山路を登りながら こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。 とかくに人の世は住みにくい。

と、すこし読みにくいこの作品、日本の文豪である夏目漱石によって生み出されました。
この冒頭部、とっても有名で もしかしたらあなたも 耳にしたことがあるかもしれませんね。
今回のことわざはそんな有名な一文”智に働けば角が立つ(ちにはたらけばかどがたつ)です。
さて、私と一緒に意味や使い方を見ていきましょう!!
読み方 | 智に働けば角が立つ (ちにはたらけばかどがたつ) |
---|---|
意味 |
理性的に考えすぎて行動すると、人との間に波風が立ちやすく、衝突も起こってしまう |
使い方 |
論理的に考えただけで発言すると、角が立ってしまう |
類義語 | 物も言いよう(ものもいいよう)
丸い卵も切りようで四角(まるいたまごもきりようでしかく) ※”角が立つ”の類義語となります |
英文訳 | Approach everything rationally, and you become harsh.(何事も理性的に取り組むと、厳しくなる) |
智に働けば角が立つ(ちにはたらけばかどがたつ)
「意味」理性的に考えすぎて行動すると、人との間に波風が立ちやすく、衝突も起こってしまう
智に働けば角が立つ (ちにはたらけばかどがたつ)とは、
理性的に考えすぎて行動すると、人との間に波風が立ちやすく、衝突も起こってしまうという意味です。
すなわち、漱石が書いた文章は、
”智” ”情” ”意”この三つの内のどれかに傾むいた行動をとれば、色々と問題が生じてしまう
と言う事を表現しており、このバランスをとる事はなかなか難しいと言っていたのです。



「使い方」論理的に考えただけで発言すると、角が立ってしまうという場面












このように
論理的に考えただけで発言すると、角が立ってしまうという場面でも
智に働けば角が立つ(ちにはたらけばかどがたつ)
を使うことが出来ます。



「例文」悪い例と良い例
智に働けば角が立つというので、先日の会議では極力 人の心にうったえかけるような話し方をしたにも関わらず、理解を得る事は出来なかった。



その考え方はおかしいのではないかと思い、理詰めで相手に説明してしまったため、相手を怒らせてしまった。智に働けば角が立つとは、まさに!もっと言い方を考えれば良かった。
「類義語」角が立つ 2つ ご紹介
ここでは、”角が立つ”にスポット当て、人とのコミュニケーションが 時として上手くいかなくなる、といった意味で使われる類義語をご紹介致します!
物も言いよう(ものもいいよう)
言い方によっては、物事が穏やかに進まなくなってしまうということ。
((使用例))
A課長は誰かに頼み事をする時、わざわざ相手の癇に障る様な言い方をする。物も言いようって言うけど・・・相手が不快に思っている事、気が付いていないのかしら?
丸い卵も切りようで四角(まるいたまごもきりようでしかく)
丸い卵でも、切り方によっては四角になる事があるように、やり方や伝え方によっては、穏便に済むことが済まされなくなってしまうことがあるということ。
((使用例))
お昼に何が食べたいか聞いたところ、「焼きそばでいいや」と言われた。焼きそばが食べたいな!と言ってくれれば良いものの・・・丸い卵も切りようで四角と言うが、もうちょっとマシな伝え方があるんではないかと思った。



「英訳] Approach everything rationally, and you become harsh.
Approach everything rationally, and you become harsh. (何事も理性的に取り組むと、厳しくなる)
Approach・・・取り組む
everything・・・あらゆる物事
rationally・・・合理的(に考えて)
become・・・~になる
harsh・・・ (人に対して)厳しい、酷い ※ハーシュと発音します



実は・・・この作品は日本文学研究者であり翻訳家であるAlan Turney氏が、次の様に英訳しています。
Approach everything rationally, and you become harsh. Pole along in the stream of emotions, and you will be swept away by the current. Give free rein to your desires, and you become uncomfortably confined. It is not a very agreeable place to live, this world of ours.
((直訳文))
何事も理性的に取り組むと、厳しくなる。感情の流れに棹さしていると、流れに押し流されてしまう。欲望に身を任せれば、居心地が悪くなり、窮屈になる。この世界は、あまり住みよい場所ではない。
((原文))
知に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。



まとめ
この記事では、智に働けば角が立つ(ちにはたらけばかどがたつ)をご紹介致しました。
智=知性、それは事実を正確に把握して、己で考え判断する力
情=感情、それは喜びや悲しみ、怒りや幸せを感じる心
意=意志、それは何かをやろうとする心の原動力
この3つは1つでも欠けてしまえば、上手く機能することはできません。



と、 漱石はこの作品を通して読者に語りかけたかったのかもしれませんね。
そしてなにより、この小説を世界中の人が愛してやまないのは、そういった誰しもが思う、”この住みづらい世の中を生きていくには、どうすれば良いのか・・・それは、住みにくいことを分かっている上で、3つの柱のバランスを上手くとっていったらきっと生きやすくなるよ”という、人生をよりよく生きるヒントが散りばめられているから・・・かもしれませんね。
今回のことわざを通して、また日本の偉人達の作品を身近に感じる良い機会になっていたら・・・とっても光栄です!
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