このことわざ、文面だけ見れば「小の虫を殺して」と、
「何か事件でも起こったのか!?」と少し物騒に感じませんか…?
しかし、日常生活に置き換えると私たちは「小の虫を殺して」=なにかを犠牲にし、
「大の虫を助ける」=重要な物事を優先していることって
意外と何気なく行っていることでもあります。
本記事では、「小の虫を殺して大の虫を助ける」という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます。
読み方 | 小の虫を殺して大の虫を助ける(しょうのむしをころしてだいのむしをたすける) |
---|---|
意味 | 小さなものを犠牲にして、重要で大きな物事を守ること |
使い方 | 重要な物事のために、一部が犠牲になったときなど |
英文訳 | What millions died that Caesar might be great?(帝王が偉大になるために何百万人の者が死んだか) |
類義語 | 一将功なりて万骨枯る/大事の前の小事/一殺多生 |
小の虫を殺して大の虫を助けるとは
大きなものを優先するために、小さなものを犠牲にするという意味のこのことわざ。
調べたところ、詳しい語源や言葉の由来については記載がありませんでした。
ちなみに、
「小の虫を殺して大の虫を生かす」「大の虫を生かして小の虫を殺す」
とも言います。語呂の組み合わせが変わるだけで意味は同じです。
由来・語源:特になし
同義語である一将功なりて万骨枯るの由来を引用しておきます。
古代中国の戦の様子を読まれた漢詩が由来であり、
一人の功績のために、多くの人が犠牲になることを意味します。
唐王朝末期の詩人、曹松の漢詩「己亥の歳」の一節。戦乱に苦しめられる庶民の暮らしを心配した上で、「君に憑む、話る莫かれ封侯の事を、一将功成りて万骨枯る(お願いだから、軍功を挙げて高い地位を得たいなどと言わないでくれ。一人の将軍が功名を上げる陰で、おびただしい数の人骨が朽ちていくのだから)」とうたっています。
〈引用:コトバンク「一将功なりて万骨枯る」より〉
「意味」 小さなものを犠牲にして、重要で大きな物事を守ること
例えば、あなたが倒産寸前の会社の社長であったとします。
その場合、考えられる最優先事項は「会社の存続」ですよね。
倒産を免れるためには、経費削減のために「リストラ」が行われたり、
小さな部署はなくなったりするでしょう。
以上のように、すべてを実行することができなければ
・重要な物事を守るためには、それよりも小さなものが犠牲になることがある
・全体を生かすためには、一部を切り捨てることがある
という意味を持ちます。
「ことわざのイメージ」
・大きな功績には小さな犠牲が伴う
・取捨選択を行う
「使い方」重要な物事のために、一部が犠牲になったときなど
「ナルゾウ商社にて」
[chat face=”kaisya_desk1_syachou_man.png” name=”部長” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]最近、売り上げが下がっている隣の営業2課がなくなったんだよ、、、。[/chat]
[chat face=”businessman_cry_man.png” name=”平社員” align=”right” border=”blue” bg=”none” style=””]それはリストラってことですよね!?まさか、うちの会社でそんなことが、、、。[/chat]
[chat face=”kaisya_desk1_syachou_man.png” name=”部長” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]経営が厳しいからね、、、倒産を回避するには仕方なかったんだろう。[/chat]
[chat face=”businessman_cry_man.png” name=”平社員” align=”right” border=”blue” bg=”none” style=””]小の虫を殺して大の虫を助けたということですね、、、僕らも頑張らなければ、、、。[/chat]
「トロッコ問題」のことをご存知でしょうか?
倫理的な思考実験の一つとして、1人の命と5人の命のどちらを犠牲にするかが回答者に問われる問題です。
小の虫を殺して大の虫を助けるのことわざにも共通するように、何かのために犠牲を払うという意味でも参考にできる問題です。
あなたにとっては、1人の命と5人の命、どちらが大事でしょうか。
暴走するトロッコの軌道上に5人の作業員がいて、そのまま放っておけば5人は轢死する。自分が分岐器を作動させれば、トロッコは別の軌道に入るが、その先にも1人の作業員がいる。この場合、「自分」はどのような選択をすればよいかという問い。特定の人を助ける代わりに、別の人を犠牲にしてもよいかという倫理学上のジレンマを扱っている。
〈引用:コトバンク「トロッコ問題」より〉
「例文」重要な物事のために、小さなことが犠牲になるとき
明日の数学と化学のテストどちらも成績が良くないのだが、小の虫を殺して大の虫を助けるともいうし、今日はイチかバチか数学だけ勉強することにした。
何かを重要なことを優先するために使われることわざなので、
同じ重要度の物事に対しては使用は適しません。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]というか、数学も化学もどっちも勉強するべきじゃよ。[/chat]
ナルゾウ商社では事業拡大のために、経営不振の部署を廃止したそうだ。ときに経営者には、小の虫を生かして大の虫を助ける判断をしなければいけないということだろう。
この場合、重要な物事や会社という組織全体のために、
その中の一部が犠牲になるということを、ことわざで表現することができます。
以下の引用のように、現代文でも使用されることわざです。
「妥協を主張するようなやつらは労働者の連帯意識がないぞ!」とどなっているのはとうちゃんだ。「小の虫を殺して、大の虫を生かす、いうこともあるわい」首切りにならなかった組合員が結束していた[田辺聖子*鬼たちの声|1968]
「類義語」小の虫を殺して大の虫を助ける・類義語3選
・一将功なりて万骨枯る
・大事の前の小事
・一殺多生
それぞれ、重要な物事のために小さな犠牲があることを意味します。
一将功なりて万骨枯る
【意味】一人の功績のために、多くの人が犠牲になること。
大事の前の小事
【意味】大きな事の前には、小さなことや犠牲にかまっていられないこと。
一殺多生
【意味】多くの人を助けるために、一人を殺すこと。
※いっさつたしょうとも読みます。
「対義語」小の虫を生かして大の虫を助ける・対義語2選
・小事は大事
・大事は小事より起こる
これらのことわざは、大きな物事のために
小さなことにも気を抜かず取り組むことを促すメッセージが含まれています。
小事は大事
【意味】大きな事も、もとは些細な事から起こるので、小さなこともいい加減に扱ってはいけないということ。
大事は小事より起こる
【意味】どんなに大きなことでも、もとをたどれは小さなことから起こるということ。些細なことも油断してはならないという意味。
「英文」What millions died that Caesar might be great?
What millions died that Caesar might be great?
訳:帝王が偉大になるために何百万人の者が死んだか
million/百万人 that/(ここでは)~するために
Caesar/シーザー(古代ローマの支配者)might be/~かもしれない、~だろう
同義の英語のことわざにおいても、
支配者の大きな功績の裏には、権力の持たない人たちの犠牲があるということから
重要なことのためには、小さな犠牲が伴うというメッセージが読み取れます。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
まとめとして、もう一度ことわざの意味を振り返っておきましょう。
・大きなものを守るために、小さなことが犠牲になることがある
日々の忙しい生活の中で、すべてのことを完璧にこなしたり、
同じ力のかけ方で取り組むのはなかなか難しいですよね。
そんな中でも、今何が重要なのか取捨選択を繰り返すことが大切でもあります。
キャパオーバーになる前に、何を優先すべきか一歩立ち止まってみるのもいいかもしれません。
コメント