「轍鮒の急」ということわざですが、あまり耳馴染みがないですよね。
わだち?ふな?いそぐ??、一体どんな意味が込められていることわざなのでしょうか?
本記事では「轍鮒の急」を徹底解説していきます!
読み方 | 轍鮒の急(てっぷのきゅう) |
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ローマ字 | Teppu no kyuu |
意味 | 危機や困難が差し迫っている状態を表す |
使い方 | 急な横波で溺れかけて救助されて良かった!轍鮒の急が救われた気分だ! |
英文訳 | ・imminent danger ・impending hardship |
類義語 | ・焦眉の急 ・風前の灯火 |
轍鮒の急とは
轍鮒の急の由来は、荘子の「外物篇・寓話」にある鮒とのエピソードによります。
「周昨來、有中道而呼者。周顧視車轍中、有鮒魚焉。」
私はここにいたる道中で、私を呼ぶ声を聞いたんです。私が振り返ってみると、車の轍(わだち)の水溜りに嵌まり込んで、今にも死にそうなフナを見つけたんです。
「人生朝露」より引用
当時、貧困にあった荘子が食べ物を得るため領主にお願いしに行きました。
そして先ほどのエピソードを例にして食料を得られた、つまり飢餓の窮地を逃れたことから生まれたことわざとされています。
では会話を覗いてみましょう!
領主様、私は今日すら食べるものもございません。
どうか食べ物とお金を分けていただけないでしょうか?
よろしい。ただ、もう少し経てば年貢が入る。
その後であれば食べ物もお金も差し上げようぞ?
どうか?
(今すぐにやれる食料も金も余裕はないわ!)
(私は今すぐ欲しいのだ…よし!)
実は、ここに来る途中に轍の水溜りにいた鮒に干上がりそうだから水をくれと懇願されました。
後で大河に行くからその後に多くの水を差し上げると答えました。
しかし、鮒は今すぐ水が欲しいのだと私はひどく怒られました…。
(今すぐよこせと遠回しに言っているのだな…)
あい分かった。検討しよう。
どうにか食料とお金を今すぐ手に入れようと荘子が知恵を使って論破したのかもしれませんね!
意味
「轍鮒の急」は、轍にできた水溜りに嵌り、今にも干からびそうな鮒の状況を表してます。
例えば、「今すぐ何とかして欲しいのに!」とピンチに陥りそうな状況だとしましょう。
にもかかわらず、後回しにされると「いつやるの?今でしょ!!」と鼻息が荒くなってしまいませんか?
鮒もきっと同じような心情であった事でしょう。
ことわざのイメージ
- 危機迫る状況に陥ってしまい今すぐにでも何とかするorしてほしい!
- 切羽詰まって「う゛~ん」と唸ってしまう状況
使い方
それでは、「轍鮒の急」の実際の使い方を可愛いお二人に再現してもらいます。
ありゃりゃ?
海岸の街が台風の被害で停電してるみたいだなー
大きいマンションに住んでるニンゲンは停電したら大変ねぇ
そだねー
水をくみ上げるポンプが停まったら水道が出ないもんね
ライフラインの水を確保しないと、時間が経てば経つほど命の危険が迫るわね!まさに轍鮒の急よ!
災害時はライフラインの確保と復旧が生存に関わりますよね。
このように危機的な状況が迫っているという意味合いで使います。
例文
目前に危機や困難が差し迫っている状況、あなたならどう対処しますか?
- 先月のクレジット支払い分で首が回らなくなりそうだ。給料日はまだ先だし…轍鮒の急だな。どうしよう…
先月使い過ぎた請求が差し迫る支払期日、しかし給料日はまだ先です。
- この電車を逃したら取引先と約束の時間に確実に遅刻するから、轍鮒の急で行かなければならない。
類義語2つ
「轍鮒の急」のように危機的状況が迫っている意味合いを持つ類義語を2つ紹介します。
対義語2つ
迫る危機等と対照的な意味合いの「平穏や平和」を表すことわざを2つ紹介。
天下泰平
世の中に紛争や問題が無く秩序が保たれ治安されている。肯定的な意味合いが強い。
みんなが笑顔で暮らせるような平和で穏やかな天下泰平を目指そう♪
とかく近所に事なかれ
近所に問題が起こると、自分にも被害が及ぶかもしれないから、何事も起きない方が良いということ。
周囲と何のトラブルもなく過ごせるのが理想よね。
とかく近所に事なかれ、よ!
英文 直訳文2つ
「轍鮒の急」の直訳した英文を2つ紹介します!
「Imminent danger…身に降りかかる危険」
- imminent:差し迫った
- danger:危険
「Impending hardship…差し迫った苦難や困難」
- impending:差し迫る
- hardship:苦難
まとめ
いかがでしょうか?非常に切迫している状況を示すことわざで、緊急性の強さが伝わってきますね。
それでは「轍鮒の急」のまとめです。
- 危機や困難が差し迫っている状況のこと
- 後回しでなく今助けてほしい!と思う程の危機的状況
- 小さな水溜りにいる鮒の状況になぞらえたエピソードから生まれた
危機迫る状況というのは避けたいものですよね!
しかし、人生は山あり谷あり、危機的状況に陥った際はこのことわざを思い出してください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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