- 「暖簾に腕押し」は対人関係につかわれることわざである。
読み方 | のれんにうでおし |
ローマ字 | noren ni ude osi |
英文 | It is like beating the air |
意味 | 全く手応えが無い事、相手の反応の薄さ、張り合いが無い |
類義語 | ヌカに釘、豆腐にかすがい、泥に灸、沼に杭 |
対義語 | 大黒柱と腕押し、打てば響く、柳に風 |
暖簾に腕押しとは
「語源、由来」暖簾に腕押し
「暖簾に腕押し」の語源や由来には、2つの説があります。
1つ目は、読んで字のごとく布製の「暖簾」を実際に腕で押しても手ごたえのないことから、張り合いや抵抗なく無駄なことという意味につながっているという説です。
2つ目は「腕押し」を「腕相撲」ととらえる説にあります。「暖簾と腕相撲」をしても、相手が暖簾なら手ごたえも抵抗もなく勝負は明らかです。転じて、張り合いがなく無駄なことという意味につながっているという説です。
どちらも「相手に手ごたえや張り合いがない」という点が共通しており、手ごたえや張り合いがなく、こちらの行為が無駄になるというニュアンスにつながっています。
「意味」全く手応えが無い事
◎全く手応えが無い事
「全く手応えが無い事」の意味:「自分の働きかけが意味をなさないこと」
例文:「夏休みの宿題の作文を発表したが、全く手ごたえが感じられなかった」この言葉を「暖簾に腕押し」へ変えましょう。「夏休みの宿題の作文を発表したが、暖簾に腕押しだった」となります。
◎相手の反応の薄さ
「相手の反応の薄さ」の意味:「期待程のリアクションを得られなかった」
例文:「彼氏に初めてお弁当を作ったが、反応が薄かった」この言葉を「暖簾に腕押し」へ変えてみましょう。「彼氏に初めてお弁当を作ったが、暖簾に腕押しで寂しい気持ちになった」となります。
◎張り合いが無い
「張り合いが無い」の意味:「競い甲斐が無い」、「努力しても意味が無い・やり甲斐が無い」
例文:「僕とA君は同じ子が好きだが、どうやらその子はA君が好きなようで、張り合いすら感じられず、虚しい気持ちでいっぱいだ」この言葉を「暖簾に腕押し」へ変えてみましょう。「僕とA君は同じ子が好きだが、どうやらその子はA君が好きなようで、暖簾に腕押し状態が続き、虚しい気持ちでいっぱいだ」となります。
「使い方」暖簾に腕押し
意味や使い方を知ると、ことわざが自然に溶け込んだ会話が
出来そうじゃの。
そうね。友達との会話に早速使ってみたいわ。
女性は話す事が好きじゃからのお。
古い歴史の事も知って、勉強になったし
友達にも是非教えてあげたいわ。
「良い例と悪い例」暖簾に腕押し
暖簾に腕押しの良い例
●好意のある女性に何度も食事のお誘いをするが「暖簾に腕押し」状態だ。自分の言動に対して、相手からのリアクションがなかったり、薄かったりする場合に使えます。対人関係で使用することわざです。
暖簾に腕押しの悪い例
●上司に新企画のプレゼンをしたが、暖簾に腕押しだ。暖簾に腕押しは、否定的な意味合いのため、使う際には注意が必要です。「上司にやる気が無い」「上司に話してもらちが明かない」と言うニュアンスで捉えられてしまいます。
暖簾の歴史
暖簾は、寛永(1642-1644年)頃から、日よけのためや塵よけのために用いられる他に、 屋号や商標を記す、広告の役目を果たしていました。
暖簾を掲げる事によって、お店の信用・信頼・格式を示していたんですね。今ではそう言った意味で使用される事は少なくなりましたが、今尚、様々な場所で暖簾は使用されています。
暖簾の使用例
温 泉
温泉にある「男湯」「女湯」の入り口で使われているのも暖簾ですね。中が見えないように隠す役目や、「男湯」か「女湯」なのかを教えてくれる目印の役目をしてくれています。
和食やラーメン店などの飲食店
暖簾の有無で営業しているかしていないか、お客様へアピールする事にも利用されていますが、昔ながらのお店に使われる事が多いですね。最近のお店では、付けたままにしているお店も多く見かけます。
部屋の間仕切り
お客様が来た時に見せたくない部屋(浴室やキッチン等)をリビングから 見えないようにしたり、大きな部屋の一角を別室として使いたい場合にもよく利用されます。自分だけの趣味部屋を作る事が簡単に出来る所が魅力的ですね。量販店などでは欧風のおしゃれな暖簾もよく見かけます。
神社
神社にも「暖簾」らしきものがあると思いますが、正しくは暖簾ではなく、 布製の模様の物は「 帳 」と言い、宮中などで使ったカーテンの一種です。竹製の暖簾は「 御簾 」と言いますが、暖簾の原型と言われており、各地の神社では伝統が受け継がれています。※伊勢神宮を除く。
「暖簾」=「屋号、商号」
「暖簾」=「屋号、商号」として、「暖簾分け」と言う言葉が使用されます。「暖簾分け」と言う言葉は多くの方がご存じと思いますが、現在、コンビニエンスストアなどで主流となっているフランチャイズ方式であれば、外部の人間がロイヤリティを支払い、必要な研修等受けて独立し、店舗のオーナーになれます。この事を「暖簾分け」と言います。 全国各地に、同じ建物のお店作り、看板、お客様へのサービスが提供出来る。「暖簾」=「屋号、商号」として、「暖簾分け」と言う言葉が使用されています。
※屋号と商号は似たような意味を持ちますが 主な違いは「会社が使うか、個人事業主が使うか」になります。 簡単に説明致しますと 「屋号」は個人事業主が使うもの。「商号」は会社が登記して使うもの。詳細な分類のルールがありますが、今回のお題とは話しが異なるので、割愛します。
まとめ
- 「全く手応えが無い事」「相手の反応の薄さ」「張り合いが無い」時に使用されることわざである。
- 対人関係で使用するが、否定的な意味合いがある為、上司や目上の人には使わない方が無難である。
歴史あることわざを巧みに使い、話し相手により伝わるツールにも利用できることわざを後世に残して欲しいものですね。
コメント