皆さんは『下駄を預ける』という言葉を知っていますか?
物事の処理や、重要となる最後の決断を人に任せるといった意味があります。
たとえば会社内で何かミスがあった時など、あとの責任を相手に請け負わせる人がいたりしますよね…。そのような時に使う言葉が「下駄を預ける」なのです。
本記事では、「下駄を預ける」という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます。要注意すべき間違った捉え方なども詳しく解説しますので、ぜひ最後まで読んでしっかりと理解しましょう!
読み方 | 下駄を預ける(げたをあずける) |
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意味 | 物事の決定や責任の一切を相手に任せること |
使い方 | あとの処理は君に下駄を預けるね |
類義語 | 丸投げする |
英語訳 |
Deposit clogs
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『下駄を預ける』とは
それでは、「下駄を預ける」の語源から見ていきましょう!
「語源」日本の習慣から
日本では、入り口で履物を脱ぐ習慣がありますね。そして昔はその履物のほとんどは下駄や草履でした。
仕事などで、特に偉いところの商店や座敷に出向く際には、入り口で脱いだ履物を相手に”預けて”いたそうです。そうすると、預けた履物を返してもらうまでは帰ることも、どこへ行くことも出来ません。そのため、下駄を預けた相手の心次第で自由に動くことが出来なくなることから、「下駄を預ける」という言葉が使われるようになりました。
「意味」 物事の決定や責任の一切を相手に任せること
「下駄を預ける」とは
①ある問題について、その処理の方法や責任の一切を相手に任せる。
②自分の身の振り方、物事の決定などを他に一任する。
という意味があります。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ふむふむ。決定を任せる…ということは、相手のことを信頼している時に使う言葉なのかのぅ?[/chat]
ここで注意点です!
”任せる”・”一任している”という言葉から、『相手のことを信頼・信用している』という意味に捉えることは間違いですので気を付けましょう!
ここでの”一任する”とは、本来自分が持つべき責任までも相手に任せることを指しています。決して相手のことを信頼してという意味ではなく、責任や大事な最後の決定を任せっきりにするという捉え方が正しいのです。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]なるほど。考えや責任を放棄して、相手に任せてしまうというマイナスなイメージの言葉なんじゃな。[/chat]
「使い方」重要な最後の決定をしなければいけないとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]参ったなあ。どうしたものか…。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]なるぞうさん、ため息なんかついてどうしたんです?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]それが、さっき町内会の話し合いがあったんじゃが…いつも何か決め事をするときは「なるぞうさんに任せましょう。」と、みんなわしに下駄を預けてくるんじゃ。困るなぁ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]あらまぁ。頼もしい存在なのかもしれませんが、毎回そうだとうんざりしてしまいますね。[/chat]
この例文のように、”最後の決定などの重要な役割を任せる・押し付ける”という意味合いで使っています。
これを参考に下にいくつか例文を載せてあります。
「例文」下駄を預ける 4つ紹介
先ほど記述した注意点を含め、間違った例文・正しい例文を4つご紹介します。
お隣とはとても仲良くさせて頂いてるので、子どもに何かあった時も下駄を預けるつもりです。
”信頼しているからこそ子どものことも安心して預けることが出来る”という表現かもしれませんが、本当の意味を知っていれば「任せっきりにされるのかな」と思われてしまうかもしれません。使う時には十分注意が必要なのです。
①いつも面倒な仕事はしようとせず、部下に下駄を預けてばかりの上司のせいで毎日残業続きだ。
②僕に下駄を預けておいて、いまさら文句を言うとは本当に腹立たしい。
③ミスを続けてしまった僕の今後の進退については、社長に下駄を預けている。
”預けられる”といった受け身の形であれば、「難しい判断を押し付けられて、断ることが出来ず困る」という辛い感情が読み取れますね。
「類義語」丸投げする
「下駄を預ける」の類義語として「丸投げする」と言う言葉が挙げられます。
『丸投げする』とは
・発注者から仕事を請け負った元請けが、下請けから手数料を取って仕事をそっくり譲ること。
・本来なら担当すべき業務をそっくり他者に任せること。
といった意味があります。
二つ目の意味が「下駄を預ける」と似ていますね。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]”丸投げ”は、最初からやる気がなく全てを他人に任せることじゃが、”下駄を預ける”は途中まで自分でやっていたが、手に負えなくなって最終的な判断を他人に任せることじゃな。類義語なんだが、少しだけニュアンスが違うのがわかるかい?[/chat]
「対義語」相互扶助
「下駄を預ける」の対義語には「相互扶助」という言葉があります。
『相互扶助』とは
お互いに助け合い、支え合うこと。協同精神のこと。
”扶”は、支える・”助”は、助け合うの意味です。
例文:人は、お互いに支えあい助け合いながら生きている。相互扶助して生活しているんだよね。
「英文」Deposit clogs
「下駄を預ける」を英語に訳すと、”Deposit clogs”となります。
”Deposit”:①〜に腰を下ろす ②(銀行や金庫などに)預金する、預ける
”clog” :①動きを妨げるもの、障害物 ②(道路の)渋滞 ③木靴、下駄
といった単語の意味になります。
「下駄」に関連したことわざ
下駄を履かせる
本来の数量にある数量を加えて、全体の数量を実際より多く見せるという意味。
下駄を履かせて実際より背を高く見せることからとされています。
この意味の他にも、囲碁の手筋として・印刷用語として使われる場合もあります。
例文:彼は面接に持っていく履歴書の学歴や資格などの項目に下駄を履かせたようだ。
下駄と焼き味噌
焼き味噌は、味噌を板に塗って遠くから炙った料理です。
(板につけて焼いた味噌の形は、下駄に似ているが、実際は違うことから)
一見形は似ていても、内容は全く異なることのたとえ。
例文:同期の二人は見た目はよく似ているが、性格は正反対なんだ。まるで下駄と焼き味噌だね。
まとめ
いかがでしたか?「下駄を預ける」という言葉を理解出来たでしょうか?
「下駄を預ける」とは
・物事の決定や責任の一切を他人に任せること。
・相手のことを信頼・信用しているという場合に使うのは間違いのため注意!
現代では”下駄”などはあまり履く機会がないため、それに関連することわざもご紹介しました。聞き慣れないことわざも多かったかと思います。
今回のことわざ「下駄を預ける」ですが、自分に”預けられた”場合は、厳しい状況・うんざりする気持ちが思い浮かぶため、あまり喜べない言葉なのかもしれませんね^^;
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