「死中に活を求める」ということわざを聞いたことはありますか?
あまり聞いたことないな、という方も結構いるかもしれませんね。
簡単に説明すると、
「死中に活を求める」とは、絶望的な状況で、生き延びる道を探すことのたとえです。
何だか意味を聞くと怖そうな感じがしますが、どんな時に使う言葉なのか気になりますね!
本記事では、「死中に活を求める」の意味や使い方、類義語など詳しく説明していきます。
それでは一緒に見ていきましょう!
読み方 | 死中に活を求める(しちゅうにかつをもとめる) |
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意味 | 絶望的な状況で、生き延びる道を探さすことのたとえ |
使い方 | 絶望的な状況の時 |
英文訳 | find a way out of a fatal situation.(死中に活を求める) |
類義語 | 九死一生/九死に一生を得る/十死一生/万死に一生を得る/身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ |
死中に活を求めるとは
[box03 title=”由来”]このことわざは、『後漢書』の「公孫述伝」に記された話が由来です。
一世紀、後漢王朝が成立してすぐの中国での出来事です。蜀(現在の四川省)という地方で独自の勢力を築いていた公孫述は、後漢王朝の軍隊に攻め込まれることになります。この時に、公孫述が部下の延岑にどうするべきか尋ねると、「男児、正に死中に生を求むべし(男ならば、死を待つ状況でも生き残る方法を探すべきです)」という返事でした。この返事通り、公孫述は財宝をはたいて決死隊を募り、奇襲に成功したのでした。
このことから、絶望的な状況でも、生き延びる道を探すことのたとえとして、「死中に活を求める」ということわざが生まれました。[/box03]
[chat face=”usagi.png” name=”うさぽん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ちなみに、公孫述はその後も抵抗を続けたけど、結局後漢の軍隊に滅ぼされたんだって。せっかく頑張ったのに残念だったね。[/chat]
「意味」絶望的な状況で生き延びる道を探すこと
「死中に活を求める」とは、絶望的な状況で生き延びる道を探すことのたとえでしたね。
また、これが転じて、窮地の打開策として敢えて危険な道を選ぶことにも使われます。
「ことわざのイメージ」
- 絶望的な状況であっても、何とか生きようとするイメージ。
- 何とか解決しようとする。
- 危険な賭けをしてまでも、今の状況を打破しようとする。
[chat face=”hiyoko.png” name=”ひよぽん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]負けられない戦いに、何が何でも打ち勝とうとしている感じだね![/chat]
「使い方」絶望的な状況の時に使う
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]なるこさん、怒らずにちょっと聞いてくれんかの。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]どうしましたか、なるぞうさん。怒らないから言ってごらんなさい。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]わしの持ち金のほとんどは、ギャンブルで負けてしまったんじゃ…。この際、死中に活を求めようと思うんじゃ。残りのお金で、一攫千金をあててやるぞ![/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]なるぞうさん、それだけは絶対にしてはダメですよ![/chat]
「例文」絶望的な状況でも何とかしようとする時
それでは、これから参考文献による例文で理解を深めましょう。
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もみ消そうとすればするほど、噂の火の手はさかんになり尋常一様の手段では、とても防ぐ事の出来ぬと見てとりましたので、死中に活を求める手段、すなわち、わしが頗る軽率に騒ぎ出して、若い人たちに興覚めさせ、王に同情の集るように仕組んだものでございます。
参考文献:太宰治『新ハムレット』
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もう死んだものと諦めた刹那に、ぱっと生きかえったのである。死中に活を求める。これこそ日本にのみ伝わる武芸の神秘であった。
参考文献:梅野十三『浮かぶ飛行島』
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「類義語」死中に活を求める5つ紹介
九死一生
危ういところで奇跡的に助かること。殆ど死を避けがたい危険な瀬戸際で、かおうじて助かること。
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船からおりると、八、九里の間は駕籠に乗るのであるが、駕籠の中で幾度となく卒倒しながら、九死一生の内にも無理に長崎へ着いた。
参考文献:大隈重信『青年の天下』
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九死に一生を得る
ほとんど助かる見込みのない危険な状態から、かろうじて助かることのたとえ。
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一度はこれも十七の歳に重症の腸チブスにかかつて、赤坂の今は順天堂分院になつてゐる共愛病院と云ふのにはひつて、この時も九死に一生を得たのであつたが…
参考文献:南部修太朗『自分の變態心理的經驗』
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十死一生
この意味も、上記の九死に一生を得ると同様の意味。
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若輩の宗茂は、歴々満座の中に面目をほどこして我陣屋へ帰ると、宗徒の面々を呼び集めて、十死一生の働きすべく覚悟を定めた。
参考文献:菊池寛『碧蹄館の戦』
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万死に一生を得る
こちらも九死に一生を得ると同様の意味。
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ターシャと教授だけの問題ではない。まごまごすると、ここで一人残らず殺されてしまわなければならない。万死に一生を得るには、こちらから攻勢に出て、ぜがひでも相手を斃してしまうほかはなかった。
参考文献:久生十蘭『地底獣国』
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[chat face=”usagi.png” name=”うさぽん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]同じような意味のことばがたくさんあるね![/chat]
「英文」find a way out of fatal situation.(死中に活を求める)
find a way out of a fatal situation.(死中に活を求める)
[jin-iconbox12]・find a way (方法・道を見つける)
・out of(~を脱して、~から離れて)
・fatal situation1(致命的な状況)
[/jin-iconbox12]
[chat face=”hiyoko.png” name=”ひよぽん” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「out of=」は「~の外へ」ととらえがちだけど、「of」というのは切り離すという広い意味を持っているよ。致命的な状況を脱して、方法(道)を見つけよう!って意味だね♪[/chat]
まとめ
それでは、最後に重要なポイントをおさらいしましょう。
- 「死中に活を求める」意味とは、絶望的な状況で、生き延びる道を探さすことのたとえ。
- 窮地の打開策として敢えて危険を選ぶこともあるということ。
いかがでしたか?
本記事のことわざ「死中に活を求める」の類義語はたくさんありましたね!
もしかすると、その類義語の方が聞き馴染みがあるのではないでしょうか。
いざ、死中に活を求める状況になるか分かりませんが、そうなったときは全力で敢えて危険を選ぶこともあるかもしれません。
本記事により、また知識の引き出しが増えると嬉しいです。
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