獅子身中の虫(しししんちゅうのむし)とは?ことわざの意味、類義語から使い方まで徹底解説!

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獅子身中の虫(しししんちゅうのむし)ということわざで登場する「虫」は
生き物の中に入り込み、その主人の栄養をわけてもらうことで生き延びる
「寄生虫」のことを意味します。

「身体の中に虫がいるの?!」
と驚くかもしれませんが、
実は生物には無害・有害なものそれぞれ、体の中に寄生虫が入り込むことがあります。

その虫が、獅子の身体を最悪の場合死に至らしめてしまうという結末を持つことわざ、
一体どんなメッセージが込められているのでしょうか。

本記事では、「獅子身中の虫」(しししんちゅうのむし)という言葉の意味や類義語、使い方など徹底解説していきます!

 

読み方 獅子身中の虫(しししんちゅうのむし)
意味 味方でありながらも害をもたらす者、恩をあだで返す者のたとえ
使い方 味方にも関わらず被害を被ったときなど
英文訳 ・He has brought up a bird to pick out his own eyes.(彼は鳥を育てて、目を突き抜かれる)
・Better an open enemy than a false friend.(偽りの友よりも明らかな敵のほうがよい)
類義語 恩をあだで返す/飼い犬に手を噛まれる/軒を貸して母屋を取られる

 

目次

獅子身中の虫とは

ブッダのいらすと

組織の内部に属していながらも、害をもたらす者のたとえを意味する獅子身中の虫という
ことわざは、仏教の経典の一節がその語源に当たります。

由来・語源:仏教の経典
→もとは、仏教徒であるにも関わらず仏教に害をもたらす者を指しました。

『梵網経』に「獅子身中の虫、自ら獅子の肉を食らい、余外の虫に非ざるが如し。是くの如く仏子自ら仏法を破り、外道・天魔の能く破壊するに非ず(獅子は自身の体内に巣食う害虫に食われて死ぬのであり、外からの虫に食われるのではない。これと同じように悪い仏徒が自ら仏法を破壊するのであり、外道や天魔が仏法を破壊するのではない)」とあるのに基づく。

〈引用:故事ことわざ辞典「獅子身中の虫」より

梵網経ぼんもうきょう

ユーラシア大陸伝来の大乗仏教の経典の上下二巻本の通称を『梵網経』と呼びます。菩薩の階位や向上心が説かれ、仏教戒と呼ばれる出家や在家の有無に関わらず戒を受けられるという特色があります。

 

「意味」味方でありながらも害をもたらす者、恩をあだで返す者のたとえ

獅子身中の虫 意味画像

獅子(=ライオン)の身体の中に寄生しておきながら、結局は獅子をに至らしめる
寄生虫をたとえて、
組織の内部にいるにも関わらず、災や害を起こす者のことを意味します。
そのため、「獅子身中の虫獅子を食らう」と続けていうこともあります。

獅子身中の虫には私たちが日常でよく使用することわざである、恩をあだで返す者という意味も含まれているため、
同義語でもある「恩をあだで返す」の意味も以下紹介しておきます。

恩を仇で返す

【読み方】おんをあだでかえす
【意味】世話になったり恩を受けた人が、感謝をするどころか敵対して害を加えること
【使用例】あれだけ会社のために働いてきた●●さんがリストラされるなんて、会社から恩を仇で返されたようなものだ。

「ことわざのイメージ」

・味方からの裏切り

・恩を仇で返す

→恩恵を受けてたり本来では感謝すべき立場の者が、害を起こすということがポイントです。

「使い方」味方にも関わらず被害を被ったときなど

[chat face=”job_kagakusya-1.png” name=”科学者そのいち” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]最近うちの研究所の機密情報が競合のB社に、ばれてしまっているらしいんだ。[/chat]

[chat face=”kid_job_boy_isya_kagakusya.png” name=”科学者そのに” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]まさか、、、?スパイがいるってことか!?[/chat]

[chat face=”job_kagakusya-1.png” name=”科学者そのいち” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]そうなんだよ。早く獅子身中の虫をつぶさなければたまったもんじゃないね、、、。[/chat]

[chat face=”job_spy.png” name=”科学者そのに” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””](実はそのスパイが僕だということを、彼はまだ知らない、、、。)[/chat]

「例文」組織の内部の者が、害を与えることを表すとき

不信感を抱く女性

いつもうるさいお客さんが店の前にいるので、この店の評判は良くないらしい。
いくらお客様と言えど、このままでは獅子身中の虫ではないか。

この場合、評判が悪くなったという害をお店は被っていますが、
このうるさいお客さんは店の関係者でも、面倒を見ている特別な対象ではないので、
組織の内部が組織に対して害を与えるという意味の、
獅子身中の虫という表現は適しません

会社の士気が上がっているときにに、実は獅子身中の虫に食われ、経営が傾くこともある。

組織全体の中に災いを企てるものがおり、その結果経営が傾くことにつながる危険性があるということを、ことわざによってわかりやすく表現していますね。

●以下、文学作品の中で用いられている獅子身中の虫の例文も参考にしてみてください。●

国というものは外部の圧力に亡ぼさるべきものではない、外から亡ぼされずして自滅するのであるというが骨子である。その時私は獅子身中の虫ということをいうた。獅子というものは実に猛獣で百獣の王とも言う。一度咆哮すると百獣皆おそれるという。それがどうしてたおれるかというと体に虫が出来る。するとその猛獣が自然に仆れる。これが獅子身中の虫というのである。

〈引用:青空文庫/大隈重信『東亜の平和を論ず』「支那保全論」より

 

「野郎は帝大出でいながら帝大出の僕をったんだから、獅子身中の虫だ。帝大で固めようという僕の教育政策から見ても生かして置けない」

〈引用:青空文庫/佐々木那『首切り問答』より

 

世間には「真言秘密の法」などと看板を掲げて、やたらに怪しげな修法しゅほうをやっているものもありますが、真言の祈祷はそんな浅薄な迷信をあおるようなものでは、断じてないのです。それこそ神聖なる真言の教えを冒涜ぼうとくする、獅子身中の虫といわざるを得ないのです。

〈引用:青空文庫/高神覚昇『般若心経講義』より

 

「類義語」獅子身中の虫・類義語3選

飼い犬に手を嚙まれる

・恩を仇で返す
・飼い犬に手を噛まれる
・軒を貸して母屋を取られる

恩を仇で返す

【意味】世話になったり恩を受けた人が、感謝をするどころか敵対して害を加えること

飼い犬に手を噛まれる

【意味】日ごろから可愛がり、面倒を見ていた者から裏切られたり、害を受けること。

[box06 title=”あわせて読みたい”] 飼い犬に手を噛まれる [/box06]

軒を貸して母屋を取られる

【意味】一部を貸していたのに、結局全部をとられることのたとえ。

獅子身中の虫と同じく、飼い犬と主人や家の賃借人の関係性の中で、
世話や恩をかけていたのにもかかわらず、裏切られ被害を被るという意味を
それぞれ持ちます。

「対義語」獅子身中の虫・対義語3選

恩恵を返す

・仇を恩で報ずる
・怨みに報ゆるに徳を以てす
・徳を以て怨みに報ず

仇を恩で報ずる

【意味】恨みがある物事に対して、報復をせずに情けをかけること。

怨みに報ゆるに徳を以てす

【意味】人にひどいことをされても、報復するのではなく、かえって恩恵で報いること。

徳を以て怨みに報ず

【意味】恨みがある相手を憎まずに、逆に恩恵を返すこと。

それぞれ相手に恨みがあったり、ひどいことをされた前提で、
それに対して報復ではなく恩恵や情けを返すという意味が含まれています。

「英文」獅子身中の虫・英文2選

手の上に乗る鳥

He has brought up a bird to pick out his own eyes.
訳:彼は鳥を育てて、目を突き抜かれる

has brought up/養育する、育てる pick out/掘り出す、つつき出す

裏切られる友達

Better an open enemy than a false friend.
訳:偽りの友よりも明らかな敵のほうがよい

open enemy/敵、敵対者 false/偽の better than…/…より良い

 

まとめ

おなかが痛くなる人たち

最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、再度獅子身中の虫のことわざのポイントを振り返っていきましょう。

獅子の内部に寄生する虫が、最終的には獅子の死をもたらすことをたとえたことわざ

獅子身中の虫獅子を食らうとも続いて記述されることがある

恩をあだで返す者という意味を持つ

大切に思っていた人や世話をかけた組織から、身に覚えのない報復を受けることを想像しただけでもぞっとしてしまいます、、、。

人間関係は強固だと思えば思うほど、
実はそれが壊れやすいものだということも忘れないでおきましょう!

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