この記事では「背水の陣」の
- 意味
- 由来
- 使い方
- 類義語
- 英文
まとめて詳しく解説していきます。
意味は、一歩も後にひけない切羽詰まった状況や立場。そういう状況に身を置き、必死の覚悟で事にあたる事。
読み方 | はいすいのじん |
ローマ字 | haisui no jin |
英文 | 「back against the wall.」 「burn one’s bridges.」 |
意味 | 切羽詰まり、一歩も後にひけない緊迫した状況 |
使い方 | 自ら背水の陣を敷き、一度失った奮起を取り戻す |
類義語 | 「絶体絶命」 「孤立無援」 「崖っぷち」 「前門の虎後門の狼」 |
対義語 | ー |
背水の陣とは
意味「背水の陣」
「背水の陣」とは、逃げ場がなく切羽詰まった状態という意味です。
「背水」とは水を背にすることで、「陣」とは軍隊を配置すること。敵に追い込まれ、川や海など水がある場所まで追い込まれ、非常に緊迫した状況の中を、決死の覚悟で目の前の事に取り組んだり戦ったりするという意味で使われます。
由来「背水の陣」
「背水の陣」の由来は、中国「泰」の時代が去り、漢王朝との闘いの場を迎えようとしていた故事の時代にさかのぼります。
漢王朝を打とうとしていた劉邦の部下「韓信」が、あえて兵士たちを川の前に配置させ「負ければ死を覚悟」という状況に追い込み、必死に戦わせることで見事勝利を収めた、という話からきています。
つまり、敵に油断をさせ、自軍の赤旗を立てることで「お前たちは負けた」と精神的に撹乱させ勝利を成した。「劣勢でも勝てる」ことの教えと言えるでしょう。
後ろに川があれば、逃げ場も無い。つまり生きるか死ぬかの瀬戸際。兵士の士気を高める手法を取った。そして、敵兵を油断させる戦法としても有効だったのだ。
侍は自らの命すら断つ、強い忠誠心があったんじゃな。
今じゃ考えられない時代だわねぇ。
今でも「背水の陣」は色んな場面で聞くがなぁ。
勉強や仕事で使われる事がほとんどじゃろうか。
そうねぇ。普段の生活でそういう場面はなかなか無いわ。
良い例と悪い例「背水の陣」
「背水の陣」良い例
- 国立大学の受験日、僕は背水の陣で試験に挑み、見事合格した。
- 営業で1位になるには、あと1件の顧客を得なければ!背水の陣の思いで複数の企業にアポを取った。
- 自ら背水の陣を敷き、一度失った奮起を取り戻す。
「背水の陣」悪い例
- 観光客が滝を背にして集合写真を撮っている。まるで背水の陣のようだ。
✖「背水の陣」は、物事の様子に使われる事はありません。
類義語を四つ紹介「背水の陣」
其の一「絶体絶命」
どうにも逃れようのない差し迫った状態や、立場にあることを意味します。
※注記:「絶」は、窮まる(極限に達する)こと。「絶体」を「✖絶対」とは書きません。
「絶体絶命」の使い方
大きな失敗をし、「絶体絶命」の苦境に追い込まれる。
其の二「孤立無援」
頼るものがなく、ひとりぼっちで助けの無いさま。
※注記:「無援」は助けがないこと。「無援孤立」ともいう。
「孤立無援」の使い方
両親の転勤が多く、その度、新しいクラスになかなか馴染めず、孤立無援を何度も味わった。
其の三「崖っぷち」
切り立った崖の縁の部分。もはや一歩も後には引けない窮地を崖の縁に例えています。
おかれた状況が非常に悪く、切羽詰まった様子で「危機的状況」「絶望的」「ピンチ」とも言い換えられます。
「崖っぷち」の使い方
ギャンブルに全財産をつぎ込んだ。妻に愛想をつかされ、何度謝っても許して貰えず、崖っぷちだ。
其の四「前門の虎後門の狼」
意味は、一つの災いを逃れても、またもう一つの災いが襲ってくることです。
一つの問題が解決したら、他の問題が発生する場面で使われます。
なお、「前門の虎後門の狼」に「挟みうち」という意味は含まれません。しかし、前後に虎と狼がひかえている状況から、「挟みうち」という意味での誤った認識を持たれている方も多いです。使い方には気を付けましょう。
「前門の虎後門の狼」の使い方
病気が治ってやっと退院出来たのに、次の日事故に合い、再び入院となった。
英文を二つ紹介「背水の陣」
No1. back against the wall.
日本語へ訳すと、「壁に背を向ける」となります。壁(the wall)に背中が向いている、つまり逃げ道がないという意味で「彼は背水の陣を敷いている、彼は追い込まれている」と解釈する事が出来ます。
「back against the wall」の使い方
Even with my back against the wall, I will never give up.
日本語訳:絶体絶命の状況でも絶対にあきらめない。
No2. burn one’s bridges.
日本語へ訳すと、「橋を燃やす」となりますが、橋が燃えれば戻れないと言う意味です。
「橋を燃やしてしまい、もう後に戻れない」と解釈する事が出来ます。
「burn one’s bridges」の使い方
If you don’t do that properly, you’ll burn your(one’s) bridges behind you.
日本語訳:あなたがそれを適切にしないのなら,取り返しのつかないことになるでしょう。
「背水の陣」という言葉は、冒頭「由来」にてお話しした通り、中国が語源で、英語圏の言葉ではありません。
それ故、英訳する場合「背水の陣」を指す言葉は無く、その国独自の言葉に置き換えられています。
下記に4つの例をあげましょう
Ⅰ 「last stand」 最後のスタンド
(standの意味は「立つ」ですが、変化の停止を表す事から「我慢」を意味しています)
Ⅱ 「last ditch-effort」 最後の溝の努力
Ⅲ 「final attempt」 最後の試み
Ⅳ 「end of one’s rope」 ロープの端
※注記※ 全て直訳です。
ことわざは各国の文化が異なる故、訳す場合に使用する単語が全く違う場合が多々あります。
日本での「背水の陣」は「水」や「海」を背にしてますが、英訳した場合「橋が燃える(burn one’s bridges)」と訳されたり「壁(the wall)」もしくは上記にあげた英語で例えられる場合もあるのです。
まとめ「背水の陣」
- 意味は、一歩も後にひけない切羽詰まった状況や立場に身を置き、必死の覚悟で事にあたること。
- 使い方は、『国立大学の受験日、僕は背水の陣で試験に挑み、見事合格した』など、自分を奮い立たせる為に使われます。景色や様子、描写的な物に使用される事はありません。
「背水の陣」のような見事な戦略で難題を解決出来てこそ、本物の武士と言うもの!!
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