みなさん、こんにちは!
今回の”ことわざ”は、爬虫類と両生類がモチーフになっています。
「蛇に睨まれた蛙(へびににらまれたかえる)」とは、天敵に睨まれ身動きが取れずにいるようすを意味します。
自然界は”弱肉強食”の厳しい掟がありますが、人間社会も似たような状況がありますね。
実は「蛇」や「蛙」が出てくる”ことわざ”は意外と多いのです。
蛇と蛙がモチーフになってる
“ことわざ”に着目してみました。
「蛇がモチーフの”ことわざ”」
- 鬼が出るか蛇が出るか(おにがでるかじゃがでるか)
- 蛇の道は蛇(じゃのみちはへび)
- 草を打って蛇を驚かす(くさをうってへびをおどろかす)等々。
上記は、ほんの一部です。他にも、たくさん蛇が使われている”ことわざ”があります。
興味のある人は検索してみてください。
次に、蛙はどうでしょうか?
「蛙がモチーフの”ことわざ”」
- 蛙の子は蛙(かえるのこはかえる)
- 井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
- 蛇が蛙を呑んだよう(へびがかえるをのんだよう)
やはり、蛙がモチーフにされている”ことわざ”も、いくつかありました。上記は、ほんの一部に過ぎません。
蛇や蛙は、古来より私たちと共存してきました。また、人間にとって身近な生物なのだと改めて実感できます。だからこそ、多くの”ことわざ”に登場するのでしょう。
「蛇に睨まれた蛙」に見られるように、私たちは生きる上で必要な教訓を、身近な生物を例えにして学んできたのです。
会社に勤務する社員や友人、家族など身近な人たちとの人間関係に使われることわざですから、この機会に本当に意味を覚えておきましょう。
一覧で見る「蛇に睨まれた蛙」
読み方 | へびににらまれたかえる |
ローマ字 | Hebini niramareta kaeru |
意味 | 恐怖のあまり身動きが取れなくなったさま |
使い方 | 絶体絶命だと感じたとき |
由来 | 蛙は蛇が近づいたら動かない習性から |
類義語 | 鷹の前の雀/ 猫の前の鼠 |
英文 | Deer in the headlights. |
蛇に睨まれた蛙とは
「由来」蛇に睨まれた蛙
「本当に蛙は蛇が怖いのでしょうか?」
この地球上に、蛙を餌とする生物はたくさんいます。水中では魚、水鳥。陸に上がれば、蛇・トカゲ・鳥・ハリネズミ等です。蛙にとって天敵は蛇だけではありません。しかし、蛇は動くものを食用の対象とする習性があります。それを知っている蛙は、その場でじっとして動かないことで、蛇に食べられないよう自分の身を守っているのです。言い換えれば蛙は、弱肉強食の中で生き抜くすべを知っているのです。怖くて動けないのではなく、動かないのです。そのようすが、時代と共に”ことわざ”「蛇に睨まれた蛙」を生み出しました。
蛙が動かない本当の理由を知ってる人を見つけたよ。
「意味」恐怖のあまり身動きが取れなくなったさま
「蛇に睨まれた蛙」とは、自分にとって天敵のような人に目を付けられ、自由に動けない状況を指します。
※注意※
幽霊や虫を見て、恐怖で身動きが取れなくなったのとは訳が違います。
あくまでも、苦手とする人が相手の場合を指します。多くの場合、自分より地位が高い人や、目上の人が対象です。
例えば、会社だと社長や上司であり、地域だと目上の年配者。また、ママ友のボスや部活の先輩、コーチなどが考えられます。
これで対象者もおおよそ絞り込めましたし、意味は充分理解できました。
では次に、どのようなときに使うのでしょうか?あとは使い方さえ、覚えれば例文の一つや二つをあげるのは容易いことです。
とても気になりますが、使い方をチェックする前に「蛇に睨まれた蛙」が持つイメージを考えてみましょう。
ことわざのイメージ
- 気が小さくなる、不安を感じる
- 腰がひける、しり込みする
- すくむ、おびえる、びびる
- 恐れをなす、臆病風に吹かれる
あなたが抱いていたイメージと同じでしたか?
きっと、ことわざ「蛇に睨まれた蛙」の知識が、もう充分に備わっていることでしょう。
実際にどのような場面で使うのかを説明するまで、随分長い前振りをしました。
それでは、お持ちかねの使い方説明を当サイト公認キャラクターのなるぞうさん、なるこさん、くわしうぞうさんに登場してもらい、教えてもらいましょう。
「使い方」絶体絶命だと感じたとき
なっ!ないっ!!わしが冷蔵庫に隠しておいたプリンがないぞっ!
随分とお怒りだこと。でも、私はダイエット中だから食べていませんよ。
この村にはプリン好きがもう1人おるんじゃ。
ぎく…っ!
まさか!プリンを食べたのは、なるぞうさんなの?!
うっ……………
あらら、固まっちゃてるわ。まるで「蛇に睨まれた蛙」のようね。ご愁傷様。
良い例と悪い例「蛇に睨まれた蛙」
「蛇に睨まれた蛙」良い例
A:どうしたそんな顔して?
B:俺さ、部長が超苦手なんだよな。でも昨日、その部長様から誘われてカラオケに行ったのさ。オンチだって噂は聞いてたけど、まあ~、ひでぇもんだったぜ!マジで耳がどうにかなりそうだったよ。
B:お前、今部長がどこにいるか知ってて話してるのか?
A:…………?!
B:これぞ「蛇に睨まれた蛙」だ。
「蛇に睨まれた蛙」悪い例
A:母ちゃん!今夜はカレーにしてって言ったじゃん!
B:あら、すっかり忘れてた。もう肉じゃがを作っちゃったわ。
A:俺、食べないからな。
B:私ったらまるで「蛇に睨まれた蛙」だわ。親は子供に勝てないもの。
「類義語」 2つ紹介 蛇に睨まれた蛙
「蛇に睨まれた蛙」によく似た”ことわざ”は、複数ありますが代表的な2つを紹介します。
1⃣ 鷹の前の雀
読み方 | たかのまえのすずめ |
意 味 | 強い相手の前で、手も足も出ないこと |
由 来 | 日本の古い民話や手毬唄から |
♦♦ あわせて読みたい ♦♦
「鷹の前の雀」に明確な由来はありませんが、日本には古くから鷹にまつわる民話が多数あります。それらをひも解くことで、鷹がどれほど人々から恐れられる存在であるかが分かります。ここでは、その伝承を2つ紹介します。
✓古今著聞集(ここんちょもんじゅう)には、村人が恐れる大蛇を鷹が退治する話が載っています。人を食う大蛇より強いのが鷹であることを表わしています。
✓岐阜県飛騨地方に伝わる手毬唄(てまりうた)に『一人もらった男の子、鷹にとられて今日七日…』とあります。子供の生存率が低かった昔は、跡継ぎ息子が生まれたら大切にされてきました。亡くなったときは、原因は鷹であるとまで唄われるほどでした。
猛禽類である鷹が肉食であることは有名です。ひとえに鷹と言っても数種類あり、それぞれに特徴が違いますが魚類、鳥類、昆虫類、爬虫類、哺乳類と何でも食べます。
人間が鷹を恐れるのは、特に俊敏な狩りをする姿からでしょう。
高い上空からチョロチョロと動く獲物を見つけたら、優雅に翼を広げ一気に舞い降り、鋭い足の爪で引っ掛け獲物を捕らえます。
一度、鷹の目に留まってしまえば、もう逃げられないほど怖い存在なのです。
特に雀は、鷹のような猛禽類の餌として日常的に狙われています。
2⃣ 猫の前の鼠
読み方 | ねこのまえのねずみ |
意 味 | 恐怖のあまり身動きできないさま |
対義語 | 窮鼠猫を嚙む (きゅうそねこをかむ) |
♦♦「対義語」窮鼠猫を嚙む ♦♦
・意味=追い詰められた弱い者が強い者に反撃すること
・由来=古来中国の経済政策書『塩鉄論』より
『塩鉄論』に記載されている”窮鼠猫を嚙む”
・原文=死不再生、窮鼠噛狸(一部を抜粋)
・現代語訳=目の前に死が迫った鼠は、狸に噛みつき生きようとする
※塩鉄論の中で判明したことですが、中国では狸(たぬき)を『リ』や、『狸奴(リド)』と表現していました。ここで言う『狸』とは、猫(やまねこ)を指します。
「窮鼠猫を嚙む」背景から由来を読み解く
✓秦時代に貧困にあえぐ農民が反乱を起こしたため、始皇帝が逃げ出し秦を滅亡に追い込んだ。(秦末に起きた陳勝・呉広の反乱)
「英文」Deer in the headlights.
英単語の意味
deer | 鹿 |
headlights (headlightkの複数形) | ヘッドライト/ 前照灯 |
♦♦Deer in the headlights.とは♦♦
意味は、ヘッドライトを浴びた鹿です。
鹿は猫と同様、夜目に強い動物です。微弱な光でも感じやすい生態です。猫の目が光の強さに応じて瞳孔を自由に開閉できるのはそのためです。
鹿も同じ特徴があります。と言っても暗い道路で突然、車のヘッドライトに照らされるた鹿は、急激な光に対応できず、その場に立ちつくしてしまうのです。
つまり動くものに対して反応する蛇の前で蛙が身じろぎしないのと同じ習性と言えます。
よってヘッドライトを浴びた鹿=「蛇に睨まれた蛙」となります。
まとめ
ここまでよく耳にする「蛇に睨まれた蛙」について、解説しました。
読み終えてみて、どうでしたか?
知らなかったことや、勘違いしていたことなどが見つかったのなら、あなたはもう会話の中に取り入れることができるでしょう。
人間関係で頻繁に使われる有名な、ことわざなのでどんどん使って自分のものにしてください。
最後にもう一度、「蛇に睨まれた蛙」をおさらいしておきましょう。
- 意味:恐怖のあまり身動きが取れなくなったさま
- 使い方:天敵だと思っている相手に遭遇したとき
- 類義語:鷹の前の雀 / 猫の前の鼠
- 英文:Deer in the headlights. (ヘッドライトを浴びた鹿)
最後にTwitterを紹介します。みなさんも、学んだ”ことわざ”をどんどん発信しましょう!
それではまた、次の”ことわざ”でお会いしましょう!
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