「玉に瑕」という言葉を聞いた事があるでしょうか?
私は昔この言葉を聞いた時に、「偶にきず」だと思いっていました。
要するに「時々へまをする」という意味にとらえている時期もありましたが、
実際は「完璧な物の中に、一つだけの欠点がある」という意味なんです。
また「瑕」と書いて、「きず」と読みます。
「傷」じゃないのかよって感じですよね。
そこの部分も解説していますので、一緒に見ていきましょう!
読み方 | 玉に瑕(たまにきず) |
---|---|
意味 | 完全なものの中に一つだけ欠点があること |
使い方 | 完璧なのに一点だけ残念な部分があるとき |
英文訳 | There are spots even on the sun.(太陽にも黒点がある) |
類義語 | 白璧の微瑕 |
玉に瑕
「由来」『論衡』
「玉に瑕」ということわざの由来としては、インターネットでは、
出典を王充(中国の後漢の時代の思想家(生27年~没97年)が書いた『論衡』にあるというものを多く見かけましたが、
他の物を出典として挙げている資料がありましたので紹介します。
【出典】
あたら御身をいみじう沈みて、もてなさせ給うこそ、口惜しく、玉に瑕あらん心地し侍れ。 (源氏物語、手習) 石田博(編)『故事成語・ことわざ事典』(雄山閣出版、一九八〇より引用)
【私訳】
惜しむべき御身はひどく没落して、もたなしなさるのは残念で、完璧なのにただ一つの欠点がある気持ちがします。
平安文学を代表する『源氏物語』が登場していますが、
『論衡』は、平安時代よりも約千年くらいも前に書かれた書物ですので、
明らかに『論衡』の方が古いです。
日本で使用された初めての例ということでしょうか?
ただ、この本には備考で面白いものが載っていました。
明月之珠、不能無類。
○類ーきず。
(淮南子、范論訓編) 石田博(編)『故事成語・ことわざ事典』(雄山閣出版、一九八〇より引用)
【私訳】
明月の玉(満月の様なたまということか)、瑕がないとうことはない(ある)。
この淮南子は、前漢(紀元前202年から紀元8年まであった中国の王朝)の時代の百科事典なので、
完璧に玉に瑕という言葉ではありませんが、
元になった、『論衡』に比べると早いのでこの言葉を参考に書かれたことわざなのかもしれませんね。
「意味」他は完璧なのに…
美しい玉に瑕がある。
つまり、完全な物の中にたった一つだけ欠点があることという意味を持ちました。
以下にこのことわざのイメージを考えたものを載せてみたので、参考にして頂ければと思います!
「ことわざのイメージ」
- 綺麗で美しい玉にきずがあったら残念
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]ここで気になるのが「きず」の字が見慣れない字な事だよね。調べてみたので、確認してみよう!
傷・・・からだがきずつき損なわれる意
瑕・・・玉のきず
(長澤規矩也、原田種成、戸川芳郎『新明解漢和辞典(第四版)』(三省堂、二〇〇六)より引用)
となっているよ。
玉のきず以外にもただのきずの意味も「瑕」のはあるよ
。余裕があれば覚えておこう。
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また、このことから、「瑕」の字をあてるのが良い事がわかりますね。
「使い方」完璧なのになぁ…
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]あの人かっこいいよね。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]3組の貴公子の異名を持つ佐藤君のこと?[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]え!知っているの?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]もちろんだよ。有名だからね。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]イケメンだからね[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]いや、そうなんだけど・・・
違った意味で有名なんだよ。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]どういうこと?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”blue” bg=”none” style=””]彼は残念なイケメンってやつでね。勉強もできるし、優しいんだけど、毎日目ヤニを付けて学校に来るんだよね…まさに玉に瑕っていう感じの人なんだよ…[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]なるほどね・・。でもなんで?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]それがね。寝るのが好きで、朝の洗顔を忘れてしまうらしいんだよ(笑)[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]そんな、抜けてる所のある彼も素敵だわ。[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]それも、彼の魅力かも知れないね。[/chat]
「例文」「完璧な中のただ一つの穴」
玉に瑕の例文をみていきましょう!まずは、悪い例文からです。
この世のものとは思えないほど美しいダイヤモンドだね。このきずのない宝石はまさに、玉に瑕と言えるね。
完璧なことをいうことわざではありません。
完璧なのに、一つだけ欠点があるという意味で利用します。
それを踏まえて、以下の文章を見ていきましょう!
・・・「王様の宮殿は、美しいけれど、大理石の建物がないのは、玉にきずだとある旅人が申していました。大理石の塔でもたてられてはいかがですか?」・・・ (新実南吉 巨男の話より引用)
この文章では、大理石の建物があれば完璧なのにそれがない事が欠点だという意味で使っています。
「類義語」白璧の微瑕
類義語としては、「白壁の微瑕」というものがあります。
白壁というのは、白い玉のことです。
その美しい玉に傷が入っているという事をこのことわざは表しています。
そこから、完全な中に一つだけ欠点があることを意味するのです。
この本棚はとても美しいのに釘が出ているのが、白壁の微瑕だなぁ。
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]漢字が「壁」という文字なのがポイントだよ土じゃなくて玉だよ。ちなみに二つの字の違いとしては、下の様な違いがあるよ。
壁・・・家の壁
壁・・・玉
(長澤規矩也、原田種成、戸川芳郎『新明解漢和辞典(第四版)』(三省堂、二〇〇六)より引用)
読みは同じけど注意しよう!
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「対義語」瑕に玉
「瑕に玉」という言葉があります。これは、玉に瑕を逆転にした表現になっています。
「沢山の欠点の中にある、少ない美点があること」という意味を表します。
あの人はあまりいい所がないけれど、速読できるというのはいい所だよね。
まさに瑕に玉と言うべきだね。
「英語」There are spots even on the sun.(太陽にも黒点がある)
太陽は、いつもメラメラと燃え滾る熱い球体のイメージがありますよね。
その中にも、黒点と呼ばれる温度の低い部分があります。
英文で、このことを書いたものが、「玉に瑕」の英文訳となります。
「黒い黒点がなければ、太陽も完全に真っ赤なのに」というニュアンスでしょうか。
【英文】There are spots even on the sun.
【直訳】太陽でさえも黒点がある
【語句解説】
- There・・・これが文頭にあると、大体後ろのbe動詞の後ろの「名詞がある」 という意味になる。この場合、「there」は特に訳さない
- are・・・直訳すると「~がある」。後ろの名詞が複数形だから、「are」の形
- spots・・名詞で「場所」という意味「s」があるので複数形。つまり、複数あるということ
- even・・・「~でさえ」という意味で、今回は「on」より下の部分に訳がかかる
- on・・・「~で」という意味
- the sun ・・・太陽という意味
⇓これを踏まえて
「太陽でさえも黒点がある」という訳が生まれる
まとめ
ここで、今回の記事の主役である「玉に瑕」についてまとめておきましょう!
- 意味は、完璧の中にあるただ一つ欠点があること
- 壁(かべ)と書かないように
- 英文は「There are spots even on the sun.」
- 類義語は「白壁の微瑕」
という様にまとめられると思います。最後まで読んで新たな発見があればうれしいです。
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