲間を見下す発言はいけないよ。あなたは優秀だけど、百日の説法屁一つで今まで築いた信頼関係が台無しだよ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]百日間にも渡り、ありがたい説法を説き続けていた坊さんが、おならを一つしたために厳粛な雰囲気が壊れ、すっかりありがたみが無くなってしまうことからきてるんじゃ。
説法とは仏の教えを説き伝えることじゃよ。[/chat]
仏作って魂入れず
いちばん肝心なものが抜け落ちていること。
例)今日はカレーにしようと思ったのに、ルーを買い忘れてしまった。これじゃ仏作って魂入れずだよ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]仏像を作っても、作った者が魂を入れなければ単なる木や石と同じであることからできたことわざじゃ。
転じて、物事は仕上げが最も重要であり、それが欠けたときは作った努力も無駄になるということじゃな。[/chat]
「英文」九仞の功を一簣に虧く3つ紹介
「九仞の功を一簣に虧く」の意味に近い英文を3つ紹介します。
Fail at the last omission.
最後の手抜きで失敗する。
Fail=失敗
last=最後
omission=省略
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]こちらはことわざと同じ意味です。
最後に手抜きするなんて、今までの努力が水の泡ですね。[/chat]
To fail one step short of great success.
大成功の一歩手前で失敗する。
fail one step short=一歩たりない
great success=大成功
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]もうちょっとで大成功だったのに、その直前で失敗するなんて悔し過ぎますね。[/chat]
To fail at the last hurdle.
最後のハードルに落ちる。
To fall=落ちる
last hurdle=最後のハードル
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]ハードルを頑張って超えてきたのに、最後の最後でつまづくなんて想像したくもないですね。[/chat]
「まとめ」
「九仞の功を一簣に虧く」ということわざについて解説をしてきましたが、いかがでしたか?
意味は事が今にも成就するというときに手を抜いたために物事が完成しない、または失敗することです。
使い方は最後の手抜きで失敗してしまったときに使います。
ちょっとの失敗で今までの苦労が水の泡になるとイメージすると分かりやすいですね。
何かを始めるときにはゴールを見据えてスタートしますよね。
目標に向かって一歩一歩、進んでいたはずなのに、ゴールが見えたからと油断したり手を抜いてしまうと大失敗につながることもあります。
そうならないためにも、最後まで気を抜かずに物事に取り組みたいものですね。
そうすれば、進む先には大成功が待っているのですから。
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