「重き馬荷に上荷打つ」ということわざを聞いたことがありますか?
「重き馬荷に上荷打つ」とは、大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえを表したことわざです。
重き馬荷に上荷打つ・・・聞き慣れない言葉が並んでいますね。
実はこのことわざは、万葉集に書かれている言葉です。このことわざ一つから奈良時代の時代背景も少し見ていきたいと思います。
本記事では「重き馬荷に上荷打つ」の意味や使い方、由来、例文まで詳しく解説していきますね!
読み方 | 重き馬荷に上荷打つ(おもきうまににうわにうつ) |
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意味 | 大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえ |
使い方 | つらい・苦しい・悲しいことが重なった時 |
英文訳 | The parable of adding more burden to a large burden. (大きな負担にさらに負担を加えるというたとえ) |
類義語 | 弱り目に祟り目 /重荷に小付け/踏んだり蹴ったり/泣き面に蜂/一難去ってまた一難 |
「重き馬荷に上荷打つ」とは?
[box03 title=”由来”]万葉集にある文節より
「痛き瘡には 辛塩を 灌ぐちふ如く ますますも 重き馬荷に 表荷打つと いふことの如」(痛い傷に辛い塩を注ぐがごとく、ただでさえ重い馬の荷にさらに上荷を積むような行為)※「上荷打つ」を元は「表荷打つ」と書く
[jin-iconbox08]万葉集5巻897番の一部を抜粋したものです。奈良時代の貧窮農民の暮らしや思いを温かい心で見守る山上憶良が記したと言われています。[/jin-iconbox08]
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[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]万葉集は奈良時代に作られた和歌なのじゃ。[/chat][chat face=”image-17.png” name=”わからんこさん” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=””]なんだか暗い雰囲気の文ですね。奈良時代ってどんな時代だったんだろう?[/chat]
奈良時代:農民たちは重い税や労役・兵役などに苦しみ、税負担をまぬがれる動きが起こり、よその土地へ逃げ出すものや戸籍調べの時に男を女と偽って税を逃れる者がいました。また、働き手を防人(九州の警備隊)として差し出さなければなりませんでした。とても苦しい時代でした。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]防人に行く男性の歌で、「泣いてすがる子供を、置き去りにしてきてしまった。お母さんも死んでしまっていないのに」という歌があるんじゃ・・[/chat][chat face=”image-17.png” name=”わからんこ” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=””]奈良時代はとてつらい時代だったんですね・・[/chat]
[chat face=”image-17.png” name=”わからんこ” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=””]「重き馬荷に上荷打つ」ということわざになる言葉を記した山上憶良はどんな人なのかなぁ?[/chat]
山上憶良:広い学識を持ち702年に遣唐使として唐に渡り、704年に帰国しました。長屋王らと親しく交わったといわれていますが、経歴上は典型的な下級貴族だったため出世の望みを絶たれた山上憶良は、家族を愛したり、貧窮農民を見守る温かい心を持つようになりました。そして農民の苦しい生活の様子を「貧窮問答歌」に詳しくえがきました。
「意味」大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえ
「重き馬荷に上荷打つ」の意味とは
[jin-iconbox07]大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえ[/jin-iconbox07]
「重き馬荷」は重い荷物を背負った馬、
「上荷打つ」はさらに上に荷物をのせる
という意味です。
例えば、仕事でミスをして責任をとることになり100万円払うことに・・そして家に帰ると空き巣に入られていて全財産盗まれた・・・。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう”
align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]こりゃー災難じゃ・・。最悪な出来事が重なるっていう意味じゃな。[/chat]
「ことわざのイメージ」
・苦しい
・つらい
・悲しい
など、貧しい奈良時代の背景が思い描かれるようなイメージです。
「使い方」最悪な出来事が重なってしまうかもしれないとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]畑にたぬきが来て荒らしていったから、野菜がダメになってしまったよ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]あらら・・・。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]それに明日台風がくるじゃろ。ますます畑が荒れてしまうかもしれないなぁ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]ただでさえ荒れてるのに、重き馬荷に上荷打つことにならなければよいですが。[/chat]
「例文」悪いことが重なったとき
騙されて借金を抱えてしまったが、仕事が決まったので何とか頑張って返せそうだ、でも「重き馬荷に上荷打つ」となった。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]借金を抱えてしまって、大変なことになってしまったが、悪いことが重なったわけじゃないのでこの場合は使えないんじゃ。[/chat]
パソコンを修理に出していて、ようやく直ったのに、さっそくジュースをこぼしてしまい、また修理することになるなんて、「馬荷に上荷打つ」ことになってしまった。
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]悪いことが重なってしまったのねぇ。この場合には使えますよ![/chat]
「類義語」6つ紹介
弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)
不運の上に不運が重なること。
[jin-iconbox08]弱り目に祟り目というけれど、転んだ拍子に顔をぶつけて歯が折れてしまった。[/jin-iconbox08]
落ち目に祟り目(おちめにたたりめ)
困ったときに、さらに神仏の祟りを受けるということ。
[jin-iconbox08]会社をクビになった日に事故に遭った。まさに落ち目に祟り目だ。[/jin-iconbox08]
泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)
不運が重なること。
[jin-iconbox08]捻挫している上にさらに骨折までした。泣きっ面に蜂だ。[/jin-iconbox08]
踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)
重ね重ねひどい目にあうこと。
[jin-iconbox08]ただでさえ踏んだり蹴ったりな一日だったのに、また悪い知らせがきた。[/jin-iconbox08]
一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
ホッとする間もなく次々に難がふりかかること。
[jin-iconbox08]私がやっと退院したと思ったら、次は兄が病気で入院した。一難去ってまた一難だ。[/jin-iconbox08]
重荷に小付け(おもににこつけ)
ただでさえ負担が重いところへ、負担がさらに加わる。
[jin-iconbox08]仕事が山積みなのに、さらに上司から仕事を頼まれてしまった。はぁ、重荷に小付けだ。[/jin-iconbox08]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]どれも悪いことが続いて起こるっていう意味で使われるんだねぇ。[/chat]
「対義語」3つ紹介
災い転じて福となす(わざわいてんじてふくとなす)
身に降りかかった災難や失敗が自分の有利なものになる(する)。
[jin-iconbox02]レシピの材料で足りないものがあり、失敗かと思ったが他の物を代用したらすごく美味しくできた。まさに災い転じて福となす。[/jin-iconbox02]
棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
幸運がやってくること。
[jin-iconbox02]あまりテスト勉強をしなかったが、得意分野だけ出題された。棚から牡丹餅だ。[/jin-iconbox02]
順風満帆(じゅんぷうまんぱん)
物事が順調に進むこと
[jin-iconbox02]なんだか順風満帆だ、就職が決まって恋人ができた。[/jin-iconbox02]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]例文からわかる通り、ハッピーなことわざばかりですね![/chat]
「英文」The parable of adding more burden to a large burden.
The parable of adding more burden to a large burden. (大きな負担にさらに負担を加えるというたとえ)
[jin-iconbox15]The parble of は「たとえ」という意味です。[/jin-iconbox15]
[jin-iconbox15]addingは「追加する」という意味です。[/jin-iconbox15]
[jin-iconbox15]burdenは「負担」という意味になります。[/jin-iconbox15]
まとめ
「重き馬荷に上荷打つ」とは
[jin-iconbox03]大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえを表すことわざです。[/jin-iconbox03]
[jin-iconbox03]由来は万葉集の文節より[/jin-iconbox03]
例文:重い税を課せられた上に、防人にまで行かなきゃいけないなんて「重き馬荷に上荷打つ」だ。
「重き馬荷に上荷打つ」は大きな負担に、さらに負担を重ねることのたとえを表すことわざです。
大変なこと、困難なことがあると落ち込んでしまいますよね。
そんな時さらに嫌なことが起きるなんて、もう立ち直れないですね・・。
でも、
・「人生1度や2度はそんなこともある」
・「この後はきっといいことがある」
と考えれば乗り越えられるはずです。
いろんなことがありますが、心穏やかに過ごせますように。
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