「好きこそ物の上手なれ」聞いたことがある人はかなりいることわざだと思います。
座右の銘なんかにしている方もいるかもしれませんね。このことわざ良く見ると、古めかしいい言葉遣いですよね、「上手なれ」なんて、普通は使いません。
今回は「好きこそ物の上手なれ」の由来から、意味、そして類義語、対義語、英訳に至るまで解説していきます。
この記事を読めばあなたの座右の銘が「好きこそ物の上手なれ」になるかもしれませんね。
読み方 | 好きこそ物の上手なれ(すきこそもののじょうずなれ) |
---|---|
意味 | 好きなことは一生懸命にやり、その結果自然に上達する |
使い方 | 好きな事を続けている時 |
英文訳 | Do what you love and the money will follow you. など |
類義語 | 好きは上手の元/道は好む所によって安し など |
好きこそ物の上手なれ
「由来」『菅原伝授手習鑑』
「好きこそ物の上手なれ」の語源は石田博(編)『故事成語・ことわざ事典』(雄山閣出版、一九八〇)によれば、『菅原伝授手習鑑』を語源としていました。この部分を以下に引用しました。
【『菅原伝授手習鑑』より】
上根と稽古と好きと三つのうち、好きこそ物の上手とは、藝能修行教の金言。公務の暇明暮に好せ給へる道真公。
石田博(編)『故事成語・ことわざ事典』(雄山閣出版、一九八〇)
【私訳】
上根(根気)と稽古と好きと三つのうち、好きだからこそ、飽きずに努力するため、そのことが上手になるというのは、芸能修行教(ここでの芸能は和歌のことか?その様に考えると修行教は松尾芭蕉の弟子である去来作の『去來下ー修行教』を示すと考えられる)の格言。公務が休みの間毎日趣味をたしなみなさる道真公。
【『菅原伝授手習鑑』とは?】
江戸時代の人形浄瑠璃(三味線の伴奏にのせて歌う浄瑠璃から派生した人形を舞台)の作品の事です。作者は竹田出雲、並木宗輔、三好松洛、竹田子出雲でした。作品の内容としては、菅原道真とその息子を題材とした作品でした。その後浄瑠璃に留まらず、歌舞伎にもなって大人気になりました。
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]『菅原伝授手習鑑』は日本史のテストに出てきた気がするよ。[/chat]
江戸時代から存在することわざなのですね。
「意味」好きだからこそ無自覚の努力
「好きこそ物の上手なれ」とは結局どのような意味でしょうか?
北原保雄(著)『明鏡国語辞典(第二版)』(大修館書店、二〇一〇)を引用してみると以下の様になります。「何事によらず好きなものにはおのずと熱がは入るから、それだけ上達が早いといういこと。」となっています。
簡単にすると、「好きな事を沢山やるから、その分上達が早いということ」という意味になりまそうですね。
【係り結びの「こそ」】
このことわざには、「こそ」という言葉があります。この「こそ」には、特殊な用法が存在しています。それが、係り結びというものです。簡単に説明すると、こそが影響を与える部分の活用形が変わるという事です。
「好きこそ物の上手なれ」の「なれ」が已然形になっています。普通にこの文を作るとなると「上手なり」という終止形になるはずですが、「こそ」がある為に「上手なれ」と形を変えたわけです。
「ことわざのイメージ」
好きだから努力する、努力するから上手になるという感じでしょうかね。
「好きこそ物の上手になれ」は間違いなので注意
「使い方」好きだからこそ頑張れる
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]何をしているの?[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]最近、リフティングをやっているんだけど上手くいかないなぁ。でも、好きだからもう少し続けようかなって思っている。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]そうなのか。好きだったら、続けてみるといいかもよ。好きこそ物の上手なれだよ。いつか人より上手くなっていかもしれないよ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]そうだね。続けることは大切だものね[/chat]
「例文」おしゃべりを慎むべきと戒めるとき
「好きこそ物の上手なれ」だからこそ嫌なこともやっていれば好きになって、上手くいく事があるかもしれないから続けるぞ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]好きな事だからこそ上手くなるという意味なのに、「頑張っているうちに嫌いな事が好きになって上手くいくようになる。」という意味で使っているのは間違いだよ。[/chat]
英語が好きだから、毎日英文の暗唱をやったんだ。そうしたら英語がしゃべれる様になったんだよね。まさに「好きこそ物の上手なれ」だよね。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]この文章は好きだからこそ、毎日続けてやることが出来て、いつの間にか上達しているという意味で使っているね。[/chat]
「類義語」似たことわざ二選
「好きこそ物の上手なれ」の類義語を二つ選んでみました、。それでは一緒に見ていきましょう!
好きは上手の元
このことわざは、ほぼ一緒の意味となっています。例文を見ていきましょう!
「好きは上手の元」というけどなかなかうまくいかないなぁ。
北原保雄『明鏡国語辞典 第二版』(大修館書店、二〇一〇)を参考
道は好む所によって安し
これも「好きこそ物の上手なれ」とほぼ同じ意味となります。
「道は好む所によって安し」というから、すぐに結果は出ないにしても好きだから続けようと思います。
「対義語」反対の意味のことわざ一選
「好きこそ物の上手なれ」の対義語についても一つ選びましたので、確認していきましょう!
下手の横好き
石田博(編)『故事成語・ことわざ事典』(雄山閣出版、一九八〇)によれば、「下手のくせにその事を好む意」とあります。あまりうまくないのにその事が好きという意味ですね
「下手の横好き」なのに、あんなに頑張っているのがなんとも言えないね。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]上手の反対語の下手がついていて覚えやすいね。[/chat]
「英文」Do what you love and the money will follow you.(あなたが好きなことをしなさい、そうすればお金はついてくるだろう)
この英文を解釈してみましょう!まずは「Do」からです。
DO
この「do」は、いきなり動詞が出ていることから、命令文の可能性があります。ここは取りあえず、「~しなさい」という意味で読んでおきましょう。
what
これは、疑問詞ではなさそうですよね。文中にある事から、間接疑問文か、関係代名詞かのどちらかになります。間接疑問文なら「何を~するか」、関係代名詞なら「~すること」という意味になります。現時点では決められないので、続きを見ていきましょう。
you
「あなた」という意味ですね。
love
「愛している」という意味ですね。「好きこそ物の上手なれ」という文章の英訳と考えると、「好き」という意味でとった方がいいのかなと思います。
ここで、「what」の解釈ですね。間接疑問文なら「あなたが何を好きなのかをしなさい」、関係代名詞なら「あなたが好きなことをしなさい」となります。
どうやら関係代名詞の意味になりそうですね。
and
命令文の後ろに「and」が来ると「~しなさい、そうすれば~する」という意味になります
the money
「お金」という意味です。
will
「~するだろう」という意味です。この「will」の後ろには動詞がきます。
follow
「~についてくる」という意味の動詞です。
you
ここでも「あなた」という意味です。
まとめると「あなたが好きな事をすれば、お金はついてくる」という意味になります。しかしこれだとわかりづらいので、「お金があなたに付いてくる」をお金が付いてくるのだから「お金持ちになる」という意味で考えればわかりやすくなります。
私訳としては、こうなります。
Do what you love and the money will follow you.
私訳:(あなたが好きなことをしなさい、そうすればあなたはお金もちになるでしょう)
好きな事を続けていれば、頭角を現し、お金持ちになるという事でしょうかね。
「まとめ」
それでは、「好きこそ物の上手なれ」の意味などを確認していきましょう!
- 好きだから自然と続くし、上手くなるという意味
- 「好きこそ物の上手になれ」とは言わないので注意
となっています。
好きな事を続けることは大切なことですよね。そして、好きという事は時に自信を持つことにつながるわけです。しかしながら、時には、自分よりも格上の人が現れて自信を無くすこともあると思います。
けれども自分を信じて、曲げずに続けていけばきっと良いことが起こるはずです。また自分という物を持って時には曲げない頑固さも必要な気がしました。
その様な心持ちの人が「私の座右の銘は「好きこそ物の上手なれ」です。」と言った時かっこいいですよね。
もうすでに好きな事を見つけている方は、座右の銘にするのはどうですか?
まだ見つかっていない人は、今後「楽しくて続けられるな」と思うようなことがあればこの記事を思い出してくださるとうれしいです。
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