韓信の股くぐり(かんしんのまたくぐり)とは?意味や使い方を徹底解説!

中国の風景
URLをコピーする
URLをコピーしました!

韓信かんしんまたくぐり」ということわざの意味をご存知ですか?中には聞いたこともないという人もいるのではないでしょうか?

そもそも「韓信」とは、中国「漢」の天下統一に功績を挙げた名将のこと。このことわざを知ることで中国の歴史にも触れることができますね。

本記事では、「韓信の股くぐり」という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます。読み終える頃には、このことわざのマスターになっているでしょう!

 

読み方 韓信の股くぐり(かんしんのまたくぐり)
意味 将来に大志を抱く者は、目の前の屈辱にも耐え忍ぶ
使い方 理不尽な要求にも耐えて受け入れるという状況で使用
英文訳 He who holds a big wish bears an impending humiliation, and bears stoically.
類義語 臥薪嘗胆

 

目次

韓信かんしんまたくぐりとは

中国の通り

 

[由来]

韓信かんしんまたくぐり」とは、史記―淮陰侯わいいんこう伝に見える、中国の漢王朝の創業に大きな功績を称えたた将軍、韓信のエピソードからできたことわざのこと。

韓信が若い頃の話しです。町で無頼の若者が「死ぬのが怖くないという勇気があるのなら、剣でおれを刺せ。できないならおれの股をくぐれ」と喧嘩をふっかけてきました。すると韓信はじっと相手を見つめたあと、その屈辱に耐え、何も言わずに男の股をくぐったそうです。

後年、韓信は将軍として大成功を収めます。

そしてかつての若者を呼び寄せ、「あの時はこの男を殺しても何の得にもならなかった。だから我慢したのだ。その結果、現在の私がある」と口にしたとか。

冷静な判断を下した韓信。将軍を目指すほどに大きな目的を成し遂げようとしている人にとって、目先のつまらない屈辱など小事でしかないのでしょう。

中国前漢時代の歴史家である司馬遷しばせんが編纂した「史記」に登場する韓信。「国中で並び立つものがいないという程に優れた人物」を意味する国士無双こくしむそうや、「一歩も後には退けない絶体絶命の状況下」を意味する背水はいすいじんの語源となった人物です。韓信本人よりもこの2つのことわざを知っている人の方が多いかもしれませんね。

その他「敗軍の将は兵を語らず」「千慮の一失」「金石の交わり」なども韓信のエピソードから生まれた言葉です。

「意味」大志のある者は一時の恥をかいてでもこらえるべき

韓信かんしんまたくぐり」とは大きな志を持っていたり大望を抱いたりしているのならば、たとえ理不尽な目にあおうと、軽率な行動をとる事はないという意味を持っています。

大きな目標を達成する為に今なすべきことを教えてくれることわざではないでしょうか?

「ことわざのイメージ」

股をくぐる前の韓信の視線と人物描写が、「史記」の中で印象深く表されています。相手をじっと見つめる韓信は、屈辱を前に何を感じていたのでしょうか?

そういった物語の背景を思い浮かべると、難しいことわざも覚えやすくなるのでは?

 

「使い方」将来を見据え、目前の小事に耐え忍ぶときに使用

[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]孫はこの前の試合で負けたそうじゃな[/chat]

[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]まわりからの期待が大きかったからか、罵声をあびて落ち込んでいるみたいですよ[/chat]

[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]プロの世界を目指しているならば、小さな侮りと思って、今は忍ぶべきじゃな[/chat]

[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]まさに韓信の股くぐりと思って前進するのみですね[/chat]

 

この例文のように、大志あるものは目の前の屈辱に耐えるべきという意味合いで使っています。

これを参考に下にいくつか例文を紹介しています。

「例文」大志に照準を合わせて行動するとき

せっかくのビジネスチャンスをミスで逃してしまった。同僚たちからは「こんなミスで」と笑いものにされているが、韓信かんしんまたくぐりと思って耐え忍ぼう

「韓信の股くぐり」の由来から考えると、「大きな目標を達成する為には、小さな屈辱や理不尽なことに逆らうことなく耐えて受け入れなければならない」という意味合いになります。もちろん「韓信の股くぐり」のたとえとしては正しい解釈であり、上記の例でもそういう意味合いで紹介しています。

それでは違いを感じていただくために、ここで「良い例」にも目を落としていただきましょう。

せっかくのビジネスチャンスをミスで見逃してしまった。しかし諦めるのはまだ早い。これから先のことを考え、韓信かんしんまたくぐりと思って頑張ろう

「悪い例」と「良い例」の違いにお気づきでしょうか?決して上の「悪い例」は間違った使用ではありません。二つの受け取り方の違いを表現してみたものです。

同じような意味合いですが、「良い例」で捉えると前向きな姿勢となります。

「大きな成し遂げたい夢や志があるなら、一時のちょっとした出来事で理不尽な目にあおうと恥をかこうと軽率な行動をとる事はない」ということ。我慢をするということではなく、自身の大志のため、目の前の困難を乗り越えていくというイメージを持っていただければ、前向きな姿勢に繋がるのではないでしょうか?

韓信の股くぐりを座右の銘にして、自分に恥じることなく生きていきたいものです。

その他「韓信の股くぐり」を前向きな例文で表現

・キャプテンという立場から理不尽なことを言われることもあるが、韓信の股くぐりと考えてみんなのために頑張ろう

・大切なプロジェクトを大勢の前で発表しなければならない。緊張して今にも逃げ出したいくらいだが、自身のスキルアップのため韓信の股くぐりに倣って乗り切るぞ

・小さなトラブルに心をとらわれるのは時間が勿体ない。これからの夢や目標のためにも、韓信の股くぐりを座右の銘として小事にとらわれることなく進んでいこう。

「類義語」臥薪嘗胆がしんしょうたん

中画風の雲のイラスト

 

まずは四字熟語である「臥薪嘗胆」の意味を紐解いていきましょう。「臥薪嘗胆」は韓信の時代よりも前の、春秋戦国時代の故事がもとになっています。この時代は呉と越という2つの国の戦争が行われていました。

臥薪がしんとはまきの上に寝ることを意味します(薪の上に寝ると痛いというイメージ)。一方、嘗胆しょうたんとはきもめること(胆を嘗めると苦いというイメージ)。

これだけでは「韓信の股くぐり」とのつながりが分かりにくいのですが、実は呉が越に負けた時、呉の君主は薪の上に寝ること(臥薪)でその屈辱を忘れまいとしたというエピソードがあります。その後、越が呉に負けた時に、越の君主は胆を嘗めること(嘗胆)でその屈辱を忘れまいとしたそうです。

その結果、呉も越もそれぞれ目的を達成することができたとか。

「韓信の股くぐり」も「臥薪嘗胆」も最終目的を果たすための手段ということです。

とはいえ使う場面はかなり異なってきます。「韓信の股くぐり」は屈辱を受ける前から大きな目的があり、その過程で事が起こったため屈辱に耐えたという意味合いです。しかし「臥薪嘗胆」は事が起こった結果として屈辱を味わったため、その屈辱を晴らすための手段としたということ。

「韓信の股くぐり」は大きな志を果たすため、目の前の小事(恥)は耐え忍んで争わないという時に使用し、「臥薪嘗胆」は過去の辛い経験を克服するため、今の小事を耐えるときに使用すると良いでしょう。

ただどちらも目的は達成しているという意味では同じといえます。

【その他の類義語】

・堪忍五両、負けて三両(かんにんごりょう、まけてさんりょう)

・堪忍の忍の字が百貫する(かんにんのにんのじがひゃっかんする)

・ならぬ堪忍、するが堪忍(ならぬかんにん、するがかんにん)

・堪忍五両、思案十両(かんにんごりょう、しあんじゅうりょう)

・忍の一字は衆妙の門(にんのいちじはしゅうみょうのもん)

「対義語」くっする・くじける

さて「韓信かんしんまたくぐり」に対義語は存在するのでしょうか?

類義語は多く存在するのですが、「韓信の股くぐり」自体の対義語は無いに等しいというのが答えです。では「韓信の股くぐり」の意味から抜粋して「える」や「こらえる」という言葉で考えてみたいと思います。

「耐える」は、嫌なことや辛いことをじっと我慢すること、また辛抱すること。「堪える」は、負担や任務に対応する能力がある、それをするだけの値打ちがあるということ。共に「我慢してでも跳ね返す」ような前向きな姿勢を感じます。となると、負けて服従するという意味の「屈する」や、意欲がそがれて弱まるという意味の「くじける」が対義語に値すると言えるのかもしれません。

「韓信の股くぐり」は決して後ろ向きな言葉ではなく、未来を切り開くための助言と受け止めて使用できると良いですね。

まとめ

「韓信の股くぐり」の意味や使い方はマスターできましたか?

大きな目的を実現するため、小さな恥辱を受けても耐え堪え、争わずに受け流す。

もちろんこれは簡単なことではありません。

「未来は一瞬一瞬変わっていくもの」。それはたった今の行いで変わっていきます。未来を見据えて、今自分がとるべき行動を選択できる目を養えると良いですね。

目の前の小事は、過ぎ去ればちっぽけなこと。これからやってくる大きな未来が、貴方にとって実りあるものでありますように!

「韓信の股くぐり」とは、将来の大望のために今を犠牲にするのではなく、小さな恥辱は受け流そうという、あくまでも前向きな姿勢を意味することわざです。

 

よかったらシェアしてね!
URLをコピーする
URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次
閉じる