ナンバーワンじゃなくてもいい、オンリーワンであれば…。
どこかで耳にしたフレーズですが、この記事で学ぶ言葉はナンバーワンもオンリーワンも兼ね備えた言葉だと感じています。
ここで学ぶ言葉は「鶏群の一鶴」。
正直、筆者も恥ずかしながら初めて目にした言葉でした。しかしこの言葉を極めていくにつれて「鶏群の一鶴」と、周りから思われるような人になりたいと強く思った次第です。
この記事では「鶏群の一鶴」の意味から類義語、使い方まで解説していきます。
この言葉だけでなく多くの言葉を知ることで、「鶏群の一鶴」に近づけると信じて!
読み方 | 鶏群の一鶴(けいぐんのいっかく) |
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意味 | 多くの凡人の中に、傑出した人がいるという意味 |
使い方 | 抜きんでた人を褒めるとき、または説明するときに使用 |
英文訳 | ・A swan among ducklings. |
類義語 | 紅一点 |
鶏群の一鶴とは
「鶏群の一鶴」は、鶏の群れに一羽だけ鶴がまじっていることからできた言葉です。
沢山の鳥がいかにいたとしても、鶴一羽の価値には及ばないという意味より、多くの凡人の中に際立って優れた人がいるということを表しています。
【由来】
「鶏群の一鶴」は中国の晋の王朝について書かれた歴史書、「晋書・稽紹伝」に記されています。
「人混みの中で初めて稽紹を見たが、ひときわ高く抜きん出ており、まるで野生の鶴が鶏の群れの中にいるようであった」と、晋の稽紹の人柄を形容して使われた言葉です。
ちなみに稽紹の父の康も優れた人物と言われていました。
「青眼白眼」の話が有名です。
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]「青眼白眼」は人によって対応が変わることの意味です。「白眼青眼」とも言われていますよ。[/chat]
「意味」多くの凡人の中に、傑出した人がいるという意味
「鶏群の一鶴」とは鶏の群れの中に鶴が一羽まじっている様子を表した言葉です。
「鶏群」は、鶏の群れのこと。いかに多くの鳥がいても、鶴一羽の価値には及ばないと考えられていたことからできた言葉と言われています。
言わんとしているのは「凡人な人間が大勢いる中で、ひときわ優れた人が混じっている」ということです。
「ことわざのイメージ」
漢字を見るとイメージが湧きやすいのではないでしょうか?
ここでの「鶏」はニワトリのこと。そのニワトリの群れの中に1匹のみ黒白光る(グレーのツルもいます)シュッとしたフォルムのツルがいたら…間違いなく目を引きますよね。
「使い方」抜きんでた人を褒めたり説明したりするときに
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]今日は久しぶりに母さんの琴の音を聴かせてもらって心が改まったよ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]普段なかなか人を褒めないお父さんから褒められると嬉しいものですね。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]色んな人の演奏を聴いたが、母さんの演奏が「鶏群の一鶴」でよかったよ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]あらまぁ。そんな群を抜いてというわけではないと思いますが、貴方から言われるとまた頑張ろうと思いますよ。[/chat]
上記の会話のように「ただ良かった」と褒めるのではなく、周りと比べて群を抜いていた時に使用します。
「例文」極めて優れた人を指すときに使用
・彼はまさに「鶏群の一鶴」、我が社の宝であるといっていい優れた人材だ。
・彼女はオーディションの参加者の中で群を抜いた才智とを持っていた。まさに「鶏群の一鶴」だった。
・今回のプレゼンテーションではA社の企画を通そう。各社の方針を聞いて見たが、間違いはないだろう。まさに「鶏群の一鶴」だったからね。
・彼女はこのブラスバンド部で、「鶏群の一鶴」と言われているんだ。大勢の演奏なのに、彼女のトランペットの音色は抜きんでて耳に入ってくるんだよ。
上記の例文のように、凡人の中で傑出して目立つ人物を指して使用します。人を褒めるときにも使える言葉です。
とはいえ、なかなか意味までを理解している人は少ない言葉とも言えます。
[chat face=”tameninaruzo2.jpg” name=”ためになるZO” align=”right” border=”blue” bg=”none” style=””]文字で見ると何となく伝わるかもしれんが、前後の言葉でフォローするとより伝わりやすいかもしれんぞぅ。[/chat]
【鶴の雑学】
鶴は世界中で15種類ほどしかいないと言われています。
日本画の中で鶴が木の上にとまっているものを目にすることがありますが、実は日本にいると言われる7種類の鶴は木にとまれないのです。
木にとまれるのは、アフリカに生息するといわれる、上記の写真のカンムリヅルとホオジロズルの2種類のみ。
どうやら鶴が木にとまっている日本画は、コウノトリと鶴を見間違えた説が強いようです。
ニワトリが木にとまれないのは分かりますが、空を飛ぶことができる鶴が木にとまれないというのは意外ですね。
「類義語」紅一点 その他
紅一点
同義語はいくつかありますが、よく耳にする言葉としては「紅一点」があげられます。
意味は、多くの男性の中に一人だけ女性がいるということ。
なお「紅一点」は「万緑叢中紅一点」の略と言われています。
これは、生い茂った緑の葉の中に、一輪のみ紅色の花が艶やかに咲いている様子を表したものです。
王安石の詩の『石榴を詠ず』にある「万緑叢中紅一点、人を動かすに春色多きを須いず(春の景色は人の心を奪うほどの美しさがあるが、多くのものは要らない。赤い一輪の花だけで充分だ)」に基づいています。
多くの平凡なものの中に、一つだけ異彩を放つものが存在することのたとえに用られていて、「鶏群の一鶴」の類義語と言えます。
砂の中の黄金
砂金が砂に混じっているイメージを現した言葉です。
ありふれたものや日常の中にも価値のあるものが混じっています。たとえ汚れた環境にあったとしても、その状況に染まることなく清らかさを維持していることを言います。
掃き溜めに鶴
つまらないものの中に、ずば抜けて奇麗なものや優れたものがまじっていることのたとえです。「ごみために鶴」「塵塚 に鶴」とも言います。
「鶏群の一鶴」の同義語として、「鶏郡」ではなく「群鶏一鶴」という言い回しもあります。
意味は多くの凡人の中で、極めて優れている一人の人物のこと。
鶏の群れの中にいる一羽の鶴という部分でも「鶏群の一鶴」と同じ意味合いとなります。
その他の同義語として「鶏群孤鶴」や「野鶴の鶏群に在るが如し」もありますので覚えておきましょう。
その他の類義語
鶴立鶏群/天水桶に竜/芥溜めに鶴/塵塚に鶴/堆肥の中の宝石/砂の底から玉が出る/砂に黄金泥に蓮/珠玉の瓦礫に在るが如し/藪に黄金/鶴の鶏群に立つが如し
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”green” bg=”none” style=””]その他にもこんなに類義語があるっていうことは、色んなシーンにおいて優れている人がいるという表れなのでしょうね。[/chat]
「対義語」どんぐりの背くらべ・五十歩百歩
【どんぐりの背くらべ】
似たり寄ったりで、抜き出た者がいないことのたとえです。
代わり映えのしない者同士が競い合っている様子や、突出した者がいない様子を表しているので、「群鶏の一鶴」の対義語と言えるでしょう。
その他、「五十歩百歩」もほぼ同じ意味といえます。
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の違いを学んでみよう[/chat]
優れた者がない、特別劣っているともかぎらないという意味の「どんぐりの背比べ」。
沢山のどんぐりがある中、どれも似たり寄ったりということです。
多くの中から選んでいるときに使用します。
一方「五十歩百歩」は、五十歩逃げたのも百歩逃げたのも結局は「良くない」ということ。
こちらは五十歩の人と百歩の人を比べているので、多くの人が一緒という意味よりAとBは似たようなもの、というような一対一での比較に向いているでしょう。
その他に「鶏群の一鶴」の対義語として
「烏合の衆・千石見晴らしの田でないと鶴は下りぬ・鳳は藪の中にはいない」などもあげられます。
「英文」A swan among ducklings.
同じ鳥をモチーフにしているという部分では「・A swan among ducklings.」が一番似た意味になります。訳すると「アヒルの子の中の白鳥」。
その他、平凡なものの中の優れたものという表現で次の言葉もあげられます。
「Triton among the minnows.」(小魚どもの中の海神)
※ toritonはギリシャ神話に出てくる半神半魚の海の神様のこと。
「A diamond among stones」(石の中のダイアモンド)
まとめ
「鶏群の一鶴」とは凡人のうちで傑出して目立つ人物のたとえです。
このことわざの意味としては「一鶴」の方、いわれる優れた人をピックアップしており、「鶏群」は、何の取柄もない人々の集まりをたとえています。
とはいえ「目立つ人」は影の支えが存在しているからこそ輝くもの。
以前に「才能のタイプには三つある」という話を聞いたことがあります。
一つは「天才」。独創的な視点で周りが思いつかないような言動が起こせる人。もう一つは「秀才」。論理的にものごとを考えて堅実に進められる人。そして「凡人」です。凡人は周りの状況や空気をよみ、相手の反応を見て動ける人とのこと。
そう考えると全てのバランスが取れているからこそ物事がスムーズに進んでいけるということに繋がるのではないでしょうか?
どの立場に身を置いているにしろ、存在価値のある行動を取れるとよいですね。
この記事を最後まで読んでくださった貴方が「鶏群」だとしても「一鶴」だとしても、明日が希望に満ち溢れますように。
・「鶏群」とは凡庸な人の集まりをたとえた言葉
・「一鶴」とは特に優れている人をたとえた言葉
この二つが相まって「何のとりえもない人々の中に一人だけ優れた人物が混じっている」という意味となります。
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