「多勢に無勢」ということわざを聞いたことがありますか?
「多くの敵には少人数では勝てない」という意味を持つことわざです。
[chat face=”平清盛.png” name=”平清盛さん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]敵方の数の方が味方の数よりも多く勝ち目が少ない場合に使われます。[/chat]
「多勢」の読み方は「たぜい」であって「おおぜい」と読むのは誤りになります。
本記事では、「多勢に無勢」という言葉の意味や使い方など徹底解説していきます。
読み方 | 「多勢に無勢」(たぜいにぶぜい) |
---|---|
意味 | 多くの敵には少人数では勝てない |
使い方 | 相手方の方が圧倒的に人数が多く、負けそうなとき |
英文訳 | Overwhelm(圧倒する)
You can’t beat many enemies with a small number of people.(多くの敵には少人数では勝てない。) |
類義語 | 衆寡敵せず(しゅうかてきせず)/八方塞がり(はっぽうふさがり)/数の論理(かずのろんり) |
対義語 | 寡を以って衆を制す(かをもってしゅうをせいす)/少数精鋭(しょうすうせいえい) |
「多勢に無勢」とは
[box03 title=”由来”]『平家物語』や『承久記』、『太平記』の中に「多勢に無勢」の言葉が使われています。
鎌倉時代、兵の数が戦の勝敗を分ける重要なポイントでした。
戦においての最大の関心事は、兵の数だったことから、多くの敵には少人数では勝てないという意味で使われました。[/box03]
『平家物語』:鎌倉時代に成立したとされる軍記物語。平家の栄華と没落、武士階級の台頭等を描いたもの。
『承久記』:後鳥羽上皇の挙兵によって起こされた承久の乱を記した合戦記。
『太平記』:南北朝時代を舞台にした軍記物語。後醍醐天皇の倒幕計画に始まり、鎌倉幕府の滅亡、建武新政等、半世紀にわたる南北朝内乱期の歴史を描いた書。
「意味」多くの敵には少人数では勝てないということ
「多勢に無勢」の意味とは
[jin-iconbox02]多くの敵には少人数では勝てないということ[/jin-iconbox02]
- 「多勢」とは、「人がたくさんいる」という意味
- 「無勢」とは、「人が少ない」という意味
多人数に対して、少人数で向かったのではどうにもかなわないこと、というニュアンスです。
「ことわざのイメージ」
[jin_icon_check color=”#e9546b” size=”18px”]少数派は多数派に敵わない
[jin_icon_check color=”#e9546b” size=”18px”]圧倒的に勝ち目がない状態
「使い方」圧倒的に不利な状況で負けてしまったとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]昨日のサッカーの試合、ボロ負けじゃった・・。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]あらら・・。去年は優勝したのに、残念でしたね。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]前日に捻挫してしまっての~。調子が悪かったんじゃ。その上、レッドカードを2枚もらい、2人少なくなってしまって・・。絶望的じゃった![/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]多勢に無勢で負けてしまったんだね・・。[/chat]
[jin-iconbox02]こちらは不利な状況に加えて、人数が少ないからどうしようもない。という意味合いで使ってますね!
基本的には、このように「無勢」の立場でネガティブな場合に使います。[/jin-iconbox02]
「例文」多勢に無勢(悪い例・良い例)
- 1対1の接戦で、多勢に無勢であったため最後の最後で負けてしまった。
圧倒的に不利な状況の時に使うため、1対1や接戦だった場合には使えません!
①織田信長は多勢に無勢ながら、桶狭間で見事に敵を破った。
②「多勢に無勢」というように、一人が主張しても、その他全員が反対すれば却下される。
①は、由来にもある通り、戦いにおいて、仲間数が少なければ勝ち目がないという意味があります。この例文の場合は、そんな状況下でも敵を破ったという意味で使われています。
②は、多数決の場合に使っています。
以下参考文献です[jin_icon_arrowbottom color=”#e9546b” size=”17px”]
ここで霧の中の月見橋の上に、一大争闘の場面が現出したが、結果は分明だった。多勢に無勢をもって、平馬一人を取っちめようとした鏡之介ほか下妻の一同も、二十人に対する三十人以上では、同じく多勢に無勢で、かえって蜘蛛の子を散らすように退散しなければならなかった。 参考文献:『平馬と鶯』林不忘
而も生活だけするといふことは出来るが、芸術だけするといふことは芸術家も人間である限り出来ぬ。かくて、其処に、紛糾は、凡そ未だ甞て誰も思つてもみなかつた程発生してゐるのであるが、そのことを文献は殆んど語つてゐないといふも過言ではない。かくて此処では、「多勢に無勢」なる法則だけが支配し、芸術は何時も窘められるが、而も生活側が芸術を窘めようとすることこそ人類が芸術的要求を有する所以のものであり、芸術的要求の生活側に於ける変態的現象であると云へる。
参考文献:『芸術論覚え書』中原中也
「類義語」多勢に無勢3つ紹介
衆寡敵せず(しゅうかてきせず)
少人数では多人数に立ち向かっても到底かなわないということ
[box05 title=”例文”]衆寡敵せずという言葉の通り、中小企業が大企業相手に勝利するのは難しい。[/box05]
[chat face=”北条政子.jpg” name=”北条政子さん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]『三国志』や『孟子』の言葉から来ていて由来は違いますが、同じような意味を持っています![/chat]
八方塞がり(はっぽうふさがり)
どの方角に向かって事を行ったとしても、不吉な結果が予想されること
[box05 title=”例文”]八方塞がりなこの状況を何とか乗り越えたい。[/box05]
[chat face=”北条政子.jpg” name=”北条政子さん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]陰陽道の占いで、どの方角に行っても不吉な結果が予想されることが由来となっています。[/chat]
数の論理(かずのろんり)
少数派との対話を重視せず、意見の集約を行わないまま多数決で結論を導こうとする姿勢
「数の論理」
- 政治世界でよく語られるようになった言葉
- 1970年代に日本の総理大臣になった田中角栄が考え出した政治戦略
- 支持者を多く集めることで少数派との議論に多くの時間をかけることなく多数決で自身の方針を推し進めることを可能にしたことより
[chat face=”政治家.jpg” name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「政治は数であり、数は力であり、力を作るのは金である」という姿勢が民主主義において正しいか否かは別として、現代においても「多勢に無勢」が有効であることを証明しました。[/chat]
「対義語」多勢に無勢2つ紹介
寡を以って衆を制す(かをもってしゅうをせいす)
少人数で大人数に勝利をおさめるということ
[box05 title=”例文”]20対2では圧倒的に不利だと思ったが、勝利を収めた。まさに、寡を以って衆を制すだ。[/box05]
- 「寡」:少人数
- 「衆」:多人数
- 「制す」:勝つ・抑える
[jin_icon_check color=”#e9546b” size=”18px”]「少人数でも希望を捨てないで」と少数派の相手を励ます意図で使われます。
少数精鋭(しょうすうせいえい)
人数は少ないが、優れた者だけをそろえるということ
[box05 title=”例文”]御社を志望する理由は、少数精鋭である点に魅力を感じたからです。[/box05]
- 「少数」:少ない数
- 「精」:心身の力・活力
- 「鋭」:勢いが鋭いさま
「人数は少ないが、優れた者だけをそろえること」という意味になります。
「英文」多勢に無勢2つ紹介
Overwhelm
圧倒する
[jin-iconbox02]「圧倒する」という意味合いから「多勢に無勢」に近い意味合いとして使えます。[/jin-iconbox02]
You can’t beat many enemies with a small number of people.
多くの敵には少人数では勝てない。
[jin-iconbox02]
- can’t:~できない
- beat A with B:BでAを倒す
- many enemies:多くの敵
- small number of people:少人数の人
[/jin-iconbox02]
beat A with B=BでAを倒すなので
「beat many enemies with a small number of people」とは、
「少人数(a small number of people)で多くの敵( many enemies)を倒す」となる。
まとめ
「多勢に無勢」とは、
[jin-iconbox02]読み方:「だぜいにぶぜい」[/jin-iconbox02]
[jin-iconbox02]意味:多くの敵には少人数では勝てない[/jin-iconbox02]
[jin-iconbox02]由来:『平家物語』などにあった言葉より[/jin-iconbox02]
- 「多人数に対して、少人数で向かったのではどうにも敵わない」
- 「数の上で不利な状況」
というマイナスなイメージで使われることざわです。
「多勢に無勢」ということわざは日常生活を表していますね。
学校・会社・グループ活動等で、極端な人数差がある中での少数派は、厳しい状況に立たされることになります。
できるだけ、少数派にならないようにするというのが、あらゆる戦いに勝つためには必要なのかもしれませんね。
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