「馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)」ということわざを知っていますか?
よく耳にする有名なことわざですよね。
「あの人にはいくら説明しても馬の耳に念仏よ!」と何を言っても無駄でありがたみがわからない人に対して言いますね。
「猫に小判」や「豚に真珠」などの似たことわざも有名ですが、「馬の耳に念仏」と何か違いがあるのでしょうか?
本記事では、「馬の耳に念仏」ということわざの意味、由来、使い方、例文、そして類義語についても詳しく解説していきます。今まであなたが知らなかった「馬の耳に念仏」を知ることができるでしょう!
早速見ていきましょう!
読み方 | 馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ) |
---|---|
意味 | いくら良いことを言い聞かせても、そのありがたみがわからないこと |
類義語 | 犬に論語・兎に祭文・牛に対して琴を弾ず・猫に小判・豚に真珠・糠に釘・暖簾に腕押し |
使い方 | 興味がない人にいくら説いても無駄 |
英文訳 | Giving advice to him is like talking to a brick wall.
(彼にアドバイスするのは、まるで壁に話しかけているようなものだ) |
馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
馬に向かって「南無阿弥陀仏…」と念仏を唱えたら、どんな反応をするでしょうか?
「さっきからこの人なにか言ってるなぁ…まぁいいか。」といったところでしょうか。
おそらく馬は、念仏の内容はもちろんのこと、念仏がありがたいものであることさえも理解できませんよね。
「馬の耳に念仏」は、そんなふうに馬の耳に念仏を唱えてもなにも効果がないのだということをたとえにしています。
「意味」ありがたみがわからないことのたとえ
「馬の耳に念仏」とは、馬にありがたい念仏を唱えても理解できず無駄であるように、
いくら良いことを言い聞かせても、そのありがたみがわからないことを意味します。
「由来」ことわざ「馬耳東風」が由来
「馬の耳に念仏」は、よく似た意味のことわざ「馬耳東風」が由来とされています。
「馬耳東風」とは
人の意見に耳を貸さないことを意味します。
「東風」とは「春風」のことを指し、
馬は春の風が吹いても、人のように心地よく感じて喜ぶことをしないことから、
人の意見を心に留めようとしない=人の意見に耳を貸さないこと
のたとえになりました。
「馬耳東風」の「風」がやがて「念仏」に変化していき「馬の耳に念仏」が生まれました。
「馬の耳に念仏」と「馬耳東風」の違い
よく似たことわざで混同されやすいですが、実は少しニュアンスが異なります。
「馬の耳に念仏」…価値や意味が理解できないため、どれだけ言い聞かせても効果がない
「馬耳東風」…他人の意見に耳を傾ける気がない
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]
つまり、その価値や意味がわかっていない人に対して言うのが「馬の耳に念仏」で
価値や意味がわかる云々以前に、聞く気がない人に対して言うのが「馬耳東風」
ということじゃな。
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[box06 title=”あわせて読みたい”]「馬耳東風」の語源
「馬の耳に念仏」の由来となった「馬耳東風」は
中国の詩人李白の詩が元になっています。
世人聞此皆掉頭
有如東風射馬耳世間の人は詩や歌を聞いても、その意味を理解せずに、頭を振るだけだ。
馬の耳に東風が吹いても、馬は何も感じないように、世間の人も何も気にすることはない
「馬は風が吹いても何も感じないように、世間の人も詩や歌に興味さえ持っていないじゃないか!」と、李白自身の「自分の価値が世間で認められず、力を発揮する機会さえ与えられない!」といった嘆きを表現した歌です。
[/box06]
「馬の耳に念仏」と「馬耳東風」はよく似たことわざでしたね。
他にも似た意味のことわざが数多くあります。
見てみましょう!
「類義語」馬の耳に念仏の類義語7選
「馬の耳に念仏」に似た意味のことわざは、有名なものからあまり知られていないものまで数え切れないほどありますが、今回は中でも代表的な7つのことわざを紹介します。
「犬に論語」「兎に祭文」「牛に対して琴を弾ず」
どれも、どのように言い聞かせても効果がないことを意味します。
「馬の耳に念仏」にとてもよく似たことわざです。
例文:教授が研究発表をしてくださったが、私には難しすぎて犬に論語となってしまった。
「猫に小判」「豚に真珠」
どちらも、どんな貴重なものでも、その価値がわからない者に与えたら何の役にも立たないことを意味します。
例文:父にブランド物の鞄なんてあげても豚に真珠。お酒のほうが喜ぶわ。
「馬の耳に念仏」は言い聞かせが伝わらず無駄であるというニュアンスなのに対して、
「猫に小判」「豚に真珠」は物の価値が伝わらず無駄であるというニュアンスで使われます。
「糠に釘」「暖簾に腕押し」
どちらも、手応えがないこと、効果が感じられないことを意味します。
米ぬかに釘を打ち込んでも、暖簾を腕で押しても、スカッと空振りしてしまって手応えがなさそうですよね。そんなイメージです。
例文:試験に向けて対策をしたもののすべてが釘に糠。 緊張で力を発揮できなかった。
「馬の耳に念仏」は人に対して使われますが、
「糠に釘」「暖簾に腕押し」は行為に対しても使われます。
「使い方」興味がない人にいくら説いても無駄
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]私は歌舞伎が大好きでのぅ。週末に妹を連れて見に行ってきたんじゃ。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”blue” bg=”none” style=””]ほぅ!歌舞伎ええのう。奥深いよなぁ。妹さん楽しんでおったか?[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]いいや隣で寝ておったよ。それならばと帰りの道中に物語のあらすじと面白さを語ってやったのじゃが、またまた寝ておった。馬の耳に念仏じゃ。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”blue” bg=”none” style=””]妹さん寝過ぎじゃ!興味がないんじゃのう。[/chat]
ためになるこさん、大好きな歌舞伎の良さを妹さんに共感してもらえず残念でしたね。
興味がない人にいくら言い聞かせても心に響きませんよね。その良さを理解できないのですから。
さらに他の例文も見ていきましょう!
「例文」馬の耳に念仏の例文4つ紹介
①「子どもに静かにするように言い聞かせても馬の耳に念仏だ!」と言われて少し腹がたったわ。子供だからって馬鹿にしないで、何度でも目を見て伝えることが大事だと私は思うわ。
②私にそんな難しい医療用語で説明されても馬の耳に念仏です。素人でもわかるようにお話していただけませんか。
③妻に盆栽の素晴らしさを毎日話しているが馬の耳に念仏である。これっぽちも興味がないんだから。
④頑固な父は、歌手になりたいという私の夢に大反対で馬の耳に念仏状態よ。私の気持ちなど理解できないのよ。
「英文」馬の耳に念仏の英文3つ紹介
①Giving advice to him is like talking to a brick wall.
直訳:彼にアドバイスをするのは、まるでレンガの壁(brick wall)に話しかけているようなものだ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]彼にアドバイスするくらいなら壁に独りごと言っている方がましじゃ。[/chat]
②Praying to deaf ears.
直訳:耳の聞こえない人(deaf)にお祈り(pray)をする。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]耳の聞こえない方に声でお祈りをしても伝えることができんなぁ。手話を覚えたほうがいいのう![/chat]
③In one ear and out the other.
直訳:片方の耳から入り、もう片方の耳からでる。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]耳に入ってはすぐに出ていく。つまり聞き流しているということじゃな。
これは「馬耳東風」にニュアンスが近いかもしれんのう。
ことわざを英語で表現するって難しくもあり、おもしろいのう![/chat]
まとめ
いかがでしたか?
・「馬の耳に念仏」はいくら言い聞かせてもありがたみがわからないことのたとえ
・「馬の耳に念仏」はその価値や意味が理解できないためにどれだけ言い聞かせても効果がないときに使う
「あなたに話したってどうせ馬の耳に念仏よ!」なんてセリフ、できれば言われたくないですよね…
でも「馬の耳に念仏」が有名なことわざであるということはきっと、
よく使われてきたことわざであるからです。
物事に対する「価値観」や「知識」は人それぞれですから、一生懸命伝えようとしても
どうしても「馬の耳に念仏」となってしまうことがあるのです。
私も話を理解してもらえないときに、怒ったり馬鹿にしたりするのではなく、
いろんな考え方の人がいるんだな~と寛大に捉えられるようになりたいものです。
みなさんも「馬の耳に念仏」、ぜひウマく使いこなしていってくださいね(^^)
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