沈香や屁といった人間の五感の一つである「嗅覚」つまり「におい」を連想させる
キーワードで平凡な様子をあらわす今回のことわざ!
沈香という言葉はあまり聞き覚えがなくても、
屁は、臭いことやあまり印象が良くないことを表すのだろうか、
と想像できるのではないでしょうか?
本記事では、「沈香も焚かず屁もひらず」(じんこうもたかずへもひらず)という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます!
読み方 | 沈香も焚かず屁もひらず(じんこうもたかずへもひらず) |
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意味 | 特に良いことや役に立つこともしないが、悪いことや害になることをしないこと。可もなく不可もなく、平凡であることのたとえ。 |
使い方 | 可もなく不可もなく、無害で平凡なさまをたとえるときなど |
英文訳 | ・One who never made a mistake, never made anything.(過ちを犯さなかった者は結局何もしなかった者) ・He who makes no mistakes makes nothing.(失敗をしない者は何もしないものだ) |
類義語 | 伽羅も焚かず屁もこかず/線香も焚かず屁もひらず/毒にも薬にもならない |
沈香も焚かず屁もひらずとは
沈香も焚かず屁もひらずの由来や語源に関しては、
調べたところ詳しい語源や由来は記載がありませんでした。
しかし、江戸時代の『誹風柳多留拾遺』という川柳集には「榊もち沈香もたかずへもひらず」という川柳が記載されており、
古くから慣用表現として使用されていたことがわかります。
由来・語源:特になし
『誹風柳多留拾遺』
江戸時代中期に発展した、17音を基準とした短詩的文学である川柳をまとめた川柳集のこと。
川柳集。一〇冊。編者未詳。桃井庵和笛か。はじめ「古今前句集」と題して、江戸蔦屋重三郎から寛政八~一〇年(一七九六‐九八)に刊行。これを享和元年(一八〇一)星運堂が蔦屋から板木を譲り受けて「誹風柳多留拾遺」と改題板行したもの。「古今和歌集」の部立にならい、川柳を四季以下二〇の部類に分けて集めてある。
〈引用:コトバンク「誹風柳多留拾遺」より〉
「意味」 特に良いことや役に立つこともしないが、悪いことや害になることをしないこと/可もなく不可もなく、平凡であること
沈香とは香木と呼ばれるお香の一種で、熱帯雨林地方で育ったジンチョウゲ科の常緑高木のことを指します。お香なので、火をつけて焚くことでいい香りが放たれます。
いい香りである沈香とは対照的に、屁=おならをかくことによってもたらされる悪臭が
例えられています。
つまり、沈香を焚くことによっていい香りもしなければ、屁をひらず(かかず)悪臭を漂わせることもない、いわば周囲の環境に対しては無害の状況を作り出していることになります。
この、無臭という人間の五感を使ったわかりやすいイメージで
可もなく不可もない、良くも悪くもない、そういった平凡で何でもないことを意味しています。
伽羅も焚かず屁もこかず/線香も焚かず屁もひらず
と記載されることもあります。同義語なので、セットで覚えておきましょう!
※伽羅→沈香の中でも最良品のこと
「ことわざのイメージ」
・可もなく不可もない
・良くも悪くもない
・無害で平凡なさま
香木(こうぼく)
今回のことわざに出てくる、沈香は香木の一種だと前述しましたが、皆さん香木のことはご存知でしょうか?
日本には、8世紀ごろに仏教とともに大陸を通じて伝来した、「香道」という香りを愛でる文化が、室町時代に確立し現在まで続いています。
香木は、いい匂いを放つ樹脂分を多く含んでおり、細材にしてお香として使用した他に、棺、櫛、額縁用に使用された樹木の総称です。
その中でも、沈香はアジアやヨーロッパを通して非常に古くから重宝されてきたと伝えられている香木の一つです。
沈香(沈香樹、伽羅(きゃら))は、ジンチョウゲ科の常緑高木ジンコウAquilaria agallochaとされ、その薫香は洋の東西を問わず、きわめて古くから尊ばれてきている。聖書のなかに多くの記述があるし、ナポレオン1世もこれを薫じたという。また、中国では陶弘景(とうこうけい)の『名医別録』などに表れるし、日本では東大寺正倉院所蔵の蘭奢待(らんじゃたい)が有名である。
〈引用:コトバンク「香木」より〉
「使い方」可もなく不可もなく、無害で平凡なさまをたとえるときなど
[chat face=”ganguro_gal.png” name=”A子” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]そういえば昨日の合コンどうだったのB子?[/chat]
[chat face=”gal.png” name=”B子” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]あー、、、。まぁ、沈香も焚かず屁もひらずって感じだったわ。[/chat]
[chat face=”ganguro_gal.png” name=”A子” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]え?何言ってるのB子、ウケるんだけど(笑)[/chat]
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「例文」平凡で無害なたとえを伝えるとき
昨日買った芳香剤、ローズの香りなんだけど沈香も焚かず屁もひらずでとてもいい匂いなの。
この場合、ローズの香りはいい匂いと特別に感じているため、
平凡を意味する沈香も焚かず屁もひらずの使用は適しません。
彼のことは、沈香も焚かず屁もひらずと思っていたが、昨日の弁論大会での素晴らしい討論で、実はすごい知識人だということがわかった。
特にこれといった特徴が思い当たらない人物という部分を、
沈香も焚かず屁もひらずという言葉によってわかりやすく表現することができます。
「類義語」沈香も焚かず屁もひらず・類義語3選
・伽羅も焚かず屁もこかず
・線香も焚かず屁もひらず
・毒にも薬にもならない
伽羅も焚かず屁もこかず
【意味】沈香も焚かず屁もひらずと同義語で、良くも悪くもなく平凡な様のたとえ。沈香の中でも最良質とされる伽羅が用いられている。
線香も焚かず屁もひらず
【意味】こちらも、沈香も焚かず屁もひらずと同義語であり、沈香の代わりに線香が用いられている。
毒にも薬にもならない
【意味】毒のような害もないが、薬がもたらす効能もない、あってもなくてもどうでもよい存在のたとえ。
※毒にも薬にもならぬと記載されることもある。
「対義語」沈香も焚かず屁もひらず・対義語2選
・悪に強ければ善にも強し
・善に強い者は悪にも強い
悪にも強ければ善にも強し
【意味】大罪を犯すような悪人ほど、いったん改心すれば大変な善人になるという意味。
※悪に強気は善にも強しと記載されることもある。
[box06 title=”あわせて読みたい”]悪にも強ければ善にも強し[/box06]
善に強い者は悪にも強い
【意味】善を熱心に行うものは、いったん悪にも立ち向かうと悪にも熱心に行うという意味。
「英文」One who never made a mistake, never made anything.
One who never made a mistake, never made anything.
訳:過ちを犯さなかった者は結局何もしなかった者
one/人物・誰か(この文章の場合後ろに関係whoが続くため)
never/一度も make a mistake/失敗する
He who makes no mistakes makes nothing.
訳:失敗をしない者は何もしないものだ
make no mistake/失敗しない nothing/何もない
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
それでは再度、沈香も焚かず屁もひらずのことわざのポイントを振り返っておきましょう。
・沈香とは、いい匂いを放つお香のこと
・意味は、良くも悪くもないといった特になんでもない平凡な様を表す
・同義語の伽羅も焚かず屁もこかず/線香も焚かず屁もひらずをセットで覚えよう
今回のことわざは、なんでもない平凡な様を匂いで表現していますが、
平凡だと思われることは、どことなく”何もしていない”人であるといわれているような気もしますよね、、、。
でも、誰かにとっては特別であったり平凡に感じたりと様々ですから、
自分らしさを大切に生きていきましょうね!
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