地震雷火事親父 きっと、日本人であれば子供から大人まで、誰しも1度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。
大変、耳なじみのあることわざですが、このことわざの印象として、みなさんこんなことを感じたことはありませんか?
「なんかギャグっぽい…」「ダジャレ??」
正解です!ユーモアが込められた、歴史あることわざなのです!
本記事では、意外と知られていない「地震雷火事親父」ということわざの意味や由来、使い方について解説していきます。
読み方 | 地震雷火事親父(じしんかみなりかじおやじ) |
---|---|
意味 | 世の中で恐ろしいものを順に並べた表現 |
使い方 | 恐ろしいものということを伝えるとき |
英文訳 | Earthquakes, thunder, fire and fathers.(地震雷火事親父)
Horrible things(恐ろしいもの) |
類義語 | 地震雷火事女房、地震雷火事津波 |
地震雷火事親父とは
[box03 title=”由来”]父親が絶対なる権限を持つ「家父長制」のあり方より
「家父長制」とは父系によって機能する家族制度のことで、家長である父親が家族のメンバーを統率する家族を指し、このような道理を軸とする社会的制度を表します。
「家父長制」でいう「親父」は家族内で権力を絶対的に持つため、逆らうことなど到底できません。転じて、世にも恐ろしい「地震雷火事」に続くに匹敵する恐ろしい存在として「親父」が使われるようになりました。[/box03]
「意味」世の中で恐ろしいものを順に並べた表現
「地震雷火事親父」の意味とは
「地震」、「雷」、「火事」の3語は,人間の力が及ばない天災だけに世の中で恐ろしいものと言われて納得がいきます。
そして、これは個人的な見解なのですが、「親父」が”恐ろしいものの表現”と言われて、思い浮かぶのは老いも若きも、日本の漫画界が誇る、かの有名な、サザエさんの波平さんではないでしょうか。
そうそう、この定番の「バッカモ~~~ン!!」のシーンですね。
「え?じゃあ、”地震雷火事親父”の”親父”はサザエさんから来たの?」
という結論になってしまいそうですが、そうではありません。
「地震雷火事親父」が収録されている最も古い文献は「尾張童遊集」(1831)なので、なんと江戸後期からある表現なのです!!!
また、江戸時代当時は親方や親分に頭が上がらない時代だったので「親父」は名主などをさしたとする、という説もあり、父親にしろ、名主にしろ、天災と肩を並べて怖いものの表現に使われる理由も納得です。
「地震雷火事親父のイメージ」
とてつもなく恐ろしいということを表すイメージ
「使い方」ある物事や人の恐ろしさを相手にイメージさせる
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]経理部に今月の交通費の請求は提出した?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]あ、忘れてた![/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]経理部のAさん。一見落ち着いた印象だけど、月末までに提出しないと部署まで怒鳴りに来るらしいよ。地震雷火事親父っていうでしょ?[/chat]
[jin-iconbox02]例文のように恐ろしいということを表すときに使います![/jin-iconbox02]
「例文」地震雷火事親父(悪い例と良い例)
今日は地震雷火事親父のような天気。
[jin_icon_check color=”#e9546b” size=”18px”]言葉の並びから、悪天候を連想する人もいるようですが誤りです。
「もし戦争が起ったなら。という題を与えられて、地震雷火事親爺、それ以上に怖い戦争が起ったなら先ず山の中へでも逃げ込もう、逃げるついでに先生をも誘おう、先生も人間、僕も人間、いくさの怖いのは同じであろう、と書いた。此の時には校長と次席訓導とが二人がかりで私を調べた。
参考文献:『苦悩の年鑑』太宰治
先に説明があった通り「地震雷火事親父」が収録されている最も古い文献は「尾張童遊集」(1831)なので、江戸後期に名古屋近辺の子どもたちが声をそろえて口ずさんでいたことになります。
子どもたちがそれぞれ「親父」を思い浮かべ、ユーモアを感じていたことから、この言葉が生まれました。
「類義語」地震雷火事親父・2つ
昭和の時代と比べると、現代では父親が「頑固親父」というイメ―ジがかなり減ってきています。それも相まってか、「地震雷火事」の部分はそのままで「親父」の部分を別の言葉に変えたいくつかのバリエーションが存在するのです。
・地震雷火事女房…世の中には奥様には逆らえない旦那様もいるでしょう。
・地震雷火事津波…震災の歴史からも津波が脅威的なものであることは
間違いありません。
時代の流れに沿って、また新しいバリエーションも登場していくことでしょう。
「対義語」地震雷火事親父
「地震雷火事親父」が、世の中で恐ろしいものを順に並べた表現であるならばその対義語は優しいものを順に並べた表現、安心するものを順に並べた表現、ということになりますが、そのようなことわざは存在しません。
優しいという印象で例を挙げるとしたら「捨てる神あれば拾う神あり」でしょうか。
本質的には優しさを表現したことわざではなく、見捨てられることがあっても、一方で助けてくれる人もいる。たとえ不運なことや困ったことがあっても、悲観することはないという意味が含まれています。
「英文」地震雷火事親父2つ紹介
英文二つ紹介します。
Earthquakes, thunder, fire and fathers.(地震雷火事親父)
- Earthquakes:自身
- thunder:雷
- fire:火事
- fathers:父
英語にはことわざとしての「地震雷火事親父」は無いので、単語をそのまま並べたものになりますね!
Horrible things(恐ろしいもの)
- Horrible:恐ろしい
- things:こと
まとめ
「地震雷火事親父」についてお分かりいただけたでしょうか?
歴史あることわざなのにユーモアが含まれていることや、言葉の最後に災害と直接関わりの無い意外性のある「親父」をもってきて、注意を引くところからも、なんだかお江戸の粋な心を感じますね!
・意味:世の中で恐ろしいものを順に並べた表現
・「地震雷火事親父」が収録されている最も古い文献は「尾張童遊集」(1831)
・江戸後期に名古屋近辺の子どもたちが声をそろえて口ずさんでいた
・「地震雷火事」の部分はそのままで「親父」の部分を別の言葉に変えた
バリエーションが存在する
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