「孔子の倒れ」ということわざをご存じでしょうか?
どんなに優れた人でも、ときには失敗することもあるという意味なんですが、ふりがながなかったら、ほとんどの方が「こうし」って読むのではないでしょうか。
もちろんあの有名な中国の思想家、儒教の創始者の孔子のことです。
だったらなぜ「くじ」っていうの?
「くじ」とは、「こうし」を呉音で読んだものですが、今度は呉音ってなに?という疑問が膨らみますよね。
本記事では、「孔子の倒れ」ということわざの意味や使い方、類義語・対義語・英文を徹底解説していきます。最後までごらんください。
読み方 | 孔子の倒れ(くじのたおれ) |
---|---|
意 味 | どんなに優れた人でも、ときには失敗することもあるということ |
使い方 | 優れた人が失敗したとき |
類義語 | 河童の川流れ ほか |
対義語 | 愚者も千慮に一得あり ほか |
英文訳 | Confucius mistake. Even Confucius made a mistake. |
孔子の倒れとは
どんなにすぐれた人でも、ときには過失や失敗をするということ。
「孔子」は孔子を呉音で読んだもの。孔子のような聖人君子でも、つまずいて倒れることがあるという意。
引用:新星出版社『大きい活字の故事・ことわざ辞典』P182
東京外国語大学名誉教授 国松 昭 監修
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「聖人君子」とは、知識や徳のある、理想的な人物のことじゃ。[/chat]
さて、冒頭に書きましたが、呉音ってなに?の疑問について、詳しく書かれたものがありましたので紹介します。
●世界大百科事典 第2版「呉音」の解説
日本における漢字音の一種。六朝時代の中国の呉の地方と交通のあった百済人が日本に伝えたもので,隋・唐代の北方音を伝えた漢音よりも中国語音の古形を反映するというのが通説。仏教関係の用語にもちいられることが多い。
●デジタル大辞泉「呉音」の解説
古く日本に入った漢字音の一。もと、和音とよばれていたが、平安中期以後、呉音ともよばれるようになった。北方系の漢音に対して南方系であるといわれる。仏教関係の語などに多く用いられる。
引用:コトバンク
[chat face=”tameninaruzo2.jpg” name=”ためになるZO” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]古い時代に日本に伝わり、仏教用語にもちいられることが多かったということから、呉音で読まれることになったのじゃろう。[/chat]
「孔子」の子の部分は、先生という意味だと聞いたことがありました。
ためになることが書かれていたので紹介します。
「子」の意味について
孔子や孫子の「子」は尊称で、先生という意味があるそうです。
でも「子」って子供の子ですよね。
先生と子供って正反対の意味と言ってもいいくらいです。
何で「子」が尊称なんでしょうか?引用:Yahoo!知恵袋
この質問に対するベストアンサーがこちらです。
↓↓↓
十二支で子ってネズミですね。
けど、本当は、十二支の動物は後付けで、もともと植物の成り立ちを意味しているんです。子は簡単に言えば種子です。
丑は種子から目がでようとする姿です。
寅は芽が土を押し上げている姿。
卯は双葉。
辰は葉っぱが揺れる姿。
と言った感じです。つまり子は始まりを意味しています。
儒学的には父より祖父と言うように、先人ほど尊敬すべきで
学問の始まり、儒学の種子と言う意味です。
知りませんでした。
儒学の創始者、つまり最初の種子から来た言葉だったんですね!
「意味」どんなに優れた人でも、ときには失敗することもあるということ
「孔子の倒れ」とは、どんなに立派な人でも、ときには失敗や間違いをするという意味です。
「ことわざのイメージ」
- なんでも知っている人が、驚くような間違いをした
- 失敗をしない人はいない
こういうイメージではないでしょうか。
Yahoo!知恵袋に、孔子についてもっと知りたいと思った方の相談がありましたので紹介します。
孔子のことについて詳しく書かれている本はありますか? 教えていただきたいです
ベストアンサーに選ばれた方が、たくさんの本を紹介されていました。
論語と聞いただけで、なんだか難しそう……としり込みしてしまいそうになるのですが、かみ砕いてわかりやすく書かれている本もあるということなので、孔子について勉強したいなと思いました。
孔子って、2500年以上前の人ですよ。未だ受け継がれているというだけで、すごい人だということがわかりますよね。
「使い方」優れた人が失敗したとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]英語の教師をしている男が、自分で作った例題を発表したら、生徒に間違いを指摘されたらしい。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]まあ、頭の良い生徒さんがいらっしゃるのね。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]帰国子女らしい。しかも、10年以上アメリカにいたそうだから、英語には詳しいはずじゃ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]孔子の倒れというじゃないですか。教師でも、間違いはありますよ。落ち込まずに頑張ってほしいですね。[/chat]
この例文のように、優れた人でも間違いはあるという意味合いで使っています。
これを参考に悪い例と良い例を紹介します。
「例文」孔子の倒れ 悪い例・良い例
初めて卵焼きを作った小学生が、火の加減が強すぎたのか、焦がしてしまった。孔子の倒れである。
初めて料理をした子どもが失敗するのは当たり前。初めからうまく作れる人は少ないですよね。この場合は失敗しても驚きません。出来なくてあたりまえなのですから。
こういうときに「孔子の倒れ」を使うのは違いますね。
孔子の倒れというが、暗算日本一のあの人が、かんたんな計算をミスするなんて、思ってもいなかった。
計算が得意な人が、かんたんな問題でミスをすると、びっくりしますよね。この人は、ミスなどしないという先入観があるからです。
「類義語」孔子の倒れに似たことわざ
河童の川流れ
泳ぎが上手な河童であっても、ときには川に流されるということから、名人や達人と呼ばれる人も、油断をしたら失敗するというたとえ。
弘法にも筆の誤り
弘法大師のような筆の達人でも、時には書き損なうことがあるということから、どんなに名人や達人であっても失敗することがあるというたとえ。
猿も木から落ちる
木登りが上手い猿であっても、ときには木から落ちるということから、名人、達人と呼ばれるような人でも、失敗することがあるということのたとえ。
釈迦にも経の読み違い
仏教の開祖である釈迦でも、ときには経を読み誤るということから、どんなに優れた人でも、失敗することはあるというたとえ。
上手の手から水が漏る
名人と呼ばれるような人の、水も漏らさないようなぎ技芸であっても、ときには失敗するということ。その道のじょうずといわれる人が、たまたま失敗したときなどにいう。「功者の手から水が漏る」ともいう。
千里の馬も蹴躓く
一日に千里を走るような名馬であっても、ときには蹴躓くことがあることから、どんなに有能な人でも、ときには失敗するというたとえ。
千慮の一失
どんなに賢い人でも、たくさんの考えの中にひとつくらいは間違ったことがあるという意味。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]千慮とは、あれこれ十分に考えることじゃ。[/chat]
天狗の飛び損ない
飛び回ることを得意としている天狗が、何かの拍子に飛び損なってしまうということから、日ごろ自信を持っている人が、油断して失敗してしまうことのたとえ。
念者の不念
念を入れてものごとを行う人も、ときには不注意なことをすることもあるということ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]魔がさすということかのう?[/chat]
百足のあだ転び
足が多くて、転ぶはずがないと思われている百足でも、ときには転ぶことがあるということから、その道の達人でも、失敗することがあるというたとえ。
文殊も知恵のこぼれ
知恵をつかさどる文殊菩薩でさえも失敗するということから、どんなに賢く偉い人であっても、失敗はあるというたとえ。
竜馬の躓き
ずば抜けて早く走ることができる竜馬でも、ときには躓くことがあるということから、どんな名人でも、失敗することがあるというたとえ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]竜馬とは、非常に足が速い馬で、駿馬ともいうぞ。[/chat]
「対義語」孔子の倒れと反対の意味を持つことわざ
愚者も千慮に一得あり
愚かな者でも、時には役に立つ名案を思いつくことがある。
(例文)いつも決まったことしかできず、営業成績も伸び悩んでいた社員が、面白いアイデアを思いつき、それがヒットして会社に利益をもたらした。まさしく、愚者も千慮に一得ありだ。
愚者も一得
こちらも「愚者も千慮に一得あり」と同じ意味です。使い方も同じです。
千慮の一得
愚者でも、多くの考えの中には、一度ぐらいはよい考えもあるということ。
(例文)あいつはいつも使えない情報しかもってこないが、千慮の一得で、こないだ初めて役に立ったよ。
[chat face=”sennin_kuchu_fuyuu-e1623152304696.png” name=”くわしいぞう” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]千慮とは、類義語のところでも話したが、あれこれ考えをめぐらすこと。多くの考えのことじゃぞ。[/chat]
「英文」孔子の倒れ
ことわざ通りに、「孔子の倒れ」にすると、Confucius’ fall(孔子の落下)、Fall of Confucius(孔子の没落)というような英文になり、意味が違ってきます。
そこで、下記のような英文を考えてみました。参考にしてみてください。
Confucius mistake.
(和訳)孔子の間違い
Confucius ⇒ 孔子/mistake ⇒ 間違い
Even Confucius made a mistake.
孔子でさえも間違えた
even ⇒ ~でも、~でさえも/made a mistake ⇒ 間違えた、ミスした
まとめ
いかがでしたか?
比較的使いやすいことわざではなかったでしょうか?
また、類義語もたくさんありますので、この機会にたくさん覚えてみてください。
- 優れた人、頭が良い人、尊敬できる人などが、失敗したり間違ったりしたら、そんなはずはないと考えてしまう。
- 間違いなどするわけがないという先入観があるからだ。
- 人間である以上、失敗や間違いはだれにでもある。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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