若者言葉でも「ちりつも」と略称があるように、小さな努力や物事の積み重ねをたとえるときに、日常会話でよく使用される「塵も積もれば山となる」ということわざですが、皆さん何となくは意味をご存知なのではないでしょうか?
実は、1700年も前からほぼ同じ内容の表現があった、「塵も積もれば山となる」とは、詳しくはどういった意味や使われ方をするのでしょうか?
本記事では、「塵も積もれば山となる」という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます!
読み方 | 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる) |
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意味 | 小さなことも、おろそかにせず努力すべきだということ |
使い方 | 地道な努力の大切さを伝えるときなど |
英文訳 | ・Many a little makes a mickle.(少量のものが多く集まれば多量になる) ・Light gains make heavy purses.(僅かな収益が重い財布を作る) ・Small things add up to make a big difference.(小さなことが積み重なり、大きな違いを作る。) |
類義語 | 雨垂れ石を穿つ/細き流れも大河となる/ローマは一日にして成らず |
塵も積もれば山となるとは
語源・由来:仏教書『大智度論』より(2~3世紀頃、インドの仏教哲学者が仏教の経典に注釈を入れたもの。)少しの怒りや欲望を積み重ねていくと、魂が救われることは難しくなるという一節が転じた。
「大智度論―四諦品」の一節から。ちょっとした怒りや欲望でも、それを重ねていると魂が救われるのがむずかしくなる、ということを、「微塵を積みて山と成し、移動するを得べきこと難きがごとし(微少な塵を積み上げて作り上げた山でも、動かすことが困難であるようなものだ)」とたとえています。
〈引用:コトバンク「塵も積もれば山となる」より〉
また、日本最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』でも、塵も積もれば山となるとほぼ同様の内容が記載されており、現在の表現は江戸時代に成立し、『江戸いろはかるた』にも収録されている。
【いろはかるた】
現在でもお正月遊びの一つとして挙げられ、「いろはにほへとちりぬるを」に始まる「いろは」に「京」を足した48文字に、絵札にそれぞれの頭文字に合わせたことわざやたとえが書かれた、子ども用の歌かるたです。江戸時代中期から登場し始め、「犬も歩けば棒に当たる」なども、かるたに収録されていることわざの一つです。
子供向きの歌がるたの一種。「いろは」47字に「京」の字を加え、これらを頭(かしら)文字とした字札48枚と、同じく絵札48枚、計96枚を1組にしたもの。江戸中期から「いろは」48文字をそれぞれ句の始めに詠み込んで教訓的な諺(ことわざ)、譬(たとえ)にしたさまざまな「いろは譬」が登場した。「いろは教訓歌」「いろは短歌」などとよばれ、短歌形式のもの、漢詩や俳句式のもののほか各種がある。それらが遊戯化され、やがて文化(ぶんか)年間(1804~18)ころ、その形式をかるたに取り入れて「いろはがるた」が生まれた。
〈引用:コトバンク「いろはがるた」より〉
[chat face=”hakase1_smile.png” name=”ことわざ博士” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]1700年前の随分前の文献が由来である今回のことわざは、世界中の言語で同じような意味の表現があるのじゃ!英語・中国語・韓国語での、塵も積もれば山となるをそれぞれ紹介しよう![/chat]
[jin-iconbox08]英語「Many a little makes a mickle.」
中国語「積少成多」
韓国語「티끌 모아 태산」[/jin-iconbox08]
「意味」小さなことも、おろそかにせず努力すべきだということ
塵のようなごくわずかなものでも、積み重ねると山のように高く大きなものになるということから、小さなことをおろそかにせず努力することで、いつか成果を得ることができるという意味を持ちます。
他に、同義語で「塵積もりて山となる」「土積もりて山となる」「微塵も積もりて山となる」とも言います。
[chat face=”hakase1_smile.png” name=”ことわざ博士” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ここで使われる”塵”は、「ゴミ」や「埃」のことではなく、「微塵」などで使用されるように「ごくわずかなもの」という意味なのじゃ![/chat]
「ことわざのイメージ」
- 地道な努力
- 小さなことも大切
- コツコツ積み上げる
- 何事もおろそかにしない
- 雑用、つまらないこと
「使い方」地道な努力の大切さを伝えるときなど
[chat face=”banzai_schoolboy1.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]やったーーーーー!!ついに…ついにだ![/chat]
[chat face=”school_blazer_girl_necktie.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]なるぞうさんそんな大きな声だして一体どうしたの?学校中に響く大声だったわよ。[/chat]
[chat face=”test_print_happy_schoolboy.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]ついに、万年英語赤点だった僕が、期末テストで100点を取れたんだよ![/chat]
[chat face=”school_blazer_girl_necktie.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]本当に!?それはおめでとう!だってなるぞうさん、一年前から毎日休まず英単語を覚えていたもんね。塵も積もれば山となる、あなたの努力が成果に結びついたのよ。[/chat]
[chat face=”banzai_schoolboy1.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]良いこといってくれるねなるこさん…。単語を覚え始めたときは「こんなの意味があるのか?」と思ってたけど、こんなにうれしいなら地道な努力を続けていてよかった![/chat]
「例文」小さなことの積み重ねが、大きな成果に結びついたときなど
最初は一つのちり紙をポイと床に置いただけだったのに、塵も積もれば山となり、家がゴミ屋敷のようになってしまった。
[chat face=”hakase1_smile.png” name=”ことわざ博士” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]小さなものが積み重なるということを意味するが、ごくわずかなものの積み重ねに対して使われるので、ごみなどのつまらないことの積み重ねに対して塵も積もれば山となるを使うと誤用になるのじゃ![/chat]
子どものころから、毎日小銭を1枚ずつ貯金箱に入れるのを習慣にしていたのだが、一人暮らしを機に貯金箱を割ってみると、塵も積もれば山となり、貯金額が100万円になっていた。
[chat face=”hakase1_smile.png” name=”ことわざ博士” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]毎日の少しの積み重ね=小銭の貯金が、大きな成果=大金に結びついたということ、小さな積み重ねの大切さを塵も積もれば山となるということわざで、わかりやすく伝えることができるぞ![/chat]
「類義語」「雨垂れ石を穿つ」など3つ紹介
- 雨垂れ石を穿つ
- 細き流れも大河となる
- ローマは一日にして成らず
雨垂れ石を穿つ
【意味】軒先の雨垂れも、同じところに長い間落ち続ければ硬い石に穴をあけることから、小さな力でも、根気よく続けることで成果を得ることができるという意味。「雨垂れ石窪む」ともいう。
【例文】雨垂れ石を穿つで、長年地道に執筆活動を続けていた結果、今回初めて本を出版できるという成果に結びついた。
[box06 title=”あわせて読みたい”]雨垂れ石を穿つ[/box06]
細き流れも大河となる
【意味】小さな川が集まれば、やがて大きな大河に流れ着くことから、小さい努力を続ければ、いつか大きな成果に結びつくということ。「小さな流れも大河となる」ともいう。
【例文】細き流れも大河となるというように、まずは僕たちが初めの一歩を踏み出し諦めずボランティア活動を続ければ、いつか行政が動いて社会を変えられるかもしれない。
ローマは一日にして成らず
【意味】大きな事業は、長年の努力によってなり立つということ。ローマ帝国が700年という長い年月をかけて築かれたことが転じた。
【例文】この会社も今年で70周年を迎えることができました。ローマは一日にして成らずというように、現状に甘んじず私達の目標である世界シェアNO.1にむけて、これまでの地道な努力を未来に続けていくことで成果に結びつくと信じています。
「対義語」「座して食らえば山も空し」
- 座して食らえば山も空し
座して食らえば山も空し
【意味】働かずに座って食べているだけでは、山のようにあった財産もすぐになくなってしまうこと。「居て食らえば山も空し」「座食すれば山も空し」ともいう。
【例文】都会に疲れて、田舎に帰ってきたものの、これ以上ニート生活をしていれば貯金もなくなるだろう。座して食らえば山も空しというから、早く仕事を探さなければいけない。
[jin-tensen color=”#f7f7f7″ size=”3px”]
※塵を積もれば山となるの対義語としては、座して食らえば山も空しということわざ以外にあまりあてはまるものがありませんでした。
以上のことから、小さなことや小さな時は立派だったのに、年を重ねると平凡になってしまうことを意味することわざも参考として紹介しておきます!
十で神童十五で才子二十過ぎればただの人
【意味】小さなころは、才能があり神童ともてはやされていても、大体の人が成長すれば平凡な人になってしまうということ。
【例文】十で神童十五で才子二十過ぎればただの人というからね、自分の子供は可愛くて天才だと思ってしまうけれども、過度に期待をかけてしまえば、かえってその子の成長を妨げるかもしれないから気を付けなければいけない。
「英文」「Many a little makes a mickle.」など3つ紹介
Many a little makes a mickle.
訳:少量のものが多く集まれば多量になる
[jin_icon_pencil color=”#e9546b” size=”18px”]mickle/山盛り、山積み、多量
Light gains make heavy purses.
訳:僅かな収益が重い財布を作る
[jin_icon_pencil color=”#e9546b” size=”18px”]gains/gainの複数形、利益、収益 heavy/重い purses/purseの複数形、財布
Small things add up to make a big difference.
訳:小さなことが積み重なり、大きな違いを作る。
[jin_icon_pencil color=”#e9546b” size=”18px”]small things/小さなこと add up tp/結局~ということになる big difference/大きな違い
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
それでは再度、塵も積もれば山となるのことわざのポイントを振り返っておきましょう。
- 由来は、仏教書『大智度論』より。
- 意味は、小さなことをおろそかにせず努力することで、いつか成果を得ることができるという意味
- 塵は、「微塵」のように「ごくわずか」なことを意味する。
- 類義語は、雨垂れ石を穿つ/細き流れも大河となる/ローマは一日にして成らず、など
地道な努力を続けることがいかに大切か、頭ではわかっていてもどうしても続かないことはあるかもしれません。
そんな時は、いつか実現したい大きな目標を念頭において、今目の前にある小さなやるべきことが必ず実を結ぶと、自分を認めて信じることが大切かもしれませんね!
今していることがつまらなく地味に思えても、螺旋階段を上るように風景が変わらなくても、実は頂上に近づいていると思って頑張ってみましょうね!
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