「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざをご存じでしょうか?
意味は、危険を避けていては、大きな成功は得られないということです。
ひとつ注意してほしいのが「入らずんば」を「はいらずんば」と読まないということです。
普段「入る」を「はいる」と読んでいると、間違いやすいかもしれません。
本記事では、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざの意味・類義語・対義語・英文を徹底解説していきます。
読み方 | 虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず) |
---|---|
意 味 | 危険を避けていては、大きな成功は得られないということ。 |
使い方 | 危険を冒してでも、大きなことをしたいとき |
類義語 | 危ない橋も一度は渡れ ほか |
対義語 | 危ない事は怪我のうち ほか |
英 文 | ・Nothing venture, nothing have. ・The more denger the more honour. |
虎穴に入らずんば虎子を得ずとは
危険を冒さなければ成功は収められない、という意。虎の住む穴にはいらなければ、虎の子を生け捕りにすることはできない。
【原文】「超曰く、虎穴に入らずんば虎子を得ず。当今の計、独だ夜に因って火を以て虜使を攻むることあるのみ〔班超が言うには、現今の計略としては、夜に異民族の使者の宿営を、火攻めにすることがあるだけである〕」
〈後漢書・班超伝〉
引用:三省堂『ことわざの辞典【特装版】』P89
引用した辞典の原文の、カッコ書きの部分が訳になっていますが、それでもわかりにくいので、もう少し優しい文章にしてみました。
班超(中国、後漢初期の西域支配に功績のあった武将)が言うには「虎の住処に入らなければ、虎の子を手に入れることはできない。今現在の計画としては、夜のうちに異民族の使者が居住している場所を火攻めにするのみだ」
※この異民族というのは、紀元前3世紀末から紀元後1世紀末まで、モンゴル高原、万里の長城地帯を中心に活躍した遊牧騎馬民族のこと。
「意味」危険を避けていては、大きな成功は得られないということ
危険を冒して思い切ったことをしなければ、大きな成果は得られないというたとえです。
狂暴な虎の住処に入っていくことなど、普通の人間には怖くて出来ません。命を捨てにいくようなものですよね。
実際に、虎穴のように危険なところに入りなさいと言っているわけではありませんが、勇気を出して果敢に挑んでいく気持ちを持ちなさいということです。
なにごとも、挑戦する前からあきらめていたら次には進めません。ほんの少しでもいいので、勇気を出してみませんか?
「ことわざのイメージ」
- 自分にはできそうにないと思うことでも、思い切って挑戦する
- 勇気をもって、踏み出すことが大切である
このようなイメージです。
「使い方」危険を冒してでも、大きなことをしたいとき
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]虎穴に入らずんば虎子を得ずじゃな。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]おじいさん、いったいなにをしようとしているのですか?[/chat]
[chat face=”naruzou.png” name=”ためになるぞう” align=”left” border=”blue” bg=”none” style=””]投資でもしようかと思っておる。老後の蓄えも必要じゃしな。[/chat]
[chat face=”obaasan_face.png” name=”ためになるこ” align=”right” border=”green” bg=”none” style=””]やめたほうがいいんじゃないですか?知識のない人がしても、損をするに決まっていますよ。[/chat]
なるこさんがいうのは堅実な意見ですが、やってみないことにはどうなるかわかりませんよね。
私は不安症で「石橋を叩いて渡る」派でもありますが、ときとして「虎穴に入らずんば虎子を得ず」タイプに変身することもあります。
そのスイッチがどこで入るのか自分でもよくわかりませんが、どっちも大切だと思います。
「例文」虎穴に入らずんば虎子を得ず 悪い例・良い例
何もかも準備されている。優秀な部下がいると楽なものだ。よし、それでは虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。このプロジェクトを始めよう。
しっかりと準備されていて、リスクの少ないプロジェクトに参加する場合、ことわざのような覚悟は必要ありませんね。
虎穴に入らずんば虎子を得ずというだろう?どうしても手に入れたいなら、危険を冒してでもやれ。
相当な覚悟を持って挑むときに使いたいですね。そうして得られるものには、価値があります。
「類義語」虎穴に入らずんば虎子を得ず3つ紹介
危ない橋も一度は渡れ
安全なことばかりやっていたのでは、成功することはできない。ときには危険なことに挑むのも必要だということ。
Twitterのツイートを紹介します。
・「危ない橋も一度は渡れ」長い人生の中には自分の成長のために、危険な橋を渡ってでも乗り越えなければいけいない局面があります。それは相場においても同じ。投機が危険だからと手をこまねていては、進歩がないだけでなく、せっかくのチャンスさえ失ってしまいます。
— 株式ドットネット (@stockdotnet) October 1, 2021
【危ない橋も一度は渡れ】安全ばかり考えて、物事を慎重に運び過ぎても成功する事は出来ない。時には失敗も覚悟でやる事も必要
— smile_surf (@smilesmile_surf) October 1, 2021
危ない所に登らねば熟柿は食えぬ
危険を恐れては、名声や利益は得られないということ。
枝先に行かねば熟柿は食えぬ
枝先の柿は熟して甘い。ただ、そこに行こうとしたら折れる可能性がある。得たいものがあれば、危険を恐れてはならないということ。
「対義語」虎穴に入らずんば虎子を得ず9つ紹介
対義語は、たくさんありますので、まとめて紹介します。
- 危ない事は怪我のうち:危ないことをするのは、最初から避けたほうがよい。
- 石橋を叩いて渡る:丈夫そうな石橋も用心しながら渡る。念には念を。
- 賢人は危きを見ず:賢人は、最初から危険なことには近づかない。
- 聖人は危きに寄らず:聖人は、最初から危険なことには近づかない。
- 棚から牡丹餅:努力もしていないのに、思いがけない幸運に恵まれること。
- 命を知る者は巌牆の下に立たず:危険に注意し、なすべきことを果たすこと。
※巌牆とは、高くて今にも倒れそうな土塀のこと。
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「英文」虎穴に入らずんば虎子を得ず
Nothing venture, nothing have.
(和訳)何の冒険もしなければ何も得られない
nothing(何もしない)/venture(冒険)/have(~がある)
The more denger the more honour.
(和訳)危険が大きくなるほど名誉も大きくなる
more denger(より多くの危険)/more honour(更なる名誉)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
危険なところに足を踏み入れるのは勇気がいることですね。
それでも、ときには大きな決断をしないといけない場面も出てきます。
そんなときにこのことわざを思い出していただけると嬉しいです。
では最後に、虎穴に入らずんば虎子を得ずのポイントをまとめておきたいと思います。
- 何かを手に入れるためには、危険なことにも挑んでいくことが大切である
- 何かを手に入れるためには、努力も不可欠である
※棚から牡丹餅(対義語参照)的なことは滅多にない
最後までお読みいただきありがとうございました。
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