みなさん、こんにちは。
今回、紹介する”ことわざ”は「風前の灯火」です。
この”ことわざ”を初めて目にしたとき、あなたは読めましたか?
読めない、または読み間違える人は少なくないようです。
どんなふうに読み間違えるかと言うと…
- くうぜんのともしび
- かざまえのとうか
- ふうぜんのとうか
確かに、読み間違えしやすいですね。
正しい読み方は「ふうぜんのともしび」です。
会社や地域の組織の議論や話し合いの中で、さらりと入れると知的イメージがアップする良い”ことわざ”なので、この機会に是非覚えちゃいましょう。
では、ここから先は「風前の灯火」について、徹底解説していきますよ。
「風前の灯火」完全ガイドは
ここからスタートです!
一覧で見る「風前の灯火」
読み方 | ふうぜんのともしび |
ローマ字 | Fuzen no tomosibi |
意味 | 非常に危ういさま |
由来 | 風に吹かれて今にも消えそうなろうそくの火 |
使い方 | 消えてなくなりそうな状況のとき |
類義語 | ①風の前の塵 ②魚の釜中に遊ぶが如し ③泥船に乗る |
対義語 | 灯滅せんとして光を増す |
英文 | A candle flickering before the wind. |
風前の灯火とは
「風前の灯火」とは、今の状況が非常に危ういさまを意味しています。
「意味」非常に危ういさま
「風前の灯火」は、今の状況が非常に危険であることを意味します。
また人が亡くなる直前の、今にも消えそうで、はかない命を意味する”ことわざ”でもあります。
ことわざのイメージ
「風前の灯火」と聞いて、頭に浮かんだ言葉を並べてみました。
- はかない、弱々しい
- かげろうのよう
- 昼行灯
- 線香花火
- 花の命は短い
明るく元気で、絶好調な人に向かって言う”ことわざ”ではありません。
「使い方」消えてなくなりそうな状況のとき
お帰り、なるこさん。なる村友の会はどうじゃった?
最近は、どんどん参加者が減っていたけど今日は、お隣と私の2人だけだったの。
なる村の活気ある伝統行事なのに…。寂しいのう。
友の会は、もはや「風前の灯火」だから存続が危ぶまれるわ。
良い例と悪い例「風前の灯火」
「風前の灯火」良い例
A:課長、なんだか魂ぬかれた人みたいじゃない?
B:営業成績が悪すぎて、次の人事で降格かもって噂よ。
A:もはや営業課長としての尊厳は「風前の灯火」ね。
「風前の灯火」悪い例
A:営業部は成績不振との噂ですが大丈夫でしょうか?
B:確かに先月より落ちたから「風前の灯火」だけど、今月の売り上げでカバーできるから何の問題もないさ!
「類義語」 3つ紹介 風前の灯火
①風の前の塵
読み方 | かぜのまえのちり |
意 味 | もろくはかないさま、危険が迫っているようす |
例 文 | 彼の人気も長くないだろう、今の栄華は「風の前の塵」のようだ。 |
由 来 | 『平家物語』の一説 |
♦分かりやすい解説 「風の前の塵」
『平家物語』の有名な一文の中に”偏(ひとえ)に風の前の塵に同じ“とあります。
飛ぶ鳥を落とす勢いであったとしても
沙羅双樹の花が散るように栄華は、もろくはかない。
このままずっとは続かないこと、危険は目前に迫っていることを、風が吹く前の塵に例えています。
②魚の釜中に遊ぶが如し
読み方 | うおのふちゅうにあそぶがごとし |
意 味 | 危険が迫っていることを知らず、のんびりしている例え |
例 文 | 部長、焼肉おごってくれたけど、明日の会議で給与が20%カットだと発表されるのに…。 魚の釜中に遊ぶが如しだな。 |
由 来 | 後漢書(ごかんじょ)の張綱伝(ちょうこうでん)から |
♦分かりやすい解説
「魚の釜中に遊ぶが如し」とは?
魚の釜中とは魚が釜の中にいること。これから煮えたぎる湯で食われようとしているのに、それを知らない魚が釜の中で優雅に泳いでいるさま。こののちに襲って来る危険が迫っていることも知らず、呑気にしているようすを表現した格言。
後漢時代の記録が書かれている歴史書の中に、政治家であった張綱)が残した明言の一つとして知られる。
③泥船に乗る
読み方 | どろぶねにのる |
意 味 | 今にも崩れそうなさま |
例 文 | 給料遅延が当たり前だなんて「泥船に乗る」ようなものだぞ。今から転職先を探しておくんだな。 |
由 来 | 日本の民話『かちかち山』から |
♦分かりやすい解説 「泥船に乗る」
泥船は日本の民話『かちかち山』の中に
登場します。
悪さばかりをするたぬきを懲らしめようと、ウサギが泥で作った丈夫な船があると誘い
たぬきを泥船に乗せ川を渡ります。
途中で泥は水に溶け、船は川底へと沈みかけました。
助けを求めるたぬきにウサギは
もう二度と悪さをしないなら助けてあげると
言います。
最後には助けられたたぬきですが
非常に危うく、今にも崩れそうなようすを表現しています。
これが「泥船に乗る」です。
「対義語」灯滅せんとして光を増す
読み方 | とうめっせんとしてひかりをます |
意 味 | 滅びる直前に、一瞬だけ勢いを取り戻すこと |
例 文 | 怪我をして引退する先輩が優勝だなんて、まさに「灯滅せんとして光を増す」だ。 |
由 来 | 『法滅尽経(ほうめつじんきょう)』から |
♦分かりやすい解説
「灯滅せんとして光を増す」
法滅尽経とは、お釈迦様が弟子の阿難尊者に残した言葉です。未来の予言だとも言われています。
“釈迦が入滅(亡くなること)したのち、誰もが仏道修行をしなくなる。すると天変地異や、災害、人が人を殺すような恐ろしい時代に入るであろう。挙句の果てに、この世から仏法が消えてしまうときがくる。
その消える瞬間に、光を取り戻したような勢いが見られるであろう。
このように、釈迦の前にひれ伏している者の前で堂々と言い放ったそうです。
この遺言とも言える言葉が「灯滅せんとして光を増す」となったのです。
「英文」A candle flickering before the wind.
英分で「風前の灯火」を表現すると、どうなるのでしょうか?
英単語の意味を知ろう
candle | ろうそく |
flickering (flickerの現在分詞) | チラチラする、灯火のゆらめき |
before the wind | 風の前、風を受けて |
これらの英単語をつなげると「風前の灯火」と、同じ意味になります。
まとめ
いかがでしたか?
今回の”ことわざ”は、少し難しさを感じたかも知れませんね。
でも途中で諦めずに最後まで読み切ったあなたは、今後もう「風前の灯火」を使いこなしていくことでしょう。
最後にもう一度、意味と使い方をおさらいしておきましょう。
- 意味=非常に危ういさま
- 使い方=消えてなくなりそうな
状況のとき
「風前の灯火」を、うまく使ってる人を見つけたわ!
みんなも真似して、どんどん使っていきましょう。
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